結論:年末調整の失敗は、
①書類の取り違え、②証明の添付漏れ、③制度の勘違い、④締切、⑤対象外の取扱いで起きます。
この記事は原因→対策→リカバリーの順で最短ルートを示します。
ミス① 住宅ローン控除の「年違い」提出/調書方式の誤解
よくある症状:前年分の申告書を提出、その年分のページ未提出/調書方式なのに残高証明を探し回る/連帯債務・共有の按分を誤記。
対策(やること)
- 提出年のページだけ使用(税務署から届く冊子の「当年」欄)。
- 方式確認:借入先が調書方式対応なら、会社への年末残高等証明書の提出は不要(案内に従う)。
- 連帯債務・共有:各人が自分の持分×年末残高で記入。明細メモを作って転記。
リカバリー(やってしまったら)
社内締切内:差替え・再提出。締切後:その年分は確定申告で適用(e-Tax可)。
ミス② 保険料控除証明の添付漏れ・区分ミス
よくある症状:生命保険(新・旧区分/個人年金/介護医療)の入力漏れ、地震保険の未添付、iDeCoの証明書未提出。
対策(やること)
- 10〜11月に届く控除証明をメール・郵便・マイページで全件回収。
- 生命保険は新契約/旧契約の区分を入力、個人年金・介護医療も別欄に。
- iDeCo/小規模共済は運営管理機関の「掛金払込証明書」を添付/アップロード。
リカバリー
社内締切内:再提出で訂正。年越し後:確定申告で控除追加が可能(源泉徴収票+証明書)。
ミス③ ふるさと納税を年末調整で処理できると思い込む
結論:ふるさと納税(寄附金控除)は年末調整では扱いません。ワンストップ特例を使うか、確定申告で申請します。
要注意シナリオ
- 初年度の住宅ローン控除で確定申告をする → その年はワンストップ特例が無効。寄附分もまとめて確定申告へ。
- 6自治体以上に寄附 → ワンストップ不可 → 確定申告が必要。
リカバリー
年明け〜3月の確定申告期間に、寄附金受領証(または寄附明細)で申請。給与だけならe-Taxの入力は短時間で完了します。
ミス④ 会社の締切に間に合わない/氏名・住所・マイナンバー不整合
よくある症状:書類到着を待って後手に回る/旧姓・旧住所のまま/マイナンバー未登録。
対策(やること)
- 締切を先にカレンダー登録(通知も設定)。
- 氏名・住所変更があれば先に会社へ届出。控除証明の再発行は各社マイページが最速。
- マイナンバーは初回に登録。未登録だと受付保留になることあり。
リカバリー
間に合わなかったら、その年分は確定申告で適用。会社には「年末調整に間に合わなかったため確定申告で対応します」と連絡。
社内連絡テンプレ:
「年末調整書類の提出が締切に間に合わず、当該控除は確定申告で手続きします。源泉徴収票の発行予定日をご教示ください。」
「年末調整書類の提出が締切に間に合わず、当該控除は確定申告で手続きします。源泉徴収票の発行予定日をご教示ください。」
ミス⑤ 年末調整の対象外なのに“済んだ”と思い込む(副業・2か所給与・株の譲渡等)
ポイント:年末調整は主たる給与の精算に限られます。次のケースは確定申告が必要になりやすいです。
- 年の途中で退職して年末在籍なし/2か所以上から主たる給与がある
- 給与収入が2,000万円超
- 副業所得・不動産所得・株式等の譲渡や配当の申告が必要
リカバリー
年末調整はやれる範囲だけ反映。残りは2〜3月の確定申告で精算すればOK。源泉徴収票や支払調書、取引報告書を保存しておきましょう。
おまけ:ミスを減らす小ワザ3つ
- 書類フォルダの一本化:「年末調整_2025」フォルダをPC/クラウドに作り、PDF・画像を集約。
- “先に入力”方式:会社のWeb申告フォームに先に入力→不足書類だけチェックバック。
- 連絡先メモ:保険会社・金融機関・iDeCo運営の連絡先を1枚にまとめ、再発行を迅速化。
提出直前「1分チェック」
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