結論:年末調整の失敗は①書類の取り違え、②証明の添付漏れ、③制度の勘違い、④締切遅延、⑤対象外の放置で発生します。
各ミスは原因→対策→リカバリーの順で潰せます。
この記事の狙い(“提出チェックリスト”の次に読む)
「提出書類、これだけ出せばOK!【2025年版】」で何を出すかは把握済みのはず。本稿では、提出直前に起こりがちなつまずきを具体例で解消し、最短で正解にたどり着くための実務ノウハウをまとめます。
ミス① 住宅ローン控除の「年違い」を提出/方式の取り違え
症状:前年の「住宅借入金等特別控除申告書」を出す/調書方式なのに残高証明書を探し回る/連帯債務の按分ミス。
原因
- 冊子に複数年分が綴じられており、年の判定を誤る。
- 借入先が調書方式対応か、証明書方式かを確認していない。
対策
- 「その年分」のページだけ使用(見出しと年号を声出し確認)。
- 会社の案内 or 銀行の通知で方式をチェック。調書方式なら年末残高等証明書の提出不要のことあり。
- 連帯債務・共有は各人分の申告書+残高で按分。
リカバリー
社内締切内なら差替え、締切後は確定申告で適用(e-Tax可)。
詳しくは「2年目以降は年末調整でOK(会社提出のコツ)」を参照。
ミス② 保険料控除証明の添付漏れ・区分入力ミス
症状:生命保険の新旧区分を混同/介護医療・個人年金を未入力/地震保険・iDeCoの証明未添付。
原因
- 10〜11月の郵送・メール・マイページ配布を取りこぼす。
- 書式上、区分(新契約/旧契約、一般/介護医療/個人年金)が分かりにくい。
対策
- メール検索:「控除証明」「地震保険」「iDeCo」「払込証明」で一括回収。
- 保険は契約ごとに入力(新旧・区分をフォームに沿って分ける)。
- iDeCo/小規模共済は掛金払込証明書をアップロード。
リカバリー
年内に間に合わなければ、確定申告で控除追加が可能(源泉徴収票+各証明)。
ミス③ ふるさと納税を年末調整で処理できると思い込む
結論:年末調整では寄附金控除は扱いません。ワンストップ特例か確定申告で対応します。
落とし穴
- 住宅ローン控除の初年度で確定申告をする年に、ワンストップ特例を出してしまう(→無効)。
- 寄附先が6自治体以上(→ワンストップ不可)。
対策
- 確定申告する年は寄附もまとめて申告。
- ワンストップは翌年1/10必着。住所・氏名変更時は各自治体に変更届。
図解は「年末調整×ふるさと納税」で詳説。
ミス④ 会社の締切を甘く見る(氏名・住所・マイナンバー不整合も)
症状:証明書の再発行待ちで遅延/旧姓・旧住所のまま/マイナンバー未登録で差戻し。
対策
- 社内締切を2週間前倒しで自分の締切に設定、カレンダー通知を2回。
- 住所・氏名変更は先に会社・保険・銀行へ一斉連絡し、証明書を最新表記に。
- 残高証明の紛失はまず再発行。「年末残高等証明書の再発行」を参照。
リカバリー
間に合わなければ、その年分は確定申告で救済(還付申告は原則5年内)。
社内連絡テンプレ:「年末調整書類の一部が締切に間に合わないため、当該控除は確定申告で手続きします。源泉徴収票の発行予定日をご教示ください。」
ミス⑤ 年末調整の対象外なのに“済んだ”と思い込む
要注意ケース:年末在籍なし/2か所給与/給与収入2,000万円超/副業・不動産・株の譲渡等がある。
対策
- 年末調整は主たる給与の精算に限られる。対象外は確定申告で処理。
- 副業等の収支は早めに集計し、必要書類(支払調書、年間取引報告書等)を保管。
リカバリー
年末調整で反映できなかった分は、2〜3月の確定申告でまとめて精算すればOK。
提出直前の「1分チェックリスト」
よくある質問(Q&A)
Q. 住宅ローン控除の初年度ですが、年末調整で何か出しますか?
A. いいえ。初年度は確定申告が必要です。2年目以降は年末調整で継続。
Q. 残高証明のPDFで大丈夫?
A. 会社の年末調整システムがPDFアップロード対応なら可のことが多いですが、社内ルールを確認してください。
Q. ワンストップ特例を出しているのに確定申告もします。どうなりますか?
A. 確定申告が優先されます。寄附は申告にまとめて入力してください。
次に読む(回遊で取りこぼしゼロへ)

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