高校進学は人生の大きな節目です。
しかし多くの家庭にとって最初に立ちはだかる壁が「学費の負担」でしょう。
2025年4月から高校就学支援金の所得制限が撤廃され、公立高校は実質無償、私立高校も負担軽減が進みました。
それでも授業料以外の費用や私立特有の追加費用は残ります。
ここで頼りになるのが教育ローンと奨学金ですが、仕組みや返済条件が複雑で「結局どれを使えばいいのか分からない」という声も少なくありません。
本記事では、これら三つの制度を徹底比較し、併用して家計負担を最小化する方法を具体的に解説します。
就学支援金の基礎知識をおさらい
支援金の目的と仕組み
就学支援金は授業料に対して国が直接補助を行う制度です。
2025年4月の改正により、所得制限が撤廃され全世帯が対象になりました。
公立高校では年間11万8,800円が全額支給され、授業料が実質無料となります。
私立高校では2025年度は最大39万6,000円、2026年度からは全国平均授業料45万7,000円が上限に引き上げられる予定です。
支援金の注意点
支援金は授業料のみを対象とし、制服・教材・修学旅行費などには適用されません。
また申請を忘れると支給されず、長期欠席や退学で打ち切りになるリスクもあります。
教育ローンと奨学金の基礎知識
教育ローンの特徴
教育ローンは金融機関や日本政策金融公庫が提供する目的別ローンです。
一括借入・元利均等返済が基本で、在学中から返済が始まる場合が多い点が特徴です。
金利は固定と変動があり、公庫の「国の教育ローン」は固定金利で1.95%程度が目安です。
保証料が別途かかる場合や、世帯年収の上限が設けられる場合もあります。
奨学金の特徴
高校段階で利用できる奨学金には、日本学生支援機構(JASSO)の給付型と貸与型、都道府県や民間団体の独自制度があります。
給付型は返済不要ですが採用枠が限られ、定められた成績・所得条件を満たす必要があります。
貸与型は無利子と有利子があり、返済開始は卒業後が一般的です。
金利は上限3%ながら実際は0.1~0.5%程度に抑えられることが多く、教育ローンより返済負担が軽いケースもあります。
三制度を徹底比較
支援対象と使途
就学支援金は授業料限定。
教育ローンは授業料・入学金・制服代・通学定期など幅広く活用可能。
奨学金も多くは自由度が高く、パソコン購入や留学費用に充当できる場合もあります。
返済義務と負担時期
就学支援金は返済不要。
教育ローンは借入直後から返済開始の場合が多く、親が負担するケースがほとんど。
奨学金は卒業後に本人が返済するため、家計のキャッシュフローには即時影響しません。
金利とコスト
就学支援金は無償給付。
教育ローンは金利1~4%程度+保証料。
奨学金は無利子または0.5%前後と低金利だが、貸与総額が大きいと長期返済になるため注意が必要です。
併用のコツと資金計画シミュレーション
ステップ1 まずは就学支援金を最大限活用
最優先は返済不要の就学支援金です。
授業料は制度でカバーし、自己資金は教材費や活動費に充てることで家計への即時負担を抑えられます。
ステップ2 不足分を奨学金で補う
次に検討すべきは給付型奨学金です。
自治体や民間財団の情報を積極的に収集し、返済不要枠を広げましょう。
給付型が難しい場合は無利子貸与型を優先し、有利子型は最終手段と位置づけます。
ステップ3 最後に教育ローンでキャッシュフローを調整
どうしても足りない場合は教育ローンで一時的に資金を確保します。
返済期間はできるだけ短く設定し、在学中の繰上返済も視野に入れることで利息負担を最小化できます。
具体的シミュレーション例
私立高校で年間総費用100万円のケースを想定します。
授業料45万7,000円は就学支援金で全額補助。
残り54万3,000円のうち、給付型奨学金で10万円、無利子貸与型で20万円を確保。
不足24万3,000円を教育ローンで借入し、3年返済(ボーナス併用)で年1.8%固定とすると、総支払利息は約7,000円に抑えられます。
結果、家計からの持ち出しは年間約18万円まで削減可能です。
まとめ 高校資金は組み合わせ戦略で乗り切る
高校就学支援金のおかげで授業料負担は大幅に軽減されましたが、完全にゼロになるわけではありません。
返済不要の制度を最優先し、低金利の奨学金で補い、最後に教育ローンでキャッシュフローを調整する。
この順番を守るだけで負担総額は大きく変わります。
制度は毎年更新されるため、最新情報のチェックと早めの資金計画が成功の鍵です。
本記事が皆さまの進学準備に役立てば幸いです。
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