Notionに乗り換えるべきか、今使っているGoogleドキュメントやEvernoteを継続すべきか——多くのユーザーが抱える悩みです。
ドキュメント共有、メモ、タスク管理など、目的別に複数ツールを使い分けるのは便利な反面、情報が散在し「どこに書いたか分からない」状態に陥りがち。
そこで注目されるのが“オールインワン”を掲げるNotionですが、「本当に置き換えられるの?」「結局使いにくいのでは?」という疑問も少なくありません。
この記事では機能性・操作性・コスト・協働性・拡張性の5観点から、NotionをGoogleドキュメント・Evernoteと比較。特徴を分かりやすく整理し、乗り換え判断の材料を提供します。
機能性:できることの幅と深さ
Notion:ブロック&データベースの柔軟性
Notion最大の魅力は、テキスト・画像・チェックボックスなどをブロック単位で自由に配置できる点です。
さらにブロックを集約したデータベースは、テーブル・カンバン・カレンダー・ガントなど多彩なビューへ瞬時に変換可能。
メモもタスクもプロジェクト管理も、同じデータを軸に多角的に表示できるため、情報の“再利用性”が段違いです。
Googleドキュメント:文書作成に最適化
GoogleドキュメントはWordライクなリッチテキストをオンラインで共同編集できる点に特化しています。
アウトライン表示やコメント履歴、校正モードなど、長文執筆とレビューにおいてはトップクラスの使い勝手。
ただしタスク管理ビューやデータベース連携は想定されておらず、“文章”以外の情報管理に転用するには限界があります。
Evernote:マルチメディアメモの蓄積力
EvernoteはWebクリップやPDF、音声などをノートとして保存し、ノートブックとタグで整理するアーカイブ型の設計が特徴です。
検索精度が高くOCRで画像内テキストも拾えるため、資料保管庫として信頼できます。
一方、ノート同士のリレーションやビュー切替といった“データの見せ方”は限定的です。
操作性:UI・UXと学習コスト
Notion:ドラッグ操作とスラッシュコマンド
Notionはドラッグ&ドロップでレイアウトを編集でき、/(スラッシュ)コマンドでブロックを呼び出す点が直感的。
初心者でも数時間で基本操作を習得できますが、データベースやRelationなど高機能を使いこなすには段階的な学習が必要です。
言い換えれば“使い方次第で化ける”ポテンシャルを秘めています。
Googleドキュメント:MS Office経験者は即戦力
リボンUIに近いツールバーとショートカット群のため、Word経験者はほぼ説明不要で操作可能。
共同編集のコメント挿入や提案モードもボタン一つで呼び出せるため、学習コストがほぼゼロというのが最大の強みです。
ただし機能が縦割りでシンプルな分、応用拡張は難しく“深掘りする余地”は少なめです。
Evernote:従来型メモアプリの安心感
画面左のノートブックツリーと右ペインのノート表示というクラシックUIは、昔からのユーザーにとって非常に分かりやすい設計。
Webクリップ拡張を押すだけで記事保存→自動タグ付けが完了するストレスフリーさは健在。
ただし複雑なレイアウトやカスタムビューを作るには向いていません。
コスト:無料範囲と有料プランの差
Notion:無料でほぼ無制限、添付5MB制限に注意
Freeプランでもページ・ブロック無制限でチーム招待も可能。
制限は「ファイル1件5MB」だけなので、テキスト中心ならコストゼロで十分運用できます。
大容量ファイルを多用する場合は月10ドル前後のPlusプランへ移行が必要です。
Googleドキュメント:Google Workspace契約の有無
個人利用なら基本無料ですが、ビジネス利用で管理コンソールを使いたい場合はGoogle Workspace(月680円〜)が必須。
容量はGmail・ドライブと共通のため、動画や写真を大量保存しているアカウントではストレージ課金が避けられません。
Evernote:月60MBのアップロード上限
無料のEvernote Freeは月60MBのアップロード制限と同期デバイス2台までという制約がネック。
ビジネス用途では月1,000円前後のPersonal/Professionalプランが必要になるケースが多いです。
協働性:リアルタイムコラボと共有管理
Notion:ページ単位の権限とライブ同期
NotionはLive Cursorで同時編集者のカーソルが表示され、コメント・メンションもSlackライクに飛ばせます。
ページごとに「閲覧・コメント・編集」権限を細かく設定でき、外部ゲストも無料で招待可能。
データベースを使えばチームWiki+タスクボードを一体化できるため、協働のスピードと透明性が向上します。
Googleドキュメント:コメント・提案モードが強力
複数人の同時文章編集では依然として最強クラス。コメントスレッドと提案モードで修正履歴を追いやすく、承認ボタン一発で反映できるワークフローは記述系ドキュメントの王道。逆にタスクやデータベースを共有する用途は不得手です。
Evernote:ノート単位の共有は限定的
Evernoteもノート単位で共有リンクを発行できますが、リアルタイム共同編集はベータレベルで成熟度が低いのが現状。コメント機能もスレッド形式ではないため、チーム議論よりは個人の情報蓄積に強みがあると言えます。
拡張性:連携アプリと自動化
Notion:API公開でZapierやMakeと連携
正式APIにより、Slack通知・Googleカレンダー同期・フォーム自動登録などノーコード自動化が可能。
Notion公式ギャラリーのテンプレート+外部ツール連携で、専門知識ゼロでも高度な業務フローを構築できます。
Googleドキュメント:Apps Scriptで自由度高
JavaScriptライクなApps Scriptでドキュメント操作を自動化したり、他Googleサービスと連携したりできる拡張性は抜群。
ただしスクリプト記述が前提のため“ノーコード”を求めるユーザーには敷居が高く、メンテナンスも自己責任です。
Evernote:Web Clipper特化のエコシステム
Evernoteは強力なブラウザWeb Clipperを中心に機能拡張が展開されていますが、API活用の事例は減少傾向。
外部タスク連携や通知系はZapier経由で可能なものの、利用者コミュニティやテンプレートの量はNotionに軍配が上がります。
まとめ
Notionはブロックとデータベースの柔軟性、リアルタイム協働、豊富な連携で“情報の一元化”を実現できる点が最大の強みです。
Googleドキュメントは文章執筆とレビュー、Evernoteはマルチメディア資料の蓄積に優れていますが、タスクやプロジェクトを同一UIで俯瞰するには追加ツールが必要になることが多いでしょう。
「複数ツールを行き来して疲れている」「チームのドキュメントとタスクをまとめたい」という場合は、無料プランでNotionを試し、データベースとビュー切替の便利さを体験してみる価値は十分にあります。
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