稲庭うどんは「切り落とし」の部分が一番美味しい!!
そう感じているのは、きっと私だけではありません。あのツルツルの喉ごしとしっかりしたコシ。
一度ハマると、ついリピートしたくなる魅力があります。細めの平打ち麺なのに、噛めばモチっと跳ね返る。
この独特のコントラストが、他のうどんでは代えがたい満足感につながるのです。
うどんと言えば秋田の稲庭うどん。名前は誰もが知る名品ですが、その稲庭うどんを手頃な価格で、しかも美味しく楽しめるのが「切り落とし(切れ端)」です。
正規品は真っすぐ均一で見た目も端正。その一方で切り落としは、長さや太さが少し不揃い。けれども、この“ちょいワイルド”が食感のリズムを生み、つゆの絡みも豊かにしてくれます。
切り落とし(切れ端)とは、製麺(製品)時に両端をカットした部分のこと。
いわば正規品としての見た目の価値は低い“はじっこ”ですが、地元スーパーやネットで格安で販売されています。
乾麺タイプが中心で、袋の中には短いもの・やや太めのものが混ざりますが、これがまた楽しい。ひと口ごとに微妙に違う噛みごたえが現れて、飽きません。
「切り落とし」といっても味は正規品と同じ。むしろ、真っすぐ整えられた製品部分よりやや太めで、噛むほどに満足感があります。
稲庭独特の滑らかな表面と、芯に感じるコシはそのまま。短い分だけ鍋で扱いやすく、ゆで上がりが早いのも日常使いにはうれしいポイントです。
しかも価格がうれしい。写真の品は秋田のスーパーで購入した切り落とし900gで550円。
同じ量を製品の稲庭うどんで買うとなると数千円は覚悟…それほど稲庭うどんは高級品なのです。
家計にやさしいのに贅沢な満足感、というギャップが「切り落とし」の大きな魅力と言えます。
というわけで、見た目は控えめでも味はまったく遜色なしの稲庭うどん・切り落とし(切れ端)を、さっそくいただきます。
たっぷりのお湯で茹でる
まずは大きめの鍋でたっぷりのお湯を用意。稲庭はデリケートなので、鍋の中に余裕を持たせて対流をしっかり生み、麺同士のくっつきを防ぐのがコツです。
お湯はグラグラの沸騰状態まで上げ、投入直後は菜箸でそっとほぐします。塩は不要。表示時間の30秒〜1分手前で1本取り上げ、食感を確かめながら仕上げるとベストです。
茹でる前から伝わる、このツルツルとした麺肌。思わず見とれるほどの美しさです。切り落としは長さが短いぶん、湯中でくるくる対流して均一に火が入るのも良いところ。
吹きこぼれが心配なら火力を少し落とし、差し水は極力しない(温度を下げない)ほうが、のちの喉ごしが段違いに良くなります。
片手で4掴みほど投入。麺は短めなので、鍋の中でくるくると踊るように対流していきます。ゆで上がったらザルにあげ、流水でぬめりを落とし、冷たいメニューなら氷水でキュッと締める。
温かく食べるときも、一度軽く洗ってから温つゆに戻すと、表面が整って口当たりがグンと良くなります。
出し汁(茅の舎)
食べ方はだし汁だけで十分。ここでのポイントは、濃くしすぎないこと。稲庭の魅力は、繊細な小麦の甘みとするりと入る喉ごし。
つゆが勝ちすぎるともったいないのです。薄口に仕立て、最後に好みで塩や淡口しょうゆをほんの数滴。薬味は小ねぎ・おろし生姜・柚子皮少々くらいが、上品な調和を保ちます。
今回は「茅の舎だし(焼きあご)」を使用。品のある旨みが麺の甘さを引き立てます。冷たいつゆでも温かいつゆでも、雑味が出にくくクリア。切り落としの“太さのゆらぎ”にも負けず、最後までバランス良く楽しめます。
ツルツル麺
見てください、この艶。口に運べば、ツルリと滑って、もっちりと心地よい弾力。思わず箸が止まらなくなる喉ごしです。
ツルツル具合だけでいえば、ゆで卵の表面をも超えるかもしれません。短い麺は子どもでも啜りやすく、ひと口サイズで食卓が進みます。
だしにくぐらせると、麺が淡い黄金色に。子どもでもその違いが分かるようで、「うどんが甘い!」という名コメントが飛び出しました。麺が短く食べやすいのもあって、家族4人で驚くほどの量をペロリ。
最初の4掴みでは足りず、すぐに追加で茹でることに。待っている間も、次の一杯を心待ちにしていました。
ちなみに秋田空港でも、稲庭うどんの切り落としは販売されていました。見かけたらぜひ手に取ってみてください。
切り落としを美味しくする小ワザ
切り落としは長さも太さも少しだけ不揃い。その個性を活かすコツをいくつか。
・鍋は大きめ:対流が弱いと麺同士がくっつきやすく、せっかくの滑らかさが損なわれます。
・ほぐしは“最初だけ丁寧”:投入直後30秒のやさしいほぐしで、その後は触りすぎないのが吉。
・仕上げの“1本試食”:表示より少し手前で弾力を確認し、ベストのタイミングで引き上げます。
・冷水でキュッ:冷やして食べるときは氷水で締め、表面を整えて艶を出します。温かいときも一度洗うと雑味が抜けます。
おすすめの食べ方アレンジ
素材の良さを邪魔しない、家族ウケ抜群の簡単レシピを3つ。
・すだち冷かけ:薄味のだしにすだち(またはレモン)を数枚浮かべ、仕上げに胡麻。稲庭の甘みが際立ちます。
・釜玉バター:ゆでたてを水で締めずに丼へ。卵黄と少量のバター、淡口しょうゆを回しかけ、素早く混ぜるだけ。切り落としのモチ感が主役に。
・鶏ささみ温つけ:温つゆにほぐしたささみ・生姜を入れ、麺をくぐらせて。たんぱくで軽やか、夜食にも向きます。
保存とストックのコツ
乾麺の切り落としは湿気を避けて常温が基本。開封後はチャック付き袋に乾燥剤を入れて保管を。
ゆでた麺は当日中に食べ切るのが理想ですが、どうしても余ったら軽く油をまぶし、ラップの上から密閉して冷蔵庫へ。翌日は温つゆに直接くぐらせれば復活します(長期保存はおすすめしません)。
どこで買える?選び方のヒント
地元のスーパーや物産展、ネットショップで見かけます。袋越しに白くて艶があり、折れ粉が少ないものを選ぶと、家庭での扱いが楽。
量は500〜900gなど大袋が多いので、来客や作り置きにも心強いです。旅のついでに立ち寄った秋田空港の売店にも置いてあり、手土産にしても喜ばれました。
まとめ:日常価格で楽しむ“ごちそう麺”
稲庭うどんの「切り落とし」は、見た目の端正さこそ控えめでも、肝心の味・喉ごし・コシは堂々の本格派。
短く不揃いな形状が、むしろつゆ絡みと食感のバリエーションを生み、家族みんなでわいわい食べるのにぴったりです。しかもコスパ優秀。
大きめの鍋と薄味のだし、そして少しのコツさえあれば、日常の食卓が一気に“ごちそう”に。見かけたら迷わずカゴへ。稲庭の新しい楽しみ方が、きっとあなたの定番になります。









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