日本ダービーは3歳馬にとって一生に一度の大舞台です。なかでも今年もっとも注目を集めるのが、皐月賞2着から挑むクロワデュノール。
圧倒的な前評判を武器に“1番人気”でゲートをくぐる見込みですが、外枠13番という配置や父キタサンブラック産駒のダービー無冠など、不安材料も少なくありません。
とはいえ、東京芝2400mで発揮される持続力や輸送馴れしたメンタル、皐月賞で見せたタフネスは頼もしく、陣営も「前走以上の雰囲気」と絶好の仕上がりをアピール。
この記事では、クロワデュノールの好条件と死角を多角的に分析し、明日の勝算を探ります。読み終える頃には、あなたの馬券戦略が一段とクリアになるはずです。
クロワデュノールとは?基本プロフィール
血統背景と育成環境
父は天皇賞・春秋連覇のスタミナモンスターキタサンブラック、母は英愛2000ギニー馬Cape Crossを父に持つライジングクロス。
日本と欧州の長距離血統が交差し、2400m前後でこそ真価を発揮すると評されます。
ノーザンファームで早期からじっくり鍛えられ、筋肉量豊富な体躯と落ち着いた気性を両立。育成過程での故障履歴もなく、3歳春時点の完成度は世代屈指です。
戦績と成長曲線
2歳時に東スポ杯→ホープフルSを連勝し、JRA最優秀2歳牡馬を受賞。皐月賞では外々を回るロスをものともせず2着に粘り込み、改めて高い底力を証明しました。
着順以上に評価したいのはラスト5Fのラップを11秒台で刻み続けた持続性能。
春の成長期を経て馬体重+10kgと着実にパワーアップしており、「今まさに伸び盛り」と陣営は自信をのぞかせます。
騎手・厩舎の強み
鞍上はダービー3度目の挑戦となる北村友一騎手。GⅠ勝利実績は十分で、折り合い重視の冷静な手綱さばきが魅力です。
管理する斉藤崇史調教師はクラシックでの実績こそ少ないものの、放牧と在厩をバランスよく組み合わせる調整が得意。皐月賞後は社台グループの最新リカバリー設備を活用し、疲労を最小限に留める「理想ローテ」を実践しています。
日本ダービーで光る好条件
東京芝2400mへの高い適性
東京コースは3コーナー手前からの下り坂と長い直線が特徴で、持続力勝負になりやすい舞台。
クロワデュノールはラスト4Fを11秒台で刻むタイプのため、瞬発力一発型よりも長く脚を使える点がプラス材料です。
また、2歳時に同距離のホープフルSを余力残しで制した経験が自信につながります。
輸送・調整の順調さ
関東遠征はこれで6度目。いずれも馬体減りはなく、パドックでテンションが上がりにくいのが強みです。
今回は木曜朝に栗東を出発、金曜午前に美浦入りという“余裕のある日程”で、到着後の馬体重は皐月賞比+2kg。厩舎スタッフは「前走より毛ヅヤが良く、トモの張りが増した」と手応えを口にします。
馬場状態と展開の追い風
週中に降った雨は金曜までに止み、馬場は稍重→良へ回復見込み。クロワデュノールは皐月賞のタフ馬場でも力を発揮しており、多少の渋りも苦にしません。
また、先行~好位勢に有力馬が少なく、ミドルペース想定ならマイペースの番手競馬に持ち込める公算大。追って味のある差し・追い込み馬が脚を余す展開は歓迎材料です。
それでも気になる死角
枠順とスタートポジション
7枠13番は外目の並び。東京2400mのCコース替わりは内ラチ沿いが伸びやすく、コーナー2回で距離ロスが大きくなる点は無視できません。
スタートから最初のコーナーまで約350mしかなく、好位を取るにはある程度脚を使う必要があります。序盤で脚を使い過ぎると直線で粘りを欠く恐れがあり、この位置取り戦が最大の課題といえそうです。
皐月賞の激走後の反動
皐月賞で外々を回しつつ上がり最速に迫る脚を繰り出した反動は、3歳馬には想像以上に大きいもの。
調教では軽快な動きを見せていますが、本番の最後の100mで“目に見えない疲労”が影響するケースは珍しくありません。
過去10年、皐月賞で3着以内好走後にダービーを勝ち切れなかった馬は6頭。決して侮れない統計です。
キタサンブラック産駒のダービー未勝利
種牡馬キタサンブラックは産駒のスタミナが高く、長くいい脚を使える一方、トップスピードの質が問われる直線だけの瞬発戦には分が悪いとされています。
ダービーにおいては2024年ジャスティンミラノの2着が最高着順。クロワデュノール自身は瞬発力も兼備しているものの、父系の“あと一伸び”が届かないジレンマは頭に入れておきたいポイントです。
レース展開シミュレーションと勝負パターン
パターンA:ミドルペース先行押し切り
平均64~65秒の1000m通過で流れれば、クロワデュノールは2〜3番手の外目をスムーズに追走。3コーナー下りで軽く息を入れ、直線入口で早め先頭。
残り200mからの持続力勝負に持ち込み“押し切りV”のシナリオです。最大のカギはスタート直後にロスなく好位を確保できるかどうか。
パターンB:上がり勝負の粘り込み
前半60秒台前半のスローペースになると、道中は折り合い専念。直線勝負で11秒台前半のラップを3連発し、ゴール前で後続の強襲をクビ差凌ぐイメージです。
東京2400mは瞬発力特化型よりも“長く脚を使える差し・先行馬”が強い傾向があるため、クロワデュノールの脚質に合致します。
パターンC:ハイペースでのスタミナ比べ
前半59秒を切るハイペースになった場合、逃げ先行勢がバテる展開でもキタサンブラック譲りのスタミナが活きます。
好位の後ろで脚を温存し、ラスト600mからロングスパート。タフ馬場適性の高さも相まって、消耗戦に対応可能です。もっとも、外枠による距離ロスが顕在化しやすいため“3着以内”を死守するイメージが現実的でしょう。
馬券戦略:買い方とオッズ妙味
単勝・複勝で狙う場合
前日オッズは単勝2.5倍前後。支持率が高いものの、皐月賞で2着に敗れた人気馬がダービーで巻き返す例は多く、軸としての信頼度は高めです。
複勝1.3~1.5倍想定は“金額勝負”向き。リスクを抑えてリターンを狙うなら複勝+押さえ程度に単勝を添えるフォーメーションが安定します。
馬連・ワイドの穴狙い
死角が明確な外枠組や差し脚鋭い伏兵を組み合わせると妙味が一気に上昇。クロワデュノール軸のワイド流しなら的中率と配当のバランスが良好です。
相手候補は内枠でロスなく立ち回れる前残りタイプと、展開利を受ける差し馬を2頭ずつ計4頭に絞るのがベター。
三連系での資金配分
外枠リスクを考慮しつつも馬券圏内の確率は高いと判断し、三連複1頭軸全流しが基本線。
点数を抑えたい場合は「内枠先行+差し1頭」にフォーカスした9点前後のフォーメーションでも魅力十分です。
三連単では“2着付け”のフォーメーションがオッズと的中率のバランスを取りやすく、回収率向上を狙えます。
まとめ
クロワデュノールは東京芝2400mへの高い適性、輸送馴れした落ち着き、そして皐月賞で示した持続力という三大強みを携え、日本ダービー制覇へ万全の態勢を整えました。
一方で外枠13番による位置取りリスクと、激戦後の反動という“見えない壁”も存在します。
鍵を握るのはスタートからの3ハロンでロスなく好位に付けられるかどうか。もし序盤をスムーズに運べれば、ゴール前でもうひと伸びするシーンが十分期待できます。
好条件と死角を把握した上で馬券戦略を練ることが、明日のダービーを最大限に楽しむ近道です。
どうかレースを見届けるその瞬間まで、クロワデュノールのドラマにご注目ください。
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