住宅ローン控除を受けていると、毎年の年末調整の回数が気になりますよね。
とくに「初年度は確定申告で手続きしたけれど、その後の年末調整は何回必要なの?」「10年控除なのに、会社での年末調整は9回で終わってしまうけど大丈夫?」と不安になる方は少なくありません。
結論からいうと、初年度を確定申告で処理しているなら、年末調整は9回でOKというケースが一般的です。
つまり、「確定申告1回+年末調整9回=合計10年分の控除」という考え方になります。
この記事では、住宅ローン控除の年末調整の回数に迷っている方向けに、
「なぜ9回でいいのか」「自分のケースはどう数えればいいのか」「実務上どう動けば安心か」を、初心者にも分かりやすく解説します。
「今年で何年目?」「あと何回?」とモヤモヤしたまま年末調整の書類を書く前に、ぜひこの記事でスッキリ整理しておきましょう。
住宅ローン控除と年末調整の基本ルール
住宅ローン控除の適用期間は「年数」で考える
まず押さえておきたいのは、住宅ローン控除は「回数」ではなく「何年分」適用されるかで決まっている制度だということです。
多くのケースでは、居住を開始した年から一定期間(例:10年や13年など)、毎年の所得税から控除を受けることができます。
ここで大事なのは、
・「今年は何回目の手続きか」ではなく
・「今年は控除期間の何年目か」
を意識することです。
たとえば控除期間10年の人であれば、
「1年目・2年目・3年目…10年目」まで、それぞれの年に対して控除を受ける権利があります。
この“10年分”をどういう組み合わせで手続きするかが「確定申告」と「年末調整」の違いに過ぎません。
初年度は確定申告、2年目以降は年末調整が原則
会社員(給与所得者)の場合、住宅ローン控除の初年度は確定申告が必要です。
そのうえで、2年目以降は勤務先の年末調整で手続きできるというルールになっています。
流れを整理すると、次のようになります。
- 1年目:自分で税務署に行き確定申告(またはe-Tax)
- 2年目以降:会社の年末調整で住宅ローン控除を申告
つまり、控除期間が10年なら、
・1年目 → 確定申告で1年分
・2~10年目 → 年末調整で9年分
という形で、合計10年分の控除を受ける仕組みです。
控除期間10年の場合の「1回+9回」というイメージ
今回あなたが迷っているポイントは、まさにここだと思います。
「10年控除なのに、年末調整は9回でいいの?」という疑問ですね。
控除期間が10年の場合、手続きの合計は次のように整理できます。
- 初年度:確定申告で1回分の控除
- 2年目~10年目:年末調整で9回分の控除
- 合計:10年分の控除を受ける
このように、「確定申告1回+年末調整9回」=10年分になるので、
「年末調整は9回で終わる」というのは、ルール上まったく問題ありません。
なぜ「年末調整は9回」で良いのか
1年目の確定申告がすでに1年分をカバーしている
「9回でいいの?」と不安になる最大の理由は、“10回手続きしないと損しそう”という感覚だと思います。
しかし、これは“初年度分を忘れている”ことが原因で起こる勘違いです。
初年度は、すでに確定申告で1年分の住宅ローン控除を受けています。
そのため、残りは「2年目~10年目」の9年分だけ年末調整で手続きすればOKというわけです。
イメージとしては、
- スタンプカード10マスのうち、1マス目は確定申告でスタンプ済み
- 残りの9マスを、毎年の年末調整で埋めていく
という感じです。
なので、年末調整が9回なのは「1マス目が別枠で押されているから」と考えると分かりやすいです。
税務署から届く申告書の枚数と使い方
初年度の確定申告が終わると、後日税務署から「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」がまとめて送られてきます。
この用紙を、2年目以降の年末調整で1年に1枚ずつ使っていくイメージです。
ポイントは次のとおりです。
- 送られてくる申告書は、控除期間の2年目以降の年数分用意されている
- 毎年「今年の分」の申告書だけを切り離して、年末調整の書類と一緒に会社へ提出する
- 使い終わった申告書は、その年の分の控除が完了した印になる
つまり、控除期間10年なら、2~10年目の申告書を順番に使うだけです。
その意味でも、年末調整での手続きは9回で自然に終わるということになります。
13年控除の場合の回数の考え方
最近は、入居した年や住宅の性能によって最大13年間の控除が受けられるケースも増えています。
この場合も、考え方はまったく同じです。
たとえば控除期間が13年の場合、
- 1年目:確定申告で1年分
- 2~13年目:年末調整で12年分
- 合計:13年分の控除
となるので、年末調整の回数は12回ということになります。
つまり、どのパターンでも基本形は、
「控除期間 = 確定申告1回 + 年末調整(控除期間-1)回」
と覚えておけばOKです。
回数を迷いやすいケース別チェック
途中で転職・退職した場合の回数の数え方
住宅ローン控除の期間中に転職や退職があると、
「この年は年末調整をしていないから、回数から外れるのでは?」と不安になる方もいます。
しかし、ポイントは「その年分の控除を、確定申告または年末調整のどちらかでちゃんとやったか」です。
・転職して年末調整のタイミングに間に合わなかった
・退職して年末調整をしてもらえなかった
といった場合でも、自分で確定申告をすれば、その年の1年分はしっかりカバーできます。
その年だけ「年末調整」ではなく「確定申告」で処理した、という扱いになるだけです。
したがって、回数を数えるときは「年末調整か確定申告か」にこだわらず、「何年分処理したか」で考えればOKです。
夫婦二人でローンを組んでいる場合
夫婦でペアローンを組んでいる場合は、
「自分は何回?パートナーは何回?」とさらに混乱しやすいポイントです。
基本の考え方は次のとおりです。
- それぞれが自分名義のローンについて、自分の所得から控除を受ける
- 控除期間は、それぞれのローンについて居住開始年からカウントする
- 初年度は、それぞれが自分で確定申告を行う必要がある
したがって、夫婦とも会社員で、控除期間10年の場合は、
・夫:確定申告1回+年末調整9回
・妻:確定申告1回+年末調整9回
というイメージになります。
「人ごとに10年」なので、夫婦でローン控除を利用している場合は、
回数も人数分だけ存在すると考えると整理しやすいです。
確定申告に戻した年がある場合
途中の年で、何らかの理由から再び確定申告で住宅ローン控除を行った年がある場合もあります。
たとえば、
- 副業などで確定申告が必要になった
- 医療費控除やふるさと納税のワンストップ特例を使わなかったため、確定申告をした
このような場合も、「その年の1年分は、確定申告で処理しただけ」という扱いです。
重要なのは、
- 何年目の控除を、何の方法で処理したか
- 控除期間のうち、まだ処理していない年が残っていないか
を整理することです。
確定申告に切り替えた年があっても、年数のカウント(何年目か)がズレるわけではないので、安心してください。
年末調整で住宅ローン控除を申請する実務
年末調整までの年間スケジュールをイメージしよう
回数の不安を減らすには、毎年のざっくりスケジュールをイメージしておくと安心です。
例として、一般的な流れはこんな感じになります。
- 10月ごろ:金融機関から住宅ローンの年末残高証明書が届く
- 秋~初冬:勤務先から年末調整の書類一式を受け取る
- そのタイミングで:当年分の住宅借入金等特別控除申告書を1枚用意する
- 会社の締切日までに:各種書類と合わせて提出
毎年このサイクルを繰り返すだけなので、「今年も1年分を処理した」という感覚でOKです。
「もう何回やったか」を数えるより、「今年の分をきちんと出したか」を確認する方が実務的には大事です。
必要書類と会社に提出するタイミング
年末調整で住宅ローン控除を受けるときに、基本的に必要なのは次の2つです。
- 住宅借入金等特別控除申告書(当年分)
- 住宅ローンの年末残高証明書
勤務先から年末調整の案内が来たら、
「今年の年分」と書かれた申告書を1枚だけ切り離し、年末残高証明書と一緒に提出します。
最近は「調書方式」といって、条件次第では残高証明書の提出が不要になるケースもありますが、
いずれにせよ「その年の控除分を処理する書類を1セット出す」という考え方は同じです。
書き間違えしやすいポイントと注意点
年末調整の住宅ローン控除で、よくあるつまずきポイントは次のようなものです。
- 「何年目」かの記入を間違える
- そもそも初年度の確定申告を忘れている
- 住所や氏名、借入先金融機関の名称などの記入漏れ
特に「何年目」の欄は、居住開始年から数えて何年目かを書くので、
「年末調整が何回目か」と混同しないように注意しましょう。
分からなくなったら、
- 最初に入居した年
- 初年度の確定申告をした年
- その後、年末調整で申告した回数
を紙に書き出して整理すると、「今年は〇年目だ」と落ち着いて把握できます。
不安を減らすための考え方とチェックリスト
「何回やるか」より「何年適用されるか」を意識
ここまで読んでいただくと分かるとおり、住宅ローン控除は「年末調整の回数」を競う制度ではありません。
本質的には、「控除期間(10年・13年など)の各年分を、きちんと処理できているか」が重要です。
その意味で、
- 初年度は確定申告で1年分を処理
- 残りの年数分を、年末調整や確定申告で漏れなく処理していく
という全体像さえ押さえていれば、
「年末調整は9回で終わるけど大丈夫?」という不安は不要です。
自分の控除期間とこれまでの申告履歴を一覧化
それでも不安な方は、簡単な一覧表を作っておくと安心です。
例として、次のような表をノートやメモアプリに作ってみてください。
- 1年目:202X年分 → 確定申告で処理
- 2年目:202X+1年分 → 年末調整で処理
- 3年目:…
- …
- 10年目:…
・どの年をどの方法で処理したか
・まだ処理していない年がないか
を一覧化しておくと、「あと何年分残っているか」がすぐに分かります。
これが把握できていれば、年末調整の回数が9回でも12回でも、焦る必要はありません。
分からないときに相談すべき相手
どうしても不安が消えないときは、次のような相手に相談するのもおすすめです。
- 勤務先の総務・人事・経理担当
- 最寄りの税務署の相談窓口
- 税理士などの専門家
その際には、
- 住宅ローンの借入年月日・入居日
- 初年度に確定申告をした年
- これまで年末調整で手続きした年
をメモにまとめて持っていくと、話が早く進みます。
「自分の状況を整理したうえで相談する」だけでも、不安はかなり軽くなりますよ。
まとめ
住宅ローン控除の年末調整の回数については、
「初年度は確定申告で処理しているので、年末調整は9回となります」という考え方で問題ありません。
大切なのは、
- 控除期間全体(10年・13年など)の各年分がきちんと処理されているか
- 1年目は確定申告、2年目以降は年末調整という基本ルール
- 転職や退職があっても、確定申告を組み合わせれば1年分ずつカバーできる
というポイントです。
もしあなたがすでに初年度を確定申告で済ませているなら、年末調整は9回でOKです。
「今年の分をちゃんと申告できたか」「控除期間の何年目まで終わっているか」を意識しながら、
落ち着いて年末調整の書類を書いていきましょう。
不安なときは、一人で悩まず、会社や税務署、専門家に相談することも検討してみてくださいね。

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