退職後の国民年金はいくら?保険料の目安と免除・猶予をやさしく解説

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会社を退職したあと、健康保険や雇用保険のことはネットでよく調べるのに、「退職後の国民年金、いくら払うことになるの?」という点は意外と後回しになりがちです。

いざ役所からハガキが届いて、「毎月こんなに払うの?」と驚いてしまう人も少なくありません。

とくに退職直後は、収入が減ったりゼロになったりしがちなので、「国民年金を本当に払えるのか」「免除や猶予は使っていいのか」と不安が膨らみますよね。
とはいえ、ここで何もせず放置してしまうと、将来の老齢基礎年金が減ったり、未納期間として扱われるなど、あとからじわじわ効いてくるリスクもあります。

この記事では、退職後に気になる「国民年金はいくら払うのか」を中心に、
・退職後の国民年金保険料のざっくりした目安
・収入が厳しいときに使える免除・納付猶予の考え方
・未納を避けるための現実的な選択肢
を、初心者向けにやさしく解説していきます。

あわせて、
・「国民年金の追納は本当に得なのか?」
・「配偶者の扶養に入るか、自分で払うか」
といった深掘りテーマについても、関連記事への導線を用意していますので、気になる方は読み進めながらチェックしてみてください。

退職後の国民年金の基本と「いくら払うのか」の考え方

厚生年金から国民年金へ:退職すると年金はどう変わる?

会社員のときは、給料明細に「厚生年金保険料」としか書いておらず、国民年金を払っている感覚はほぼゼロだったと思います。
でも実は、厚生年金に入っている期間は、国民年金(基礎年金)+厚生年金の2階建てをまとめて払っている状態です。  退職すると、このうち厚生年金の部分が終了しますが、国民年金は「20歳〜60歳まで全員加入」が原則なので、会社を辞めても自動で終わるわけではありません。
会社を辞めて無職やフリーランスになった人は、自分で国民年金に入り直す(第1号被保険者になる)必要があります。

このときに初めて、
「退職後の国民年金っていくら?」
「この金額を自分で払うのはきついかも…」
と現実的な悩みが出てくるわけですね。

退職後の国民年金はいくら?ざっくり金額イメージ

国民年金の保険料は、厚生年金と違って収入に関係なく、原則「定額」です。
毎年少しずつ改定されますが、目安としては月1万数千円前後とイメージしておくと、大きくはズレません。  たとえば、
・月1万6,000円前後とすると、1年で約19万円
・3年続けると約57万円
といったボリューム感になります。

「退職して収入が不安定なのに、この金額は重い…」と感じるのは自然なことです。
だからこそ、免除・納付猶予制度という仕組みが用意されていて、「払えないなら未納にする」のではなく、「払えないなら制度を使う」方向に発想を転換するのがポイントになります。

「払わない」という選択が危険な理由

国民年金の通知を見て、
「今はお金がないし、とりあえず払わなくてもいいか」
と放置してしまう人もいますが、これはかなり危険な選択です。  理由は大きく3つです。

  •  老齢基礎年金の受取額がそのまま減る
  •  障害年金・遺族年金の要件に影響する可能性
  •  後からまとめて請求が来ることもある

未納期間があると、その月数分だけ将来の年金額が減りますし、「一定期間内に未納があると障害年金がもらえない」といった条件に引っかかることもあります。
「払えないから未納で放置」ではなく、免除や猶予を使ってでも「加入している状態」をキープするのが、将来の自分を守るうえでとても大切です。

国民年金保険料のしくみと「どれくらい負担か」の目安

国民年金の保険料は年齢に関係なく「定額制」

厚生年金は給料に比例して保険料が決まる仕組みでしたが、国民年金はシンプルです。
原則として、20歳から60歳までの人は全員同じ金額(※年度ごとに改定あり)を払う制度になっています。  そのため、
・退職前に年収800万円だった人
・退職前に年収300万円だった人
・今は無職で収入ゼロの人
であっても、「国民年金」という土台の部分の保険料は同じです。

「収入がゼロなのに、現役世代と同じ金額を払うのはきつい…」と感じる方も多いと思いますが、その違いを調整するために所得に応じた免除制度が用意されています。
まずは、この「全員同額」が前提にあると知っておくだけでも、制度の見え方が少し変わってくるはずです。

1年・3年・10年でどれくらい払うことになる?

月1万数千円と言われても、「結局トータルでどれくらい払うことになるの?」というのが気になりますよね。
ざっくりとしたイメージですが、例として月1万6,000円で計算してみると……

  •  1年(12か月) :1万6,000円 × 12か月 ≒ 19万円
  •  3年(36か月) :1万6,000円 × 36か月 ≒ 57万円
  •  10年(120か月):1万6,000円 × 120か月 ≒ 192万円

もちろん、実際の保険料は年度ごとに微調整されますので、あくまで「イメージ」としてですが、長く加入すればそれなりの総額になります。
この数字を見て、
「やっぱり重いな…」
「でも、老後に何も準備がないのも怖い…」
という揺れ動く気持ちが出てくると思います。

このあたりの「今の負担」と「将来の安心」のバランスを考えるときに、免除・猶予・追納といった仕組みが重要になってきます。

老後にもらえる年金額とのバランス感覚

国民年金は、「40年間(480か月)しっかり納めると満額」という考え方で設計されています。
未納や未加入の期間があると、その分だけ老齢基礎年金の金額が減ってしまうことになります。  たとえば、極端な話ですが、
・本来40年加入するところを35年しか納めなかった場合
・加入期間のうち5年分が未納や未加入だった場合
は、単純に40分の35=約87.5%くらいのイメージで年金額が決まってしまいます。

老後の年金は「毎月・一生涯」の話になるので、
・月5,000円少ない状態が20年続くと、総額で120万円
・月1万円少ない状態が20年続くと、総額で240万円
と、長期で見ると意外と大きな差になります。

退職直後の「今」の生活も大事ですが、将来の自分にとっての最低限の土台として、国民年金をどう扱うかを考えることが大切です。

退職後こそ知っておきたい「免除」と「納付猶予」

全額免除・一部免除・納付猶予の違い

収入が不安定な退職直後に、国民年金を満額払うのは正直しんどい、という方も多いと思います。
そんなときの味方が、保険料免除・納付猶予の制度です。  ざっくり分けると、次のような種類があります。

  •  全額免除:保険料の支払いがゼロになる
  •  一部免除:4分の3・半額・4分の1など、一部だけ払う
  •  納付猶予:今は払わず、あとでまとめて払う「後回し」

免除は、所得や世帯の状況などの条件を満たす必要がありますが、「払えないから未納」ではなく、「払えないから免除・猶予」にするだけで、将来の扱いが大きく変わります。
どの制度が使えるかは、年金事務所や市区町村窓口で具体的に判定してもらえるので、まずは相談してみるのが一番手っ取り早いです。

免除・猶予を使うと将来の年金額はどう変わる?

「免除や猶予を使うと、老後の年金額がものすごく減るんじゃないか」と心配になるかもしれません。
確かに、全額納めた場合と比べれば年金額は少なくなりますが、未納で放置するよりは圧倒的に有利です。  イメージとしては、
未納 :その期間は「0」として扱われる
免除 :将来の年金額に一部が反映される
納付猶予:いったん0だが、あとから追納すれば満額扱いに近づく
という形です。

さらに、免除や猶予を受けた期間については、あとから追納(ついのう)することで、その分の年金額を増やすこともできます。
「今はきついから一旦免除でしのぎ、余裕が出てきたら追納していく」という選択肢が取れるのは、大きな安心材料ですよね。

なお、「国民年金の追納は本当に得なのか?」については、
将来の受け取り額とのバランスや具体的なシミュレーションを含めて、
関連記事「国民年金の追納は本当に得なのか?メリット・デメリットとシミュレーション」
で詳しく解説していきますので、気になる方はあわせてチェックしてみてください。

免除・猶予の申請フローとよくある勘違い

免除や猶予を使うためには、自動的にはならず「申請」が必要です。
基本的な流れはこんなイメージです。

  •  市区町村の窓口や年金事務所で免除・猶予の相談
  •  申請書に必要事項を記入し、所得状況などを確認してもらう
  •  審査ののち、免除・猶予が認められた期間の通知が届く

よくある勘違いは、
「収入が少ないんだから、申請しなくても勝手に免除になるでしょ」
というものです。
これは基本的にNGで、申請しない限りは未納扱いになってしまいます。

「お金がないから払っていない」ではなく、「お金がないから免除・猶予を申請した」という状態を作ることが、将来の自分を守る第一歩です。

退職後のケース別 国民年金のベストな選択肢

無職期間がしばらく続きそうな場合

退職後、しばらくゆっくり休む期間を取りたい、あるいは転職活動や資格勉強などで収入のない時期が続きそうな場合は、国民年金の扱いが特に重要になります。  このケースでは、
・まずは必ず国民年金に加入する手続きをする
・そのうえで免除・猶予が使えるかどうか相談する
という2ステップが基本です。

無職期間が長引くほど、どうしても「今の生活が優先」で将来の年金が後回しになりがちですが、完全未納だけは避ける意識を持っておきたいところです。
役所の窓口で「今の生活状況」を正直に話せば、使える制度を一緒に考えてくれるはずなので、一人で抱え込まずに相談してみましょう。

すぐに転職・再就職する場合

退職後、1〜2か月以内に次の会社へ転職する場合は、厚生年金に再加入するまでの「つなぎ期間」をどう扱うかがポイントになります。  転職先の入社日によっては、
・前の会社の厚生年金が切れた日から
・次の会社の厚生年金が始まる日まで
の間に、わずかながら国民年金の第1号として加入すべき期間が発生することもあります。

この期間をどう処理するかは、年金事務所や窓口で相談すれば、
「この数日の扱いはこうなりますよ」
「一応加入手続きしておいた方が安全ですよ」
といった形で教えてもらえます。

「すぐ転職するから大丈夫でしょ」と自己判断せず、ブランク期間の長さに応じて一度は相談しておくことをおすすめします。

配偶者の扶養に入るか迷っている場合

退職後、配偶者が会社員・公務員として働いている場合、配偶者の扶養に入るか、自分で国民年金を払うかという選択肢も出てきます。  配偶者の健康保険の被扶養者になり、第3号被保険者として扱われると、自分で国民年金保険料を払わずに年金加入がカウントされるケースがあります。
一方で、パート収入が増えていくと、扶養の条件を超えてしまうこともあり、「どこまで働いていいのか」「年収の壁はどこか」という悩みもついてきます。

このあたりの「扶養か、自分で払うか」「どの働き方がトータル有利か」については、
関連記事「配偶者の扶養に入る?自分で国民年金を払う?第3号被保険者の条件と損得比較」
で詳しく整理していく予定です。
退職後にパートや短時間勤務を考えている方は、あわせてチェックしていただくと、働き方の判断がしやすくなるはずです。

未納期間を作らないために|追納と今からできる対策

未納期間があるとどんな影響が出る?

「数か月くらい未納でも大丈夫でしょ」と軽く考えてしまいがちですが、国民年金の未納期間は、じつはかなり重い意味を持ちます。  影響としては、

  •  老齢基礎年金の金額がそのまま減る
  •  障害年金・遺族年金の受給要件にひっかかる可能性
  •  後からまとめて請求が来る・差し押さえのリスク

特に、「障害年金や遺族年金」は、万が一のときに家計を守ってくれる大事なセーフティーネットです。
その入口で「未納期間が多くて受給できません」と言われてしまったら、いざというときの頼みの綱を自分で切ってしまうことになります。

だからこそ、払えないときは未納ではなく免除や猶予を選ぶ、そして余裕が出てきたら追納を検討する、という順番が大切です。

追納は本当に得?判断のポイント

「過去に免除や猶予にしてもらった期間があるけれど、追納したほうがいいのか迷っている」という方も多いと思います。
追納すると当然、今の財布からお金が減りますが、その代わりに将来の年金額が増えるというメリットがあります。  判断のポイントは、

  •  追納する期間の保険料総額はいくらか
  •  その結果、将来の年金が年間いくら増えるのか
  •  何年生きれば元が取れるか(ざっくり回収年数)

たとえば、追納に30万円かかって、将来の年金が年間3万円増えるなら、「10年もらえば元が取れる」という考え方もできます。
もちろん、寿命や物価、他の資産状況などによって「得・損」は変わるので、一概に答えが出るものではありません。

こうしたシミュレーションや、「追納するならどの期間から優先すべきか」といった話は、
関連記事「国民年金の追納は本当に得なのか?メリット・デメリットとシミュレーション」
で詳しく取り上げていきますので、追納を検討している方はあわせて確認してみてください。

今日からできる3ステップ(記録確認・相談・仕組みづくり)

「いろいろ聞いてちょっと疲れた…」という方に向けて、最後に今日からできるシンプルな3ステップにまとめてみます。

  •  ステップ1:自分の年金記録を確認する
    ねんきん定期便やねんきんネットで、未納期間や免除期間がないかをチェックします。
  •  ステップ2:年金事務所・役所に相談する
    退職後の状況(収入、今後の働き方)を伝え、使える免除や猶予、追納の可能性を一緒に整理してもらいます。
  •  ステップ3:支払い方の仕組みを作る
    口座振替にする・「年金用」の口座を分けるなど、払い忘れを防ぐ仕組みをつくります。

いきなり完璧を目指す必要はありません。
「記録を確認する」「相談する」「仕組みをつくる」という3つを一歩ずつ進めるだけでも、退職後の国民年金まわりの不安はかなり軽くなっていきます。

まとめ|退職後の国民年金は「払えないなら制度を使う」が正解

退職後の国民年金はいくら払うのかは、多くの人がモヤっと不安を抱えるポイントです。
月1万数千円という金額は、収入が不安定な時期にはたしかに重く感じますが、未納のまま放置すると、将来の年金額や万が一の保障に大きな影響が出てしまいます。

だからこそ、
・まずは退職後に国民年金へ加入する手続きをきちんと行う
・払えないときは免除・猶予制度を積極的に使う
・余裕が出てきたら追納も選択肢に入れてみる
という順番で考えることが大切です。

配偶者の扶養に入るか、自分で国民年金を払うかで迷っている場合は、
「配偶者の扶養に入る?自分で国民年金を払う?第3号被保険者の条件と損得比較」
過去の未納や免除期間の扱いが気になる方は、
「国民年金の追納は本当に得なのか?メリット・デメリットとシミュレーション」
といった関連記事もあわせて読んでいただくと、年金まわりの全体像がよりクリアになってくるはずです。

退職というライフイベントは、将来のお金のことを見直す絶好のチャンスでもあります。
この記事をきっかけに、「退職後の国民年金はいくらかかるのか」「自分はどう対応するのか」を一度整理して、少しでも不安を軽くしていきましょう。

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