年末調整で控除できる保険の見分け方|対象・対象外をやさしく解説

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「年末調整で保険料が控除できるって聞くけど、結局どの保険が対象なの?」
「医療保険・共済・自動車保険…とりあえず全部の証券を持っていけばいいの?」
「親が払っている保険や、ネットで入った保険はどう扱えばいいの?」

年末が近づくと、こんなモヤモヤを抱えたまま、とりあえず会社に書類を出している人も多いのではないでしょうか。

年末調整では、一定の条件を満たす保険料について「生命保険料控除」「地震保険料控除」として所得から差し引くことができますが、対象と対象外の線引きがわかりにくく、控除できるのに出していない・逆に対象外なのに書いてしまうといったミスも起こりがちです。

この記事では、年末調整で迷いやすい「どの保険が控除の対象になるのか」を、初心者向けに整理します。生命保険・医療保険・共済・地震保険などを具体的に示しつつ、契約者や支払者、家族名義の場合の考え方もやさしく解説します。読み終わるころには、どの証明書を年末調整に出せばいいか、自信を持って見分けられるようになるはずです。

年末調整で使える保険料控除の基本を整理しよう

まずは「生命保険料控除」と「地震保険料控除」を押さえる

年末調整で「保険料控除」と聞いたとき、まず押さえておきたいのが生命保険料控除地震保険料控除です。
生命保険料控除は、ざっくり言うと次の3種類の保険料が対象になります。

  •  一般の生命保険料(終身保険・定期保険など、死亡保障メイン)
  •  介護医療保険料(医療保険・がん保険・介護保険など)
  •  個人年金保険料(一定の条件を満たす個人年金保険)

これらは、保険会社から届く「生命保険料控除証明書」に、区分がわかるように記載されています。この証明書が手元にあれば、基本的に年末調整で控除の対象にできます。
一方、地震保険料控除は、住宅や家財にかけた地震保険の保険料が対象です。火災保険などに地震保険がセットになっている場合、「地震保険料控除証明書」が別途発行されていることが多いので、こちらも合わせて確認しましょう。
まずは、ポストに届いた証明書のタイトルを見て、「生命保険料控除」か「地震保険料控除」と書かれているかをチェックするところから始めると、仕分けがスムーズになります。

すべての保険が対象ではない!年末調整で扱えない保険の例

ここでよくある勘違いが、「保険と名のつくものは全部、年末調整で控除できる」と思ってしまうことです。実は、年末調整で扱えない保険もたくさんあります。代表的なものを挙げると、次のようなケースです。

  •  自動車保険・火災保険(地震保険部分を除く)
  •  会社の福利厚生として入っている団体保険で、自分が保険料を負担していないもの
  •  個人賠償責任保険など、損害保険の一部

たとえば、自動車保険や火災保険は「保険」ではありますが、生命保険料控除の対象ではありません。火災保険に地震保険をセットしている場合、そのうち地震保険部分だけが地震保険料控除の対象になるイメージです。
また、「会社が全額負担している団体保険」など、自分のお財布から出ていない保険料は、原則として自分の所得控除には使えません
保険証券そのものだけでなく、「誰がいくら払っているか」にも目を向けることがポイントです。

「社会保険料控除」と混同しないように注意

年末調整の書類には、社会保険料控除という欄もあります。ここは保険という言葉が付いているので、生命保険や医療保険と混同しやすい部分です。
社会保険料控除の対象は、主に次のようなものです。

  •  健康保険・厚生年金保険の保険料(給与から天引きされているもの)
  •  国民健康保険料・国民年金保険料
  •  介護保険料・後期高齢者医療保険料

これらは「保険」という名前が付いていますが、生命保険料控除とは別枠で扱われます。
年末調整の書類で、生命保険料控除と社会保険料控除の欄を間違えて記入すると、会社の担当者に修正してもらう手間が増えてしまいます。
「保険会社から届いた控除証明書を使うのが生命保険料控除」「役所や年金機構からの通知や、給与明細で確認するのが社会保険料控除」というイメージで切り分けておくと、迷いにくくなります。

生命保険・医療保険・共済はどこまで控除できる?

一般の生命保険の対象と、対象外になりやすいパターン

まず、多くの人が加入している終身保険・定期保険・養老保険などの「死亡保障メイン」の保険は、一般的に「一般の生命保険料」として生命保険料控除の対象になります。保険会社から届く控除証明書にも、「一般」「介護医療」「個人年金」といった区分が書かれているので、そこを確認すればOKです。
一方で、次のようなパターンは、生命保険料控除の対象外になることがあります。

  •  貯蓄性の高い金融商品で、「保険」というより投資要素が強いもの
  •  外貨建て保険で、一定の条件を満たさないもの
  •  法人名義で契約している保険(会社が契約者の場合など)

特に、最近増えている外貨建て保険や積立型の保険は、商品によって取り扱いが異なるケースがあります。基本的には、保険会社から送られてくる控除証明書に「生命保険料控除」の区分が書かれていれば対象ですので、迷ったら証明書の有無で判断するのが安全です。

医療保険・がん保険・共済は「介護医療保険料」として控除

入院や手術に備える医療保険、がんに備えるがん保険、県民共済・コープ共済などの共済は、多くの場合「介護医療保険料」として生命保険料控除の対象になります。
たとえば、次のような商品が該当します。

  •  民間保険会社の医療保険・がん保険
  •  県民共済・都民共済・コープ共済などの医療共済・生命共済
  •  介護保障がついた保険

ただし、共済には「傷害共済」「火災共済」など、損害保険に近い商品もあります。これらは介護医療保険料控除の対象外となることが多いため、やはり控除証明書の記載を確認することが重要です。
控除証明書に「介護医療保険料控除の対象となる契約」などと記載されていれば、年末調整の書類に金額を記入して提出しましょう。

個人年金保険が控除対象になるための条件

老後資金の準備として人気の個人年金保険も、一定の条件を満たすと「個人年金保険料」として生命保険料控除の対象になります。
一般的な条件のイメージとしては、次のようなポイントがあります。

  •  年金の受取人が契約者本人またはその配偶者であること
  •  年金の受取り開始年齢が一定以上であること
  •  保険期間が10年以上であること など

これらの条件を満たしているかどうかも、控除証明書に記載されていることがほとんどです。もし証明書に「個人年金保険料控除の対象」とはっきり書かれていない場合は、対象外の年金保険である可能性があります。
個人年金保険は、老後の備えとして積み立てながら、所得控除も使えるのがメリットなので、加入しているのに控除申告を忘れている人も少なくありません。証明書を見つけたら、必ず年末調整の書類に反映させましょう。

名義・支払者・家族の保険…どこまで自分の控除にできる?

契約者・被保険者・保険料負担者の関係が大事

年末調整で保険料控除を考えるとき、意外と見落とされがちなのが「誰名義の保険か」「誰が保険料を払っているか」というポイントです。
基本的な考え方としては、次のイメージを持っておくと整理しやすくなります。

  •  自分が契約者で、自分が保険料を払っている保険
    → 原則として、自分の生命保険料控除の対象にできる
  •  配偶者・子のために契約し、自分が保険料を払っている保険
    → 条件を満たせば自分の控除にできる場合が多い
  •  親が契約者・支払者で、自分は被保険者だけ
    → 原則として、自分の控除にはできないケースが多い

つまり、「誰が保障を受けるか」よりも「誰が契約して払っているか」が重視されるイメージです。
書類を書くときは、控除証明書の「契約者欄」や、引き落とし口座の名義人などを確認し、自分の控除にできるものだけを記入するようにしましょう。

親が払っている保険・自分が払っている親の保険の考え方

よくある迷いどころが、「親が払っている自分名義の保険」や、逆に「自分が払っている親名義の保険」です。
たとえば、こんなパターンがあります。

  •  親が契約者で、子ども(自分)が被保険者の生命保険。保険料も親の口座から払っている
  •  自分が契約者で、親を被保険者にして、介護保険や医療保険に加入している。保険料は自分の口座から払っている

前者のように親が契約者・支払者の場合、その保険料は親の控除の対象になります。自分側の年末調整で控除しようとしても、原則として対象外です。
一方、自分が契約者・支払者になって親を被保険者にしている保険は、条件を満たせば自分の生命保険料控除として扱えることが多いです。
「誰のための保険か」よりも、やはり「誰のお金で支払っているか」がポイントになることを、頭の片隅に置いておきましょう。

家族カード払い・共通口座からの引き落としはどう考える?

最近は、夫婦で共通口座を使ったり、家族カードで支払いをまとめているケースも増えています。この場合、厳密に誰が保険料を払っているのか分かりにくいと感じる人も多いはずです。
年末調整の実務的な対応としては、次のような考え方が一般的です。

  •  契約者が自分で、保険料も事実上自分が負担しているといえる場合
    → 自分の生命保険料控除として申告する
  •  どちらが負担しているか曖昧な場合
    → 契約者ベースで整理しておくとトラブルが少ない

とはいえ、家族カードや共通口座まわりはグレーな部分も多いので、迷ったときは税務署や税理士、会社の担当者に相談するのが安心です。
少なくとも、同じ保険料を夫婦それぞれが二重に控除に入れてしまうといったことは避けるようにしましょう。

地震保険・火災保険・自動車保険の扱いを整理しよう

地震保険部分だけが控除対象になるイメージ

住宅を持っている人にとって、火災保険や地震保険は身近な保険です。しかし、年末調整で保険料控除の対象になるのは、基本的に地震保険部分のみです。
たとえば、次のようなケースをイメージしてみてください。

  •  火災保険:年間30,000円
  •  地震保険:年間10,000円

この場合、年末調整で地震保険料控除の対象になるのは10,000円の地震保険部分だけです。火災保険料30,000円は、年末調整の地震保険料控除には使えません。
保険会社から届く控除証明書にも、地震保険料の金額がきちんと分けて記載されていますので、その金額を年末調整の書類に転記するようにしましょう。

長期火災・長期損害保険の旧契約はどうなる?

昔は、「長期損害保険料控除」という制度があり、一定条件を満たす長期の火災保険なども控除対象でした。現在はこの制度が廃止され、多くの契約が経過措置となっています。
そのため、古い契約で長期の火災保険に入っている人は、次の点を確認してみてください。

  •  控除証明書に「長期損害保険料控除(経過措置)」などの記載があるかどうか
  •  控除対象額がきちんと計算されて記載されているかどうか

もし証明書にそうした記載があれば、まだ経過措置として控除が使える可能性があります。逆に、何も書かれていない場合は、すでに経過措置期間が終わっているか、対象外であることが多いです。
長期契約の扱いは少し複雑なので、証明書の内容がよくわからない場合は、保険会社の窓口に問い合わせて確認すると安心です。

自動車保険・個人賠償責任保険は基本的に対象外

最後に、自動車保険や個人賠償責任保険の扱いについても触れておきます。
自動車保険の保険料は、年末調整の生命保険料控除や地震保険料控除の対象にはなりません。また、自転車事故などに備える個人賠償責任保険も、通常は生命保険料控除の対象外です。
ただし、これらの保険は年末調整の保険料控除には使えないものの、日常生活のリスクをカバーする大切な役割を持っています。
「控除できない=無駄な保険」というわけではないので、年末調整の対象かどうかと、ライフプラン上の必要性は分けて考えるようにしましょう。

まとめ|「証明書」と「名義」で保険料控除を見極めよう

年末調整で迷いやすい「どの保険が控除の対象になるのか」について、ポイントを整理してきました。
押さえておきたいのは、次の4つです。

  •  年末調整で使う保険料控除の中心は「生命保険料控除」と「地震保険料控除」
  •  自動車保険や火災保険(地震部分以外)は基本的に対象外
  •  契約者・支払者・名義によって、自分の控除にできるかどうかが変わる
  •  保険会社から届く控除証明書があるかどうかが、判断の大きな手がかりになる

年末調整のシーズンには、保険会社や共済からたくさんの書類が届きますが、「控除証明書」と書かれたものだけをまずピックアップするだけで、かなりスッキリ整理できます。
どの保険が対象になるかを正しく理解しておくことで、本来受けられるはずの控除を漏らさずに済みますし、会社の担当者とのやり取りもスムーズになります。
今年の年末調整では、ぜひこの記事を参考に、手元の保険証券と控除証明書を見比べながら、「これは控除できる?できない?」を一つずつ確認してみてください。分からないところは無理に自己判断せず、保険会社や税務署、会社の担当者に相談しながら、損をしない年末調整を目指していきましょう。

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