投資信託の資料を見ていると、標準偏差という言葉が出てきますよね。
結論から言うと、標準偏差15%なら「15%が1標準偏差分」という意味です。
「1標準偏差=1%」ではありません。ここを勘違いしたまま読み進めると、あとで必ず混乱します。
この記事では、標準偏差と±1標準偏差、68%という数字、そしてシャープレシオまで、中学生でも理解できるレベルで解説していきます。
読み終わるころには、投資信託の比較ページに出てくる数字が、すんなり読めるようになっているはずです。
投資の「標準偏差」ってそもそも何?
標準偏差(へんさ・データが平均からどれくらいバラついているかを示す数字)とは、簡単に言うと「値動きのブレの大きさ」のことです。
投資の世界では、ある投資信託のリターン(運用によって得られる収益)が、毎年どれくらいブレているかを表す指標として使われます。
たとえば、毎年ほぼ同じリターンが続くファンドは、標準偏差が小さくなります。
逆に、ある年は大きくプラス、翌年は大きくマイナス、というように上下に振れるファンドは、標準偏差が大きくなります。
正直に言うと、標準偏差は「危険度」というより「振れ幅の大きさ」と考えたほうが実態に近いです。
標準偏差が大きい=必ず損する、という意味ではないんですよね。
まずはこの「バラつきを表す数字」というイメージだけ、しっかり持っておいてください。
一番わかりにくい「±1標準偏差」の意味
ここが今回の記事でいちばん伝えたい部分です。じっくり読んでください。
多くの人が「±1標準偏差」を見て、「±1%のことかな」と勘違いします。
これ、完全に間違いです。「1」という数字は、パーセントではありません。
「1」は、標準偏差という物差しの「1本分」を意味しています。
つまり、標準偏差の値そのものが、1標準偏差の大きさになります。
具体的に見てみましょう。
| 標準偏差の値 | 1標準偏差分の幅 | |
|---|---|---|
| 3% | 3% | |
| 10% | 10% | |
| 15% | 15% | |
| 20% | 20% | |
標準偏差15%と書かれていたら、それはそのまま「1標準偏差=15%」ということなんです。
ここを取り違えると、この先の説明が全部わからなくなってしまうので、一度読み返しておくのがおすすめです。
「1個分」の考え方を定規でイメージしよう
ここで、身近な例で整理してみましょう。1本10cmの定規をイメージしてください。
「定規1本分」といったら、それは10cmですよね。
「1本だから1cm」とは、誰も考えないはずです。
標準偏差も、まったく同じ考え方をします。
標準偏差15%という「物差し」があるなら、その物差し1本分が15%になります。
- 1本分(1標準偏差)=15%
- 2本分(2標準偏差)=30%
- 3本分(3標準偏差)=45%
「本数」と「%の大きさ」は、まったく別の話なんですよね。
1標準偏差の「1」は、あくまで物差しの本数を数えているだけです。
この感覚さえつかめれば、標準偏差はもう怖くありません。
平均リターン8%・標準偏差15%で計算してみよう
では実際に、数字を当てはめて計算してみます。
ある投資信託の平均リターンが8%、標準偏差が15%だったとします。
この場合、±1標準偏差は次のように計算します。
8%±15%=−7%〜+23%
そして正規分布(平均を中心に左右対称の山型になる分布)を仮定すると、この範囲に約68%が収まるとされています。
±2標準偏差、±3標準偏差も同じように計算できます。
| 範囲 | 計算式 | 結果の幅 | 収まる割合の目安 | ||
|---|---|---|---|---|---|
| ±1標準偏差 | 8%±15% | −7%〜+23% | 約68% | ||
| ±2標準偏差 | 8%±30% | −22%〜+38% | 約95% | ||
| ±3標準偏差 | 8%±45% | −37%〜+53% | 約99.7% | ||
この68%・95%・99.7%という数字は、あくまで正規分布を前提とした目安です。
実際の相場が必ずこの通りになる、という保証ではない点は、後の章でもう一度触れます。
そもそも「68%」はどこから出てきたのか
「標準偏差が10%だから68%になる」と思っている人、実はかなり多いです。
これも、ぶっちゃけ誤解なんですよね。
68%という数字は、標準偏差の値がいくつであっても、正規分布という山型の分布で「平均から±1標準偏差分」を取った範囲の面積を計算すると、約68.3%になる、という数学的な結果です。
先に68%という数字を決めて、そこから標準偏差を逆算しているわけではありません。
テストの点数で考えるとイメージしやすいです。
平均60点、標準偏差10点のテストなら、50点〜70点の範囲に、全体の約68%の人が入る計算になります。
1000人が受けたテストなら、だいたい683人くらいがこの範囲に入るイメージです。
投資の標準偏差も、この考え方とまったく同じ仕組みで68%という数字が出てきています。
投資に置き換えるとどうなる?
今度は、平均リターン8%、標準偏差10%のファンドで考えてみましょう。
| 範囲 | 結果の幅 | 収まる割合の目安 | |
|---|---|---|---|
| ±1標準偏差 | −2%〜+18% | 約68% | |
| ±2標準偏差 | −12%〜+28% | 約95% | |
数字だけ見ると、かなりきっちりした予測に見えるかもしれません。
ですが、ここは注意が必要です。実際の株式市場のリターンは、完全な正規分布にはなりません。
暴落のような極端な値動きは、正規分布が想定するよりも起こりやすいと言われています。
「95%の確率でこの範囲に収まる」と、鵜呑みにしすぎないことが大切です。
あくまで「だいたいこれくらいのブレ幅がある」という目安として使うのが現実的だと、わたしは思います。
標準偏差が大きい投資は危険なの?
ここもよく誤解されるポイントです。
標準偏差=損する確率、ではありません。
標準偏差が大きいというのは、「上にも下にも大きく動きやすい」という意味です。
- 標準偏差が大きい=値動きが激しい
- 標準偏差が小さい=値動きが比較的おだやか
値動きが激しいということは、大きく増えることもあれば、大きく減ることもある、ということです。
「危険」というより「振れ幅が大きい」と捉えるほうが、実態に近い理解になります。
この振れ幅を踏まえたうえで、次に紹介するシャープレシオが役に立ってきます。
そこで登場する「シャープレシオ」
標準偏差のイメージがつかめたところで、シャープレシオを見ていきましょう。
シャープレシオとは、「取ったリスク(値動きのブレ)に対して、どれだけ効率よくリターンを得られたか」を表す指標です。
数式より先に、具体例で考えてみます。
| ファンド | 平均リターン | 標準偏差 | |
|---|---|---|---|
| Aファンド | 10% | 10% | |
| Bファンド | 10% | 20% | |
同じ10%のリターンでも、Aファンドは小さな値動きで10%を達成しています。
Bファンドは、より大きく振れながら同じ10%にたどり着いています。
この場合、Aファンドのほうが「効率よくリターンを得ている」と考えられます。これマジで大事な考え方です。
厳密には、シャープレシオは「(ポートフォリオのリターン-無リスク金利)÷標準偏差」という式で計算します。
無リスク金利(国債のようなほぼ確実に得られる利回り)を差し引くのは、リスクを取らずに得られる分を除いて、純粋なリスクへの対価を見るためです。
シャープレシオは高いほど良いのか
基本的には、同じ条件・同じ期間・同じカテゴリーの商品を比較するなら、シャープレシオが高いほうが、リスクに対する運用効率が良かったと言えます。
ただし、いくつか注意点があります。
- あくまで過去の実績である
- 計算する期間によって数値が変わる
- 株式ファンドと債券ファンドのように、異なる資産カテゴリーを単純比較しない
- 将来のリターンを保証するものではない
「シャープレシオが高い=絶対に良い商品」ではないんですよね。
あくまで「過去、リスクに見合ったリターンを効率よく出せていたか」を確認するための、一つの目安として使うのが正しい使い方です。
投資信託を見るときはこの3つをチェック
ここまでの内容を整理すると、投資信託を見るときは次の3つを意識するとわかりやすくなります。
| 指標 | 意味 |
|---|---|
| リターン | どれくらい増えたか |
| 標準偏差 | どれくらいブレたか |
| シャープレシオ | そのブレに対して効率よく利益を出せたか |
リターンだけを見て「増えているから良い商品」と判断するのは、少し早計かもしれません。
どれくらいのブレを伴ってそのリターンを得ているのか、標準偏差とシャープレシオも合わせて見る。
この3つをセットで確認する癖をつけると、商品比較の解像度がぐっと上がります。
初心者が間違えやすいポイントQ&A
Q. ±1標準偏差とは±1%ですか?
違います。「1」は物差しの本数であって、パーセントではありません。
Q. 標準偏差15%なら1標準偏差はいくつ?
15%です。標準偏差の値そのものが、1標準偏差分の幅になります。
Q. 標準偏差15%なら2標準偏差はいくつ?
30%です。物差し2本分なので、15%×2で計算します。
Q. 68%という数字は、標準偏差の数字によって変わりますか?
正規分布を仮定して「±1標準偏差」という幅で見る限り、約68%という割合自体は変わりません。
Q. 標準偏差15%なら、68%の確率で15%儲かるという意味ですか?
まったく違います。68%は「ある幅の範囲に収まる確率」であり、15%儲かる確率ではありません。
Q. 標準偏差が高ければリターンも高いですか?
必ずしもそうではありません。標準偏差はあくまでブレの大きさを示す数字です。
Q. シャープレシオが高ければ絶対に良い商品ですか?
違います。過去のリスク調整後リターンを見るための、一つの参考指標にすぎません。
まとめ:これだけ覚えればOK
最後に、いちばん大事なポイントだけもう一度おさらいします。
標準偏差15%なら、15%が「1標準偏差分」です。
- 1標準偏差=15%
- 2標準偏差=30%
- 3標準偏差=45%
標準偏差の「1」を、「1%」だと思わないこと。これが今回いちばん伝えたかったポイントです。
そのうえで、リターン・標準偏差・シャープレシオの3つをセットで見る習慣ができれば、投資信託の比較ページはぐっと読みやすくなります。
数字に振り回されず、意味を理解したうえで商品を選んでいきましょう。


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