2025年版 退職後の健康保険 任意継続か国保か お得なのはどっち

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会社を辞めるタイミングで多くの人がつまずくのが、「退職後の健康保険をどうするか」という問題です。

とくに悩ましいのが、「任意継続か国民健康保険(国保)か、どっちを選ぶべき?」という点ではないでしょうか。さらに、国保は原則14日以内、任意継続は20日以内という期限があり、のんびり悩んでいる余裕はあまりありません。

しかも、ネットで調べると「任意継続一択」「いや、これからは国保のほうが得」と、真逆の情報もあふれています。実際のところ、どちらが得かは人によってまったく違うのが現実です。収入、家族構成、住んでいる自治体、今後の働き方によって、有利・不利は簡単に逆転します。

この記事では、2025年時点のルールにも触れながら、退職後の健康保険「任意継続 vs 国保」問題を、初心者にもわかりやすく整理します。制度の仕組みだけでなく、具体的なイメージが湧くように、ケース別の比較14日以内にやるべきことチェックリストまでまとめました。読み終わるころには、「自分はどっちを選ぶべきか」の方向性がはっきりしているはずです。

退職後の健康保険の選択肢と全体像

退職したらまず何が起こる?社会保険の資格喪失と空白期間

まず押さえておきたいのは、会社を退職するとその日の翌日に会社の健康保険の資格を失う、という点です。たとえば3月31日に退職した場合、4月1日からはその会社の健康保険証が使えなくなります。

ここで問題になるのが、「退職してから次の保険に入るまでの空白期間をどうするか」ということです。再就職日が決まっている人でも、数日〜数週間のブランクが空くことはよくありますし、しばらく無職・フリーランスになる人なら、なおさらきちんと決めておく必要があります。

この空白を埋めるために必要なのが、任意継続・国保・家族の扶養・再就職先の健康保険といった選択肢です。特に、退職してすぐに次の会社の健康保険に入らない人にとっては、任意継続か国保かを早めに決めることが重要なポイントになります。

退職後に選べる医療保険は4パターンある

退職後の健康保険は、「任意継続か国保か」の2択に見えがちですが、正確には次の4パターンがあります。

  •  今までの健康保険を任意継続する
  •  住んでいる自治体の国民健康保険(国保)に加入する
  •  配偶者など家族の健康保険の扶養に入る
  •  再就職先で新たな健康保険に加入する

このうち、「扶養」「再就職先」はケースによっては選べないことも多いので、多くの人にとって現実的な選択肢は任意継続か国保の2つになります。どちらを選ぶにしても、保険料の違い加入期限は必ずチェックしておきたいところです。

14日ルールと20日ルール:期限を知るだけで半分クリア

退職後の健康保険でとても大事なのが、国保は14日以内・任意継続は20日以内という期限です。

  •  国民健康保険:退職日の翌日から14日以内に、市区町村の窓口で加入手続きが必要
  •  任意継続:退職日の翌日から20日以内に、協会けんぽや健保組合へ申請書を提出する必要あり

これを過ぎてしまうと、任意継続には二度と入れない一方で、国保はあとからでも加入できますが、保険料は資格喪失日にさかのぼって請求されます。期限を知っているかどうかで、その後の選択肢と精神的な余裕が大きく変わります。

任意継続健康保険とは?メリットと注意点

任意継続の仕組みと加入できる条件

任意継続健康保険とは、退職後も最長2年間、在職中と同じ健康保険に個人で加入し続けられる制度です。
たとえば協会けんぽに入っていた人なら、退職後も協会けんぽの被保険者として扱われる、というイメージです。

加入条件はおおむね次の2つです。

  •  退職するまでに継続して2か月以上、その健康保険に加入していた
  •  退職日の翌日から20日以内に任意継続の申請をする

この20日ルールは非常に厳格で、1日でも遅れると原則加入できません
「とりあえず様子を見てから決めよう」と放置すると、後戻りできなくなるので、退職前から任意継続にする可能性が少しでもあるなら、早めに資料を取り寄せておくのがおすすめです。

任意継続の保険料は「在職中の約2倍」が目安

任意継続の大きな特徴は、保険料を全額自分で払うという点です。
在職中は会社と折半していたため、「健康保険料(本人負担分)」として給与明細に載っていた金額は、実は保険料の半分でした。任意継続になったあとは、会社が払っていた分も含めて自分で負担することになるので、ざっくり在職中の2倍が目安になります。

ただし、健康保険組合や協会けんぽには標準報酬月額の上限があるため、退職前の給料が高かった人の場合は、むしろ保険料が下がることもあります。
このあたりは、加入していた健保のサイトやパンフレットで任意継続時の保険料表を確認しておくと、具体的な金額がイメージしやすくなります。

任意継続が向いている人のパターン

任意継続のメリットを最大限活かせるのは、次のような人です。

  •  配偶者や子どもなど扶養家族がいる(任意継続なら追加保険料なしでカバーできる場合が多い)
  •  退職前の収入が高く、国保にすると保険料がかなり高くなりそうな人
  •  今の健康保険の給付内容や窓口対応に安心感があり、そのまま使いたい人
  •  2年以内には再就職する予定で、あくまで“つなぎ”として考えている人

逆に、今後長く自営業・フリーランスでやっていくつもりであれば、最初から国保に切り替えて、将来の保険料や軽減制度も含めて設計したほうがスッキリするケースも多いです。

国民健康保険(国保)とは?仕組みとメリット

国保の基本と「加入は義務」というルール

国民健康保険(国保)は、自営業・フリーランス・無職の人など、会社の健康保険に入っていない人のための公的医療保険です。
国保の加入条件は法律で定められており、日本に住む人で、他の医療保険に加入していない人は原則として国保に入る義務があります。

退職して会社の健康保険から外れた場合も例外ではなく、

  •  家族の扶養に入らない
  •  任意継続を選ばない
  •  すぐに再就職して新しい保険に入らない

のであれば、退職日の翌日から14日以内に国保に加入手続きをする必要があります。

国保の保険料は「前年所得+人数+自治体」で決まる

国保の保険料は、前年の所得・加入人数・住んでいる市区町村によって変わります。
同じ年収でも、住んでいる自治体が違えば保険料が大きく変わることもありますし、家族の人数が増えればその分保険料もアップします。

また、国保には多くの自治体で所得に応じた軽減制度が用意されており、収入が少ない世帯ほど保険料が抑えられる仕組みになっています。
退職後に収入が大きく下がる人や、もともと年収がそこまで高くない人の場合、任意継続より国保のほうがかなり安くなるケースも珍しくありません。

国保が向いている人のパターン

国保が有利になりやすいのは、次のような人です。

  •  退職前の年収がそこまで高くない、または退職後に大幅な収入減が見込まれる
  •  独身または扶養家族が少ない
  •  今後しばらく自営業・フリーランス・アルバイトなどで働く予定の人
  •  住んでいる自治体の国保保険料が比較的安く、軽減制度が手厚い

また、任意継続は最大2年で終わりますが、国保は転職や扶養など別の保険に切り替えるまでずっと続けられるという意味でも、長期的な視点で安心できる選択肢と言えます。

任意継続 vs 国保 どっちが得?比較のコツ

独身・扶養あり・共働き…パターン別イメージ

任意継続と国保の比較でややこしいのは、家族構成で結果がガラッと変わるという点です。ざっくりとしたイメージは次のとおりです。

  •  独身・単身世帯
    → 国保のほうが安くなるケースが多い
  •  配偶者+子ども2人など扶養が多い世帯
    → 任意継続(扶養も同じ保険証)が有利になることが多い
  •  共働きで、相手の扶養に入れる年収の人
    → 扶養に入るのが最も安くなる可能性が高い

ただし、これはあくまで傾向にすぎません。自治体ごとの国保料率や、加入していた健保組合の保険料水準によって、簡単に逆転するので、必ず自分の数字で試算してみることが重要です。

2年間トータルの保険料で比較するのがポイント

つい「毎月いくらか」だけで比較したくなりますが、任意継続は最長2年という期限付きなので、2年間トータルでいくらになるかを見ておくと判断しやすくなります。

たとえばイメージとして、

  •  任意継続:月3万円 × 24か月 = 72万円
  •  国保:1年目 月2.5万円、2年目は所得減で月1.5万円
    → 30万円+18万円 = 48万円

というように、「1年目は任意継続のほうが安いけれど、2年トータルでは国保が有利」というパターンもあり得ます。
退職後の働き方(すぐ再就職するのか、しばらく休むのか)も含めて、1年だけでなく2年くらい先まで見据えた試算をしてみるのがおすすめです。

保険料だけでなく「安心感」と「手間」も考える

もうひとつ見落としがちなのが、お金以外の要素です。

  •  今の健康保険の窓口・給付内容に慣れていて、変えたくない
  •  自治体の国保窓口に行くのが不安・手間に感じる
  •  逆に、国保のほうが自治体の窓口も近くて相談しやすい

など、自分がどちらの制度を「使いやすい」と感じるかも、立派な判断材料になります。
数千円の差なら安心感を優先したい人もいれば、とにかく保険料を抑えたい人もいます。ライフスタイルとメンタルの負担まで含めて、「自分にとっての得」を考えてみましょう。

退職後14日以内にやることチェックリスト

退職前に確認しておきたい3つの数字

退職後にバタバタしないためには、退職前の余裕があるうちに確認しておくことが大切です。最低限チェックしておきたいのは、次の3つの数字です。

  •  最近の給与明細に載っている健康保険料(本人負担分)の金額
  •  加入している健康保険の任意継続保険料の目安(健保サイトなどで確認)
  •  住んでいる自治体の国保保険料シミュレーション結果

これだけでも、「任意継続はこのくらい」「国保はこのくらい」という大まかな比較ができるようになります。退職が見えてきたら、1時間だけ時間をとって、紙に書き出して整理してみましょう。

退職日〜14日・20日までのタイムラインを作る

次にやりたいのが、カレンダーにスケジュールを書き出すことです。

  •  退職日(会社の健康保険の資格喪失日)
  •  退職翌日から14日目=国保の手続き期限の目安
  •  退職翌日から20日目=任意継続の申請期限

スマホのカレンダーに「国保手続き」「任意継続締切」と予定を入れておき、リマインダーを設定しておくと、うっかり忘れを防げます。
特に、退職後しばらくゆっくり休む予定の人ほど、時間感覚が緩みがちなので、先に“見える化”しておくのがおすすめです。

迷ったときの相談先と、聞くべきこと

「自分で調べてみたけれど、どうも決めきれない…」という場合は、無理に一人で抱え込まず、相談できる窓口を活用しましょう。

  •  加入している健康保険組合・協会けんぽの窓口
  •  住んでいる自治体の国保担当窓口
  •  必要に応じて社会保険労務士やファイナンシャルプランナー

相談するときは、
・退職日と勤続年数
・年収(ざっくりでOK)と家族構成
・今後1〜2年の働き方の予定(再就職・自営など)
などを整理して伝えると、より具体的なアドバイスをもらいやすくなります。

まとめ:任意継続か国保かは「あなたの条件次第」

退職後の「健康保険 任意継続 国保 どっちが得?」という悩みに、残念ながら万人に共通する正解はありません。
大切なのは、

  •  会社を辞めた翌日には、今の健康保険の資格を失う
  •  国保は14日以内・任意継続は20日以内が基本ルール
  •  任意継続は「在職中の保険を2年だけ延長」、国保は「収入と人数で保険料が決まる」

という枠組みを知ったうえで、自分の収入・家族構成・今後の働き方に照らして考えることです。

この記事では、制度の仕組みだけでなく、パターン別の向き・不向きや、2年間トータルでの比較の視点、そして14日以内にやるべきことまで整理しました。
ぜひ、退職前後の落ち着いた時間に、給与明細とメモ帳を用意して、「任意継続にする? 国保にする?」を一度じっくり考えてみてください。

最終的な答えは人それぞれ違っていて構いません。「なんとなく」ではなく「自分で納得して選んだ」と言えることが、これからの暮らしの安心につながります。

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