NotebookLMを使ってみたいけれど、「どこまでの情報なら入れて大丈夫?」「会社の資料を入れても平気?」と不安になっていませんか。
生成AIにデータを渡すとき、最初に気になるのはやはり情報の安全性と取り扱いの基準ですよね。
特に初心者の方は、「とりあえず全部入れてしまう」のも怖いし、「何も入れられない」と結局使いこなせない…というジレンマに陥りがちです。本当は、最初にざっくりとしたOK情報とNG情報のラインを決めておくだけで、ずっと安心してNotebookLMを活用できます。
この記事では、NotebookLMに入れていい情報・入れないほうがいい情報を、初心者にも分かりやすいように整理します。そのうえで、「どうやってマスキングするか」「利用シーン別にどこまで入れてよいか」「安全に使うための運用ルール」まで具体的に解説します。
読み終わるころには、「これはNotebookLMに入れてOK」「これはマスクしてから使おう」と、自分なりの基準が自然と見えてくるはずです。これからNotebookLMで議事録整理やスライド作成、企画書づくりを進めたい方は、最初の安全ガイドラインとしてぜひ参考にしてください。
NotebookLMに入れていい情報とは
NotebookLMが得意な「安全な素材」の考え方
NotebookLMは、「自分が持っている資料を読み込んで整理してくれるAIノート」です。つまり、入れる情報が“素材”になります。このとき意識したいのは、「その資料をそのまま誰かに見せても問題ないか」という視点です。もし「家族や同僚に見せても全く問題ない」レベルであれば、NotebookLMに入れても比較的安心と考えやすいです。
たとえば、自分で書いたブログ記事、公開されているレポート、セミナーの配布資料などは、そのまま人に渡しても困らないものですよね。こうした既に公開前提になっている情報は、NotebookLMに入れても心理的な抵抗が少ないはずです。逆に、「これは絶対見せたくない…」と感じるものは、一度立ち止まって考えるサインだと思ってください。
初心者のうちは、「まず公開資料や自分の勉強メモなど、リスクの低いものから試す」くらいの感覚がちょうど良いです。NotebookLMの便利さに慣れてくると、「このレベルなら大丈夫」「ここから先はマスキングしよう」といった自分なりの感覚も育っていきます。
個人利用で安心して入れやすい情報例
個人でNotebookLMを使う場合、まずは次のような情報から入れていくと安心です。どれも「自分の中で整理したいけれど、外に出ても困らない」タイプのコンテンツです。たとえば、自分のブログ記事の下書き、日記代わりの学習メモ、読書ノート、資格試験の要点まとめなどが挙げられます。
これらは、氏名や住所、会社名などの個人情報を含んでいない限り、NotebookLMに入れても大きなリスクはありません。むしろ、NotebookLMに入れておくことで、「要約して」「初心者向けに言い換えて」「スライド作成用の構成案を出して」といった活用ができ、勉強や発信の効率がぐっと上がります。
また、無料で公開されているWeb記事を自分用に要約させたいときも、URLやコピーしたテキストをNotebookLMに入れて整理する使い方が有効です。大事なのは、「自分以外の個人情報や、他人の機密情報が紛れていないか」を一度確認してから投入することです。個人利用だからこそ、最初にこのチェックを習慣化しておくと安心です。
仕事利用でまず試したい情報例
仕事でNotebookLMを使いたい場合は、いきなり重い資料を入れるのではなく、最初はリスクの低いものから試すのがおすすめです。たとえば、社外向けに既に配布しているパンフレットや会社紹介資料、社内向けでも「全社員にメールで送っている程度」のルールやマニュアルなどです。
これらの情報は、もともと多くの人が目にする前提で作られているため、機密度はそこまで高くないケースがほとんどです。NotebookLMに入れて「要点を3つにまとめて」「営業向けに説明文を変えて」といった活用をしてみると、「仕事でもこうやって使えるのか」というイメージが掴みやすくなります。
慣れてきたら、議事録のドラフト版や、顧客名を省いたプロジェクトメモなども検討できますが、その前に会社としてのAIツール利用ルールを確認しておくことが重要です。最初からギリギリのラインを攻める必要はありません。「公開済み資料 → 社内共有資料 → マスク済み社外資料」という順番で、少しずつ範囲を広げていくイメージを持っておくと良いでしょう。
NotebookLMに入れないほうがいいNG情報
氏名・住所・連絡先などの個人情報
まず初心者に分かりやすいNG情報は、いわゆる個人情報です。具体的には、氏名、住所、電話番号、メールアドレス、生年月日など、個人を特定できる情報がそのまま入っている資料です。これらは、その人の許可なしには外部サービスに渡すべきではありません。
仕事で扱っている顧客リスト、応募者情報、アンケート回答の生データなどは、そのままNotebookLMに入れないのが原則です。どうしても使いたい場合は、あとから紹介するように「名前を消す」「住所の詳細を削る」などのマスキング作業を行ってから投入する必要があります。
ノートに資料を貼り付ける前に、「この文章の中に、誰か1人を特定できる情報はないか?」と自分に問いかけるクセをつけるだけでも、安全性は大きく変わります。特に、家族や取引先の名刺情報などをそのまま写してしまうと、意図せず個人情報を外部に渡してしまうことになりかねません。
契約書・見積書・決算資料などの機密情報
次に注意したいのが、仕事で扱う機密性の高い書類です。具体的には、契約書、見積書、発注書、請求書、決算資料、内部向けの損益計算書などが該当します。これらは企業にとって非常に重要な情報であり、外部サービスにそのままアップロードするのはリスクが高いと考えたほうが無難です。
価格表や粗利率、仕入先の情報なども同様です。NotebookLMに入れてしまうと、「会社として許可していない場所に情報を出した」という扱いになる可能性があります。たとえ技術的には安全が確保されていたとしても、「社内規定上NG」というケースは多いです。
どうしてもAIに相談したい場合は、具体的な金額や社名を削り、「A社」「B社」「売上数千万円」などに置き換えたうえで、問題の構造だけをNotebookLMに投げるのがおすすめです。つまり、データそのものではなく、「構造・考え方・パターン」に相談するイメージで使うと安心です。
社内でも限られた人しか見られない情報
最後に、もうひとつのNGラインとして、「社内でもごく一部の人しか見られない資料」があります。たとえば、経営会議用の資料、M&A関連の検討資料、リストラ・人事評価に関するメモなどです。これらは、会社の中でも取り扱いに厳しい制限がかけられることが多い情報です。
こうした資料は、そもそもクラウドサービスにアップロードすること自体が禁止されている場合もあります。NotebookLMの前に、社内の情報セキュリティポリシーに抵触してしまう可能性がありますので、「これは社長や役員しか見ていない資料だな…」と感じるものは、基本的にNotebookLMには入れないと決めておきましょう。
逆に言えば、「社内ポータルで全社員に公開されている資料」や「全社メールで配布済みの通知」などは、機密度が相対的に低いと判断できます。この感覚を持っておくだけでも、「NotebookLMに入れるかどうか」の判断がかなりしやすくなります。
情報のマスキングと匿名化の実践テクニック
名前や会社名をイニシャル・記号に置き換える
NotebookLMで実務寄りの資料を扱いたいとき、役に立つのがマスキングと匿名化のテクニックです。最も簡単な方法は、人物名や会社名をイニシャルや記号に置き換えることです。たとえば、「株式会社〇〇」「A社」「営業部のBさん」といった形です。
実際の名前や社名が分からなくても、NotebookLMにとっては「A社がクライアント」「Bさんが担当者」という関係さえ分かっていれば、要約や構成提案には支障がありません。このように、固有名詞を「意味の分かる記号」に変えておくことで、情報のリスクを下げながら、資料の構造を活かすことができます。
文章をNotebookLMに貼り付ける前に、ざっと読み返しながら固有名詞だけを一括置換するだけでも、かなり安全性は高まります。WordやGoogleドキュメントの「検索と置換」を使えば、作業もそこまで大変ではありません。慣れてくると、「資料作成の最後にマスキングを入れる」という流れが自然に身についていきます。
金額・人数・日時の精度を落として表現する
次にマスキングしたいのが、金額や人数、日時などの具体的な数値です。たとえば、「3,278,430円」という細かい金額を「約330万円」「数百万円規模」といった表現に変えるだけでも、情報の特定性はぐっと下がります。
同じように、「2025年4月3日」「参加者12名」といった情報も、「2025年春頃」「十数名程度」とぼかしておくことで、資料の意味は保ちながら、ピンポイントで特定されにくくできます。NotebookLMにとっては、数字が細かいかどうかよりも、「どのくらい大きいのか」「増えているのか減っているのか」といった傾向のほうが重要です。
特に決算資料や売上報告書を例として使いたい場合は、この数値のぼかしを組み合わせることで、安全性を高めつつ、構造だけを学ばせることができます。慣れてくると、「ここまでなら未来の自分が見返しても分かる」という絶妙なラインが見えてきます。
具体的な事例を「パターン」に抽象化する
さらに一歩進んだテクニックとして、具体的な事例を抽象的なパターンに置き換える方法があります。たとえば、「北海道の某自治体で行った観光プロモーション施策」という事例があった場合、「地方自治体Aで行った観光プロモーション施策」という書き方に変えるイメージです。
場所や社名、個人名を消しつつ、「どんな課題があり、どんな施策を打ち、どんな結果になったか」という構造だけを残します。NotebookLMにとっては、この構造こそが学習・要約・再構成のための重要な情報なので、具体名が消えていても問題なく活用できます。
こうして抽象化した事例をノートに蓄積していくと、NotebookLMは「課題パターン」と「打ち手パターン」の両方を覚えてくれるようになります。その結果、将来的には「似たようなケースのとき、過去の事例を踏まえた提案書の骨子を作って」といった高度な相談もできるようになります。
利用シーン別 NotebookLM情報ルール
ブログ・勉強用途でNotebookLMを使う場合
個人のブログ執筆や資格勉強など、個人利用のシーンでNotebookLMを使う場合は、情報の自由度が比較的高いです。自分の考えや学習メモ、読書ノート、ブログの下書きなどは、基本的に自分だけのものなので、怖がりすぎる必要はありません。
この場合のルールはシンプルで、「他人の個人情報を混ぜない」「仕事の機密資料をそのまま持ち込まない」の2点を守れば、ほとんどのコンテンツはNotebookLMに入れてOKと考えて良いでしょう。むしろ、これらの情報を整理し、要約し、スライド作成や記事構成に変換してもらうことで、アウトプットの質と量を両方高められます。
NotebookLMにとって、個人の学習メモやブログ下書きは非常に扱いやすい素材です。最初はこの領域でどんどん試してみて、「こういう風に要約してくれるのか」「構成案の出し方はこうなるのか」と、AIのクセを掴んでいくと良いでしょう。
社内資料整理・議事録作成で使う場合
次に、仕事で社内資料や議事録をNotebookLMに整理してもらいたい場合のルールです。このケースでは、「社内の公開範囲」と「機密度」を意識することが重要です。全社員向けに配布しているマニュアルや、部署内で共有している定例会議の議事録などは、比較的リスクが低いと考えられます。
それでも、参加者のフルネームや細かい数字は、できる限りマスキングしてから使うと安心です。NotebookLMには、「この議事録から決定事項とアクションアイテムだけ抜き出して」「次回会議のアジェンダ案を作って」といった依頼が非常に向いています。
一方で、役員会議の内容や、人事評価に関する議論などは、たとえマスキングしてもリスクが高い領域です。こうした情報はNotebookLMの外で完結させ、「一般的な会議運営の改善アイデア」など、構造的な話題だけをAIに相談するように切り分けると良いでしょう。
スライド作成・提案書の草案づくりで使う場合
スライド作成や提案書の草案づくりは、NotebookLMが特に力を発揮するシーンです。この場合の情報ルールは、「構成案や骨子づくりに必要な範囲だけを入れる」という考え方が役立ちます。つまり、細かい数値や固有名詞を省いた「概要資料」をNotebookLMに渡し、そこから構成を考えてもらうイメージです。
たとえば、「A業界のクライアントに対して、Xという課題があり、Yという打ち手を提案したい」というレベルの情報であれば、社名や金額がなくても十分に構成案は作れます。NotebookLMには、「この概要をもとに10枚前後のスライド構成案を作って」「経営層向けの提案書目次案を出して」といった依頼をしてみましょう。
最終的な提案書やスライドには、もちろん具体的な社名や数字を自分で入れる必要がありますが、そこは人間の仕事です。NotebookLMには「骨組みづくり」を任せ、センシティブな情報を入れる作業はローカル環境だけで完結させる、という役割分担を意識することで、安全性と効率のバランスを取りやすくなります。
安全に使うための運用ルールづくり
自分用「NotebookLM情報チェックリスト」を持つ
NotebookLMを長く安全に使うためには、最初に自分なりのチェックリストを作っておくと安心です。たとえば、「この資料には個人名が入っていないか」「顧客名や社名はイニシャルに変えたか」「具体的な金額や住所はぼかしてあるか」といった項目です。
NotebookLMに資料を入れる前に、このチェックリストをさっと見て確認するだけでも、うっかりNG情報を入れてしまうリスクは大きく減らせます。チェックリスト自体をNotebookLMのノートに貼っておき、「まずここを確認してから資料を入れる」と自分に宣言しておくのも良い方法です。
最初は3〜4項目程度のシンプルなものから始めて、使っていく中で「この項目も追加したほうが良さそう」と感じたものを少しずつ足していくと、現実に合った運用ルールへと育っていきます。
チーム利用で決めておきたいルール
会社やチームでNotebookLMを使う場合は、個人ルールだけでなく、メンバー共通の「AI利用ポリシー」を決めておくことが重要です。たとえば、「個人情報は原則NG」「契約書や見積書は投入禁止」「顧客事例を使うときは必ずマスキングする」といった基本ルールです。
さらに、「NotebookLMに入れても良い資料の種類リスト」や、「グレーゾーンの資料を相談する窓口」を決めておくと安心感が高まります。チーム内でNotebookLMを共有して使う場合は、「このノートにはどこまでの情報が入っているか」をノートの冒頭に明記しておくのも良い習慣です。
最初から完璧なルールを作る必要はありませんが、「全員が同じ基準で判断できる」状態を目指すことが大切です。ルールを一度作ったら終わりではなく、運用しながら定期的に見直していくことで、現場にフィットした形へアップデートしていけます。
迷ったときの「安全側に倒す」判断基準
どれだけルールを決めても、実際には「これはNotebookLMに入れて大丈夫かな…」と迷う資料が必ず出てきます。そんなときに役立つのが、「迷ったら安全側に倒す」というシンプルな基準です。
具体的には、「これは外部サービスに入れたと知ったら、上司やクライアントはどう感じるか?」と想像してみることです。少しでも「嫌がりそう」「説明が難しそう」と思ったら、その資料はそのままNotebookLMに入れない、という判断を徹底するだけでも、リスクはかなり抑えられます。
NotebookLMはとても便利なツールですが、「使わない」という選択肢も含めて、常に自分で主導権を持っていたいところです。判断に迷うグレーな資料は、無理にAIに渡さず、「構造だけを抽象化して相談する」くらいがちょうど良いバランスだと考えておくと安心です。
まとめ:NotebookLMは「情報の線引き」を決めてから使おう
NotebookLMを安心して活用するためには、「何を入れてよくて何を入れないか」という情報の線引きを、最初にざっくり決めておくことが何より大切です。個人利用ならブログや勉強ノートなど、他人の個人情報や機密が紛れない素材から始める。仕事利用なら、公開済み資料やマスク済みの概要資料を中心に試していく。この順番を意識するだけでも、リスクは大きく下げられます。
氏名・住所・連絡先・契約書・決算資料・役員向け資料などは、そのままNotebookLMに入れないことを原則とし、どうしても構造を相談したい場合は、マスキングや抽象化のテクニックを組み合わせる。さらに、自分やチーム用のチェックリスト・ルールを持ち、「迷ったら安全側に倒す」姿勢を徹底しておけば、NotebookLMは強力で心強い相棒になります。
まずは一度、自分の中で「OK情報」「NG情報」「マスクすればOKな情報」を書き出してみてください。そのうえで、リスクの低い資料からNotebookLMに入れて、要約やスライド作成、構成案づくりを試してみましょう。正しく線引きしながら使えば、NotebookLMはあなたの仕事と学びを加速させてくれるはずです。

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