NotebookLMは、社内資料や議事録、動画・音声までをまとめて読み込み、質問に引用付きで答えてくれる“第二のブレーン”です。
とはいえ初心者の方は「何ができる?」「どのファイルが読める?」「まず何をすればいい?」と迷いやすいですよね。
本記事では、NotebookLMのできることと始め方をやさしく解説します。対応形式と前処理(OCR・字幕)から、最初のノート作成、上手に聞くためのプロンプト、よくあるつまずきの対策までをひと通りカバー。
準備で迷ったら情報共有ルール、ファイル整備は対応形式まとめ、連携はGoogle Driveガイドも参考にしてください。
NotebookLMの基本:仕組みと得られる価値
NotebookLMの役割と回答の仕組み
NotebookLMは、あなたが追加したソース(PDF、Docs、Slides、字幕付き動画/音声など)をもとに、質問へ根拠ページを示して答えるツールです。一般検索とは違い、社内の一次情報に限定して推論するため、機密や最新手順に沿った回答が得られます。
回答には引用とリンクが付くので、元の文脈を素早く確認できるのも安心ポイントです。まずは「自分たちの資料で答える」ことに価値があると理解すれば、何を入れるべきかが見えてきます。
できること:検索・要約・比較・抜き出し
代表的な活用は、①複数資料からの横断検索、②長文の要約、③仕様や価格の比較、④数字や手順の抽出です。たとえば「最新版の申請手順を3行で」「競合A/Bの違いを表で」「この会議録の決定事項だけ」など、具体的なアウトプット形式を指定すると生産性が大きく伸びます。
回答は必ず引用付きで返るため、根拠の確認や転記がスムーズです。まずは小さな問いを何度か繰り返し、回答の癖を掴みましょう。
導入の効果:探す時間の短縮と品質安定
NotebookLMの効果は「探す時間が半減」「回答の根拠が明快」「属人化の低減」の三拍子です。とくに引用リンクがあることで、口頭伝達の誤解や最新版チェック漏れを防ぎ、レビュー往復を短縮できます。
小さく始めるなら、よく参照する手順書やFAQ、直近の議事録から入れるのが近道です。成果を数字で見える化したい方はROI測定ガイドも合わせてご覧ください。
対応形式と前処理:読み取りを安定させる
対応ファイルの考え方と最低限の整備
基本はPDF/Google Docs/Slides、さらに字幕(VTT/SRT)付き動画・音声が扱えます。画像だけのPDFは文字が読めないため、取り込み前にOCRでテキスト化しましょう。
各ファイルの冒頭に要約ブロック(目的/対象/更新日/責任者)を300字ほど入れておくと、回答の骨子が安定し、ヒット率も上がります。形式の詳細と注意点は対応形式まとめに一覧化しています。
PDF・画像の前処理:OCRで“読める”にする
スキャンPDFや画像資料は、そのままだと検索に当たりません。OCRをかけてテキストを埋め込むか、Google Docsへ変換して保存します。
ページ数が多い資料は章ごとに分割し、タイトルに章名を入れると後で見つけやすくなります。図版のキャプションや凡例は本文に追記すると、回答に必要な語が拾われやすくなり精度が向上します。
動画・音声の前処理:字幕で“引用できる”にする
長尺の研修やウェビナーを活かすには、まず字幕(VTT/SRT)を用意します。固有名詞や製品名の誤変換は手直しし、ファイル名は「YYYYMMDD_タイトル_v番号_担当」で統一すると後々の管理が楽です。
字幕があるだけで、NotebookLMは時間情報とテキストを紐づけて引用できるため、該当箇所へすぐ飛べます。字幕作成の流れは自動化ガイドでの省力化も検討してください。
はじめてのノート作成:3つのステップ
Step1:フォルダ整理・命名規則・タグを決める
最初にGoogle Driveで「部署/プロジェクト/年月」などのシンプルな階層を作り、ファイル名はYYYYMMDD_案件_v番号_担当に統一します。さらに三層タグ(部署|プロジェクト|ステータス)を併用すると、後の検索が安定します。命名とタグの設計は最適化テクニックにサンプルがあるので、そのまま流用してOKです。
Step2:ノートを作り、ソースを追加する
NotebookLMで新規ノートを作成し、「Add sources」で整えた資料を追加します。スキャンPDFはOCR済み、動画・音声は字幕付きかを再確認。追加したらノートでクリックして同期を実行して、取り込みを完了させます。ここまでできたら、まずは“いつも聞かれる質問”を投げ、回答の引用リンクから原本を開いて整合性を確認しましょう。
Step3:回答の読み解き方と原本確認
回答は結論→引用→原文リンクの三点を見るのがコツです。結論が合っているか、引用の文脈が適切か、原本が最新版かを素早く確認しましょう。ズレがあれば原本を修正→再同期すると、次回以降の精度が上がります。Drive連携の詳しい流れは連携ガイドで図解しています。
うまく使うコツ:質問力・ルール・習慣
良いプロンプト:目的・条件・出力形式を明確に
質問は「目的」「条件」「出力形式」の三点指定が基本です。例:「新入社員のPC申請手順を3行で。引用リンク付き、最新版のみ。」や「競合A/B/Cの価格・機能を表で比較。
差分の要点を箇条書きで。」など。求める形がはっきりするほど、回答の修正コストが下がります。短くても十分効果があるので、まずは型を真似しましょう。
タグ・命名・要約ブロックで精度を底上げ
検索精度は入力の整備で決まります。三層タグと命名テンプレに加え、各文書の冒頭に要約ブロック(目的/対象/更新日/責任者)を置くと、回答の骨子が安定します。
略称や旧称はタグ辞書の同義語に登録して、表記ゆれを吸収しましょう。設計のコツはタグ&命名最適化に詳しくまとめています。
週次の小さな習慣:同期と辞書更新
週に一度でよいので、①未同期の解消、②未ヒット語の辞書追加、③古い資料のアーカイブ、の三点を回すと品質が保てます。
SlackやTeamsへの周知は“聞かずに調べる”文化を参考に、短いテンプレで共有しましょう。続けるほど、探す時間は目に見えて減っていきます。
よくあるつまずき:原因と対処のミニガイド
同期されない/ボタンが出ない
Driveの権限が閲覧のみになっていないか、ファイルが対応形式か、スキャンPDFにOCRが入っているかを確認します。巨大PDFは章ごとに分割し、再同期を試してください。
詳細な手順はトラブルシューティングで図解しています。
リンクが開けない/権限エラーになる
ノート共有とDrive共有のねじれが原因です。保存先を「公開/社内/機密」で分け、ロール(RBAC)で権限を合わせます。機密はリンク共有を禁止にし、閲覧期限を設定すると安全です。
運用の型は情報共有ルールにまとまっています。
検索に当たらない/回答がぶれる
命名テンプレと三層タグ、冒頭の要約ブロックが未整備だと当たりにくくなります。略称・旧称を同義語として辞書に追加し、再同期を実行しましょう。プロンプトは「タグ+主語+動詞」の短い型を使うと安定します。
困ったら活用事例10選のプロンプト例をそのまま試してみてください。
まとめ
NotebookLMは、社内の一次情報に基づく引用付き回答で“探す時間”を短縮してくれます。
初心者の方は、①対応形式と前処理(OCR・字幕)、②Driveの命名・タグ、③ノート作成と同期、④三点指定のプロンプト、⑤週次の小さな習慣——の順で進めればつまずきません。
次はお試しノート3選で手を動かし、うまくいったら90日チェックリストへ。連携や自動化はDriveとZapier/Makeを参考に、今日から“できること”をひとつ増やしていきましょう。
付録A:15分スタータープラン(まず触ってみる)
準備3分:素材を1か所に集める
Google Driveに「Starter_NotebookLM」というフォルダを作り、直近の議事録1本(Docs)、手順書1本(PDF・OCR済み)、FAQメモ1本(Docs)を入れます。
ファイル名はYYYYMMDD_題名_v1_担当に統一し、各文書の冒頭へ要約ブロック(目的/対象/更新日/責任者)を300字以内で追記します。タグは部署|プロジェクト|ステータス(例:総務|入社手続き|承認済み)で記録しておきましょう。
作成8分:ノート作成→ソース追加→同期
NotebookLMで新規ノートを作成し、先ほどの3ファイルをAdd sourcesで追加します。追加後はクリックして同期を実行。完了したら「入社手続きのPC申請手順を3行で。
引用リンク付き」と質問し、返ってきた引用から原本を開いて内容・日付が正しいかを確認します。必要なら原本を修正→再同期で精度を上げます。
検証4分:ヒット率と“良問”の型を確認
続けて「必要書類の一覧を表で」「締切と担当を箇条書きで」といった出力形式指定の質問を2〜3個投げます。ヒットしない語があれば同義語として辞書に追加。
最後に「今日の良問」を1つテンプレ化(目的/条件/出力形式の三点)してノート先頭に保存し、次回からすぐ使える状態にします。
付録B:コピペで使えるプロンプトテンプレ10
要約・抽出(短時間で要点を掴む)
「この議事録を決定事項/ToDo/担当/期限に分けて箇条書き。最後に引用リンクを列挙」/「手順書から前提条件と注意点だけ抽出。新入社員向けに200字で」。
比較・一覧(迷いを減らす)
「プランA/B/Cの価格/適用条件/申込方法を表で比較。差分の重要ポイントを3つ。各セルに出典ページへの引用」/「前回と今回のリリースノートの変更点を箇条書き。影響範囲も併記」。
手順化・チェック(実務直結)
「PC申請のステップを1→2→3で。誰が/いつまでに/どこでを明記」/「研修動画の字幕から見どころベスト5を開始時刻付きで。引用リンクも追加」。
付録C:初心者チェックリスト(最初の1週間)
Day1–2:入力の整備
OCR済みPDF/Docs/Slidesの準備はOK? ファイル名はYYYYMMDD_題名_v番号_担当? 冒頭に要約ブロックを入れた? 同じ資料が複数場所にない?(重複は一旦/archiveへ移動)
Day3–4:ノートと質問の型づくり
ノートを作成し、ソースを追加→同期まで実施した? プロンプトは「目的・条件・出力形式」の三点指定で書いた? 引用から原本を開く習慣がついた?
Day5–7:運用の小さな習慣
未同期ゼロ化を週1で確認した? 未ヒット語Top5を辞書に追加した? 良問テンプレをノート先頭に保存した? 社内チャンネルへ成果を1つ共有した?
付録D:つまずき早見表(原因→対処)
同期されない/ボタンが出ない
Drive権限が編集でない/対応形式でない/スキャンPDFがOCR未実施の可能性。編集権限付与→OCR→再同期。巨大PDFは章分割。詳解はトラブルガイド。
検索が当たらない/回答がぶれる
命名・三層タグ・要約ブロック未整備が主因。略称・旧称は辞書の同義語に登録し、原本を更新→再同期。質問は三点指定を徹底。詳解はタグ命名最適化。
引用リンクが開けない
ノート共有とDrive共有のねじれ。保存先を「公開/社内/機密」で分け、RBACで権限整合。機密はリンク共有禁止+期限設定。詳解は情報共有ルール。
付録E:次に読むおすすめ(内部リンクCTA)
はじめの一歩を固める
取り込み前の整備は対応形式まとめ【PDF/動画/音声】、Drive接続は連携まるわかり。
使いこなしを加速する
実務で使えるアイデアは活用事例10選、チームで回すなら90日チェック。
困ったときの安心ガイド
不具合はトラブルシューティング、周知と自動化はZapier/Make活用術へ。
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