NotebookLMをいきなり全社展開せず、まずは“小さく試す”ことで価値とコツが最速で掴めます。
そこで本記事は初心者が今日から着手できるお試しノートを3つ厳選し、素材の集め方・作成手順・質問(プロンプト)の型まで具体的に解説します。
用意するのは①直近の会議議事録、②サンプルの営業提案書と事例、③よくある社内FAQの下書き。
取り込み前の整備は対応形式、Drive接続は連携ガイド、命名とタグは最適化テクを参照し、作った瞬間から“探さない”体験へ踏み出しましょう。
お試しノート3選:最短で効果を体験
会議議事録ノートのねらいと効果
最初の一歩は会議議事録ノートです。決定事項・ToDo・担当・期限など“実務直結の答え”を数秒で取り出せるため、効果を体感しやすいのが利点です。素材は直近2~3回分の議事録(Google Docs 推奨)と関連のスライド。
冒頭に要約ブロック(目的/対象/更新日/責任者)を入れ、ファイル名はYYYYMMDD_会議名_v番号_担当へ統一します。質問は「決定事項を箇条書き」「未完了ToDoを一覧」といった短文で十分。根拠ページへの引用リンクで齟齬確認も素早く行えます。
営業提案書ノートのねらいと効果
次は営業提案書ノート。過去提案・価格表・導入事例を集め、相手業界×課題で横断検索します。「要点骨子のドラフト」「競合比較の表」「価格根拠の引用」が一気に揃い、レビュー往復が短縮されます。
Slidesは表紙ノートに要点を記載、PDFは必要に応じてOCR化。命名はYYYYMMDD_案件_v番号_担当、タグは部署|製品|段階など三層固定に。毎週のクリックして同期で最新状態を維持しましょう。
社内FAQノートのねらいと効果
最後は社内FAQノート。アカウント・請求・PC申請など定番質問をDocsでテンプレ化し、NotebookLMに登録します。狙いは自己解決率の向上と回答の標準化。質問は「◯◯ができない—原因と対処を結論→手順→引用で」と固定型にします。
未ヒット語は月次で同義語辞書へ追加し、Slack/Teamsからの導線は“聞かずに調べる”文化を参考に整備すると定着が加速します。
会議議事録ノート:決定事項を逃さない
下準備:命名・タグ・素材の集め方
議事録(2~3本)と配布スライド、参考URLをGoogle Driveの同一フォルダへ。命名はYYYYMMDD_会議名_v番号_担当、タグは部署|プロジェクト|ステータス(例:開発|製品A|承認済み)を付与。
各文書の冒頭へ要約ブロックを300字ほどで追記し、旧版は/archiveへ退避します。スキャンPDFは必ずOCRを実施。ここまで整うと検索の命中率と回答の再現性が安定します。迷ったら命名・タグ最適化をご参照ください。
作成手順:取り込み→同期→試験質問
NotebookLMで新規ノートを作成し、議事録とスライドをAdd sources。直後にクリックして同期を押して取り込みを完了させます。まずは「決定事項を箇条書き」「未完了ToDo+担当+期限」「論点と宿題を分けて要約」など3問を試験。
回答の引用リンクから原本を開き、文脈と更新日を確認します。ズレがあれば原本修正→再同期。以降の定例は、このノートを会議のブリーフィングに使うと準備が大幅に短縮されます。
プロンプト例と運用のコツ
例:「この議事録の決定事項/ToDo/担当/期限を分けて箇条書き。最後に引用リンクを列挙」「次回までの宿題と前提条件だけ抽出(200字)」「議題Aの結論と根拠ページを2つ」。
コツは出力形式(箇条書き・表・3行など)を明示すること。タグで会議名・プロジェクトを揃え、定例後はすぐ再同期すると鮮度が保てます。定着は90日チェックに沿って回しましょう。
営業提案書ノート:比較と骨子づくり
下準備:サンプル・事例・価格を束ねる
過去の提案書PDF、導入事例、価格表、よく使う図版を1フォルダに集約。画像PDFはOCR、Slidesは表紙ノートで要点明記。命名はYYYYMMDD_案件_v番号_担当、タグは業界|製品|段階を統一し、旧版は/archiveへ移動します。
各文書の冒頭に目的/対象/更新日/責任者を入れると、NotebookLMが骨子を組み立てやすくなります。形式の癖は対応形式まとめをチェック。
作成手順:取り込み→同期→3つの試験出力
ノートに資料を追加し、同期後に3つの出力を試します。①「業界X・課題Y向けの提案骨子(章立て3章)」②「競合A/B/Cの価格/機能/提供形態を表で比較。各セルに引用」③「価格根拠の原文を3件」。回答のリンクから原本へ戻り、最新版かを確認。
誤読が出た箇所は原本へ短い注記を追記→再同期すると改善が早いです。周知やリマインドは自動化で省力化できます。
プロンプト例と運用のコツ
例:「[業界=◯◯][課題=△△]向けに、提案の章立て(背景/解決策/効果)を作成。各章に引用リンク」「競合A/B/Cの差分を3点で」「導入事例から効果指標を抜粋」。コツは条件指定(業界・規模・既存ツール)を入れること。
タグに業界・製品・段階を固定すればヒットが安定します。効果を示すときはROI報告の式で時間短縮を金額換算しましょう。
社内FAQノート:自己解決を促進
下準備:FAQテンプレと同義語辞書
「アカウント」「請求」「PC申請」などのよくある質問をDocsでテンプレ化し、各項目に結論→手順→参照リンクの順で記載。略称・旧称・俗称は同義語辞書にまとめ、Spreadsheetでプルダウン化します。
命名はYYYYMMDD_FAQ_v番号_担当、タグは部署|プロセス|ステータス。公開範囲に応じて保存先を「公開/社内/機密」で分離し、機密はリンク共有禁止+期限付きに設定します。
作成手順:分類→同期→精度の評価
ノートにFAQ文書を追加して同期後、「カテゴリー別の一覧」「未ヒットが出やすい項目」をまず確認。続けて「◯◯ができない—原因トップ5」「請求先変更の手順を結論→手順→引用で」と質問し、回答のリンクから原文整備→再同期のループを回します。
未ヒット語Top10は月次で辞書へ追加し、改善率をKPIとしてダッシュボードに可視化しましょう。
プロンプト例と運用のコツ
例:「『アカウント発行できない』の原因5つと対処を簡潔に。最後に引用」「PC申請のステップを1→2→3で」「請求書送付先変更の注意点を100字」。
コツは出力形式の指定と短文。Slack/Teamsの導線はチャット連携を参考に、Botのカードへ“再質問”ボタンを用意すると自己解決が進みます。
失敗しないための共通ルール
対応形式と前処理(OCR・字幕)
画像PDFは必ずOCRで文字化、動画・音声は字幕(VTT/SRT)を付与。Slidesは表紙ノートで要点を明示します。各文書の冒頭に要約ブロック(目的/対象/更新日/責任者)を置けば、回答が安定し、引用の精度も向上。形式別の注意は対応形式まとめを確認し、取り込み後は必ずクリックして同期を実施しましょう。
権限と機密区分(RBAC)の整合
引用リンクが開けない原因の多くはDrive権限とノート共有のねじれです。保存先を「公開/社内/機密」で分け、ロールベースのRBACで最小権限を付与。機密はリンク共有禁止+期限設定。
四半期ごとの棚卸しはトラブルガイド付録の台帳テンプレを活用してください。権限が揃うだけで“開けない問題”は激減します。
週次の定着ルーチンとKPI
週1回の点検で品質は維持できます。①未同期ゼロ化、②未ヒット語Top10を同義語辞書へ追加、③命名・タグ違反の是正、④良問テンプレ共有、⑤KPI(検索平均時間/未ヒット率)をダッシュボードで確認。
ルーチン化は90日チェックに沿って回すのが近道です。
まとめ
NotebookLMの入門は、①会議議事録ノートで実務の即効性、②営業提案書ノートで骨子と比較、③社内FAQノートで自己解決の仕組み化を体験するのが最短です。
どのノートも、前処理(OCR・字幕)と命名・タグ・要約ブロック、そしてクリックして同期が成功のカギ。
次は入門ガイドで基礎を固め、運用は90日チェック、精度は命名・タグ最適化で磨いていきましょう。
付録A:素材チェック&命名例
会議議事録ノート:必要素材と命名・タグ
必要素材:議事録(直近2〜3回分のGoogle Docs)、配布資料(Slides/PDF)、参考URL(ヘルプ/設計書など)。命名はYYYYMMDD_会議名_v番号_担当(例:20250928_プロダクト定例_v3_鈴木)。
タグは部署|プロジェクト|ステータス(開発|製品A|承認済み)。各文書の冒頭に要約ブロック(目的/対象/更新日/責任者)を300字で追加。旧版は/archiveに退避し、現行は/mainへ集約。スキャンPDFは必ずOCRでテキスト化し、取り込み後はクリックして同期を実施します。
営業提案書ノート:必要素材と命名・タグ
必要素材:過去提案書PDF、導入事例、価格表、競合ホワイトペーパー。命名はYYYYMMDD_案件_v番号_担当(20250928_ABC社提案_v1_田中)。タグは業界|製品|段階(小売|SaaS|提案中)。Slidesは表紙ノートで要点明記、画像PDFはOCR。
各文書の冒頭に要約ブロックを配置し、相互参照リンクを追加。週次で未同期ゼロ化し、差分が多い資料は章単位に分割してノート内でシリーズ化します。
社内FAQノート:必要素材と命名・タグ
必要素材:よくある質問テンプレ(Docs)、関連ガイド、社内規程、申請フォームURL。
命名はYYYYMMDD_FAQ_v番号_担当(20250928_FAQ_v4_佐藤)。タグは部署|プロセス|ステータス(総務|入社手続き|承認済み)。略称・旧称は同義語辞書に登録し、Spreadsheetでプルダウン化。公開範囲に応じて保存先を「公開/社内/機密」に分離し、機密はリンク共有禁止+期限付きへ。取り込み後は同期して精度検証を回します。
付録B:フォルダ構成テンプレ
/main と /archive の二層構造で迷子防止
推奨構成:/NotebookLM/main/{部署}/{プロジェクト}/年/月 と /NotebookLM/archive。現行はmainに集約し、旧版や不要資料はarchiveへ自動退避。
/main直下に「辞書(同義語)」「テンプレ(要約ブロック/命名/タグ)」「ダッシュボード(KPIリンク)」フォルダを常設し、運用の“型”を見える化します。これにより検索結果のばらつきや重複参照を抑え、NotebookLMの引用の再現性が上がります。
三層タグとフォルダの対応関係を揃える
フォルダの階層(部署→プロジェクト→年月)と三層タグ(部署|プロジェクト|ステータス)は表裏一体で揃えます。タグ辞書は部署・プロジェクト名の正式表記を固定語として配布し、俗称は同義語に登録。
これにより「製品A/ProdA/A製品」といった揺れを吸収し、質問の成否をフォルダ設計で支えることができます。
リンク集ノートで“入口”を一本化
各お試しノートの先頭にリンク集セクションを置き、原本フォルダ、辞書、テンプレ、KPIダッシュボードへの導線をひとまとめにします。
ユーザーは毎回Driveを探さず、ノートから必要資源へ飛べるため、オンボーディングの迷子が激減します。リンクは可能な限り固定URLを使用し、所有者変更時の断線リスクを避けましょう。
付録C:プロンプトテンプレ(用途別10)
議事録向け:決定・宿題・前提を一発抽出
「この議事録の決定事項/ToDo/担当/期限を箇条書き。最後に引用リンクを列挙」/「議題Xの結論+根拠ページを2件。前提条件のみ100字」。短くても出力形式を指定すると、後処理が最小化できます。
提案向け:骨子・比較・根拠の三点セット
「[業界=◯◯][課題=△△]向け提案の章立て(3章)。各章に引用」/「競合A/B/Cの価格/機能/提供形態を表で比較。差分3点も」。価格根拠は「該当ページの引用を3つ」で補強します。
FAQ向け:結論→手順→引用の固定型
「『◯◯できない』の原因トップ5と対処を結論→手順→引用で」/「請求先変更の注意点を100字。最後に参照元の引用リンク」。同義語辞書の語を含めて質問するとヒット率が上がります。
付録D:15分導入フロー(最短)
Step1(5分):素材集約と要約ブロック追加
各ノート分の素材を1フォルダへ集め、すべての文書冒頭に要約ブロック(目的/対象/更新日/責任者)を追記。命名はYYYYMMDD_題名_v番号_担当で統一し、略称は同義語辞書へ記載します。
Step2(5分):ノート作成→ソース追加→同期
NotebookLMでノートを作成し、素材をAdd sources。直後にクリックして同期を実行。同期時刻をメモし、未同期がないかを確認します。画像PDFや長尺動画は事前のOCR/字幕が必須です。
Step3(5分):試験質問→原本照合→再同期
用途別テンプレから2〜3問を実行し、回答の引用リンクから原本を開いて整合を確認。ズレがあれば原本に注記を追記→再同期。最後に「今日の良問」をノート先頭へ保存してチームに共有します。
付録E:KPIカード文面(周知テンプレ)
週次共有テンプレ(コピペOK)
【NotebookLM 週次KPI】検索平均時間:◯◯秒(先週比 −△△秒)|未ヒット率:◯%(−△pt)|DM質問数:◯件(−△件)|未同期:◯件 → 今週の是正:命名逸脱修正/辞書更新/未同期ゼロ化 を完了。来週は「提案骨子テンプレ」と「FAQ同義語の充実」を強化します。詳細はノート先頭のダッシュボードへ。
改善リクエストの集め方
KPIカード末尾に「未ヒット語」「参照切れURL」「命名逸脱ファイル」をコメントで募集と明記します。気づきが集まるほど辞書とテンプレが育ち、次週のKPIが自然に改善します。表彰枠としてプロンプトMVPを設けると参加率が上がります。
付録F:次に読むおすすめ(内部リンク)
入門を固める
まずは入門ガイドで基本を確認し、疑問は導入前の注意点3つで事前解消しましょう。
実践を広げる
用途の広げ方は活用事例10選、運用の型は90日チェックが近道です。
困ったら
不具合やつまずきはトラブルシューティング完全ガイドを参照。Driveとのつなぎ込みは連携ガイドが役立ちます。
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