医療費控除とセルフメディケーション税制の準備ガイド【2025】|年末の整理術・明細テンプレ・どっちが得かの見分け方

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年末のうちにやるべきことは、①領収書と医療費通知の一元化②保険金・給付金の差し引き整理③「医療費控除」か「セルフメディケーション税制」かの選択の3点です。

医療費控除は年間の医療費が大きい年に有利、セルフメディケーション税制はスイッチOTC医薬品の購入が多い年に有利。

両者は同一年では選択制(併用不可)なので、年末の段階でどちらを使うか方針を決め、明細書(e-Tax入力用)まで作り切ると確定申告が激的にラクになります。

この記事でわかること

  • 医療費控除・セルフメディケーション税制の違いと要件
  • 年末にやるべき領収書整理・差し引きの実務
  • 明細書テンプレ、スプレッドシート列構成のそのまま使える型
  • どっちが得かを素早く判定するフローチャートと簡易試算
  • e-Tax提出までのチェックリストとFAQ

制度のざっくり比較

項目 医療費控除 セルフメディケーション税制
対象 本人・生計を一にする配偶者・親族の医療費 本人のスイッチOTC医薬品購入額
控除の計算 (支払医療費 − 保険金等) − 10万円(または総所得金額等の5%のいずれか少ない方)。
上限は200万円まで。
(対象OTC購入額 − 1万2千円)。
上限は8万8千円
要件 領収書に基づく明細書、又は医療費通知の活用。領収書は提出不要だが5年間保存 予防・健康増進の取組(健診・予防接種・がん検診・歯科健診等)の実施が必要。対象商品判定のレシート保存。
留意 年末調整では不可。確定申告で申告 医療費控除との併用不可(同一年)。

年末までの実務フロー(30分×3回で完了)

  1. 収集:健康保険組合から届く医療費通知(年間医療費のお知らせ)を取り込み、歯科・自由診療・ドラッグストア等の領収書・レシートを1カ所に集約。家族分も同じ箱(フォルダ)に。
  2. 分類(A)保険適用の医療費(B)保険適用外の医療費(C)スイッチOTC(D)その他(マスク・体温計など対象外)に分ける。
    ※(A)は医療費通知に載っていることが多く、領収書明細の省略が可能。載っていない(B)や(C)は領収書ベースで明細化。
  3. 差し引き:入院給付金・高額療養費・出産育児一時金・保険会社からの補填金額を医療費から控除する欄に必ず記録。

スプレッドシート列テンプレ(そのままコピペOK)

日付|対象者(本人/配偶者/子等)|支払先(病院・薬局名)|区分(診療/歯科/薬/交通費等)|内容|金額(税込)|保険適用(はい/いいえ)|保険・高額療養費等で補填|対象OTC(はい/いいえ)|備考

※交通費は公共交通機関の通院分のみ対象(自家用車のガソリン代等は原則不可)。レシートが出ない場合は日付・区間・金額をメモ。

よくある「対象/対象外」早見

  • 対象になりやすい:診療費、治療のための医薬品、歯科治療(インプラントはケースにより)、妊婦健診の検査費用、出産費用、不妊治療(先進医療含むものあり)、通院の公共交通費、眼鏡(治療用の作成で医師の指示がある等)、医師の指示によるコルセット等の治療用装具、禁煙治療(保険診療のもの)
  • 対象外:美容目的の審美歯科、予防目的のサプリ、一般のコンタクト・眼鏡、マッサージ・整体(治療のために医師の指示や保険適用がない場合)、人間ドック等の任意健診(異常が見つかり治療に移行した場合の当該部分は対象になることあり)、マスク・衛生用品(原則)

セルフメディケーション税制の実務ポイント

  • 対象商品かの判定:レシートの品目名近くに「★」「SM」「セルフメ」などの対象マークや、対象識別コードが印字されることが多い。迷ったら店頭POPやメーカーサイトで確認。
  • 要件の証明:当年に健康増進の取り組み(定期健康診査、がん検診、予防接種、勤務先の健診、特定健診、歯科健診)を受けた事実の分かる書類が必要(コピー可の場合あり)。
    例:会社の健診結果通知、自治体の検診受診票、予防接種の接種証明等。
  • 控除額の考え方対象OTC合計 − 12,000円(上限88,000円)。対象外商品と合算しない。

どっちが得?超速フローチャート

1)家族を含む年間医療費(保険金等控除後)が 10万円 or 総所得の5% を超える見込み?

└ はい → 「医療費控除」候補。2)へ

└ いいえ → 「セルフメディケーション税制」候補。3)へ

2)医療費(控除後) − 閾値(10万円 or 5%少ない方) が大きい?

└ はい → 医療費控除の方が有利な可能性大

└ いいえ → 3)セルフメディケの控除額と比較

3)対象OTC購入額 − 12,000円 は十分ある?(上限88,000円)

└ はい → セルフメディケが有利の可能性

└ いいえ → 今年は申告しない/来年に備え購入記録を習慣化

 

簡易試算(目安)

医療費控除控除額 = (医療費合計 − 保険金等) − 閾値(10万円 or 総所得の5%の少ない方)(上限200万円)。
※「控除額」は課税所得から差し引く額なので、実際の税還付は控除額 × 税率が目安(復興特別所得税等は別途)。

セルフメディケーション税制控除額 = 対象OTC合計 − 12,000円(上限88,000円)。

例:課税所得に対する実効税率20%の人が、医療費控除の控除額20万円なら、ざっくり還付は約4万円規模が目安。セルフメディケで控除額5万円なら約1万円規模が目安(いずれも超概算)。

年末から申告までのスケジュール設計

  • 〜12/上旬:医療費通知が届き次第スキャン/保管。ドラッグストアのレシートも月別封筒 or フォルダで集約。
  • 〜12/中旬:スプレッドシートに入力。対象OTCの欄も同時にチェック。
  • 〜12/下旬医療費控除 vs セルフメディケを暫定判定。必要書類(健診証明・予防接種)を回収。
  • 1月:e-TaxのID・パスワード方式 or マイナンバーカード方式の準備。医療費通知のPDFや、明細CSVを最終化。
  • 2〜3月:確定申告(e-Tax推奨)。年末調整で反映できない控除をまとめて申告。

提出前チェックリスト(コピペOK)

  • □ 医療費通知(健康保険組合・協会けんぽ等)を入手し、未掲載の歯科・自由診療・ドラッグストア分を別明細で加算した
  • 保険金・給付金・高額療養費等は医療費から差し引き記録した
  • □ 交通費は公共交通機関のみ記録(自家用車のガソリン代は除外)
  • □ セルフメディケーション税制を選ぶ場合:対象OTCの印字を確認し、健診・予防接種等の受診証明を準備した
  • どちらか一方を選択(同一年の併用不可)
  • □ 明細書(またはCSV/スプレッドシート)を家族分も合算して作成
  • □ e-Taxの方式(マイナカード or ID/パス)を決定し、動作確認を行った
  • □ 領収書・レシートは原本を5年間保存できるよう箱/フォルダで管理

間違いやすいポイント10

  1. 医療費通知に載っているから領収書は捨てていい? → 提出は不要でも保存義務はあり。5年間は保管。
  2. ドラッグストアの買い物を全部セルフメディケ対象に対象OTCのみ。食品・日用品は不可。レシートの対象印字を確認。
  3. 高額療養費や保険給付の差し引き忘れ → 医療費から必ず控除(控除しないと過大申告に)。
  4. 自由診療・審美は全部ダメ治療目的なら対象になり得る費用も。歯列矯正でも治療目的で医師の診断がある場合等は対象可能性。
  5. 人間ドックは原則対象外異常所見が見つかり治療に移行した部分は対象になり得る。
  6. 家族分を申告者と別々に作る → 同一生計なら合算が原則。税率の高い人に集約が有利なことも。
  7. 交通費にタクシーを含める → 原則不可(やむを得ない緊急時を除く)。公共交通機関を基本に。
  8. 電子レシートの保存漏れ → PDF/画像はクラウドに即保存。ファイル名は2025_med_日付_対象者_支払先_金額を推奨。
  9. セルフメディケの証明書類がない → 健診結果等の証明が必須。年末に職場/自治体からの書類を回収。
  10. 医療費控除とセルフメディケの同時申告 → 同一年はどちらか一方のみ。比較して有利な方を。

e-Taxでの入力コツ

  • 医療費通知を活用:掲載分は明細行の省略可。未掲載分のみを領収書明細で追加。
  • CSVインポート:スプレッドシートをCSV出力すれば、フォーマット対応機能でまとめて取り込める場合あり。
  • 添付省略・保存義務:領収書は提出不要でも保存必須。確認依頼に備えて体系的に管理。

家計改善とセットで効かせる

年末に明細を作るだけでなく、家計アプリや表計算に医療費カテゴリを常設し、家族ごとの医療費推移を年次で可視化すると、保険の見直し・定期受診の計画・OTCの買い方最適化に直結します。
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よくあるQ&A

Q. 年末調整で医療費控除はできますか?
A. できません。医療費控除・セルフメディケ税制はいずれも確定申告で申告します。

Q. 家族の医療費は誰が申告すると得ですか?
A. 同一生計なら合算可。一般に税率の高い人が申告すると効果が大きい傾向。

Q. キャッシュレス決済のレシートでも大丈夫?
A. 可能。日付・支払先・金額・品名(OTCは対象識別)が分かる形で保管。電子データはクラウド保存推奨。

Q. 既にセルフメディケの対象OTCを買っていたが、医療費控除の方が有利になりました。切替可能?
A. はい。同一年ではどちらか一方を選ぶため、有利な方に切り替え可能です(併用は不可)。

ミニテンプレ:セルフメディケ対象OTCレシートの見分け

・レシートに「★」「SM」「セルフメ」「税制対象」等の印字

・対象成分(例:ロキソプロフェン、フェキソフェナジン等のスイッチ成分)

・同一レシート内の食品・日用品は対象外 → 行ごとに分けて集計

 

まとめ

年末に集約・分類・差し引き・選択の4手順を終わらせれば、確定申告は入力と確認だけ。医療費控除は「大きく支出が出た年」、セルフメディケは「OTCが積み上がった年」に威力を発揮します。どちらを選んでも、根拠書類を5年保存し、家族分を含めて一元管理することが成功のコツです。

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