誰を扶養にできる?扶養控除等申告書の対象判定・条件一覧【2025年版】

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年末調整の山場である扶養控除等申告書。「誰を扶養にできるか」で手が止まる人は多いです。

配偶者・子ども・親など、家族ごとに条件や書く欄が違い、さらに「合計所得金額」や「同一生計」など、普段聞き慣れない用語も登場します。

この記事では、はじめての方でも迷わないように対象判定の考え方をやさしく整理し、すぐ確認できる早わかり表まで用意しました。スマホで読みやすいよう短めの段落・箇条書きで要点を並べ、誤りやすいケースも実例で解説します。

読めば、「配偶者・学生の子・年金生活の親」をどこに、どう書くかがスッとわかります。年末調整をスムーズに終えるために、この記事を活用してください。

  1. 扶養控除等申告書の前提:対象判定の基本
    1. 扶養控除と配偶者控除の違いをまず整理
    2. 「合計所得金額」と収入の目安(48万円・103万円の関係)
    3. 16歳未満の子は控除対象外でも記入欄あり
  2. 配偶者を扶養にできる条件(配偶者控除・特別控除)
    1. 配偶者控除の基本要件と書く欄
    2. 配偶者特別控除:働く配偶者の収入が上がっても調整可
    3. 共働き世帯の提出ルール:「主たる給与支払者」にだけ出す
  3. 子ども・学生の扱い(アルバイトや奨学金がある場合)
    1. 高校生・大学生のアルバイト収入と扶養の可否
    2. 勤労学生控除と親の扶養控除は両立できる?
    3. 16歳未満の子の書き方と住民税まわりの注意
  4. 親・祖父母を扶養にできる条件(年金・同居の有無)
    1. 同居は必須ではない:生計一と仕送りの実務
    2. 70歳以上は控除額が上がる:「老人扶養親族」と「同居老親等」
    3. 年金受給者の「所得」判定は公的年金等控除後
  5. NG・注意ケースと「迷ったらここを見る」早わかり表
    1. 二重扶養は不可:夫婦・兄弟での重複に注意
    2. 生計同一の考え方:別居や単身赴任でも成立し得る
    3. 年の途中で条件が変わったときの対応(結婚・就職・退職)
  6. よくある質問(ミス防止のための実務Tips)
    1. Q1. 「収入」と「所得」を混同していませんか?
    2. Q2. 「同一生計」の証明はどう残す?
    3. Q3. 途中で基準超過が確実になったら?
  7. まとめ:迷ったら「48万円・同一生計・二重防止」の三本柱

扶養控除等申告書の前提:対象判定の基本

扶養控除と配偶者控除の違いをまず整理

扶養控除は、あなた(給与所得者)と同一生計にある「控除対象扶養親族」に適用される仕組みで、主に16歳以上の子や親・祖父母などが対象です。一方、配偶者(婚姻関係にあるパートナー)は扶養親族ではなく配偶者控除または配偶者特別控除という別の控除で扱います。申告書でも欄が分かれており、配偶者は「配偶者」欄、子や親は「扶養親族」欄に記入します。ここを混同すると、誰も控除できない・二重記載になる等のミスにつながります。まずは「配偶者は配偶者控除、配偶者以外は扶養控除」という大原則を押さえましょう。

「合計所得金額」と収入の目安(48万円・103万円の関係)

判定のカギは合計所得金額です。原則として、対象者の合計所得金額が48万円以下であれば、税法上の「所得なし(または少額)」として扱われ、扶養控除や配偶者控除の対象になり得ます。アルバイトなど給与収入のみなら、給与所得控除(概ね55万円)が差し引かれるため、年収ベースでおおむね103万円以下が48万円以下の目安になります。なお、事業所得・不動産所得・年金等は計算が異なるため、「収入=所得」ではない点に注意。迷ったら、源泉徴収票や収支内訳を基に「所得」で確認するのが安全です。

16歳未満の子は控除対象外でも記入欄あり

16歳未満の子は、所得税の扶養控除の対象外です(控除は受けられません)。ただし、扶養控除等申告書には「16歳未満の扶養親族」欄があり人数等を記載します。ここを空欄にしてしまうと、会社での手当や自治体の確認等に影響する場合があるため、控除がなくても家族構成の実態として記入しましょう。なお、住民税の非課税判定や就学関係の手続きで参照されることもあるため、年末調整時に忘れず入力・記入しておくと後々スムーズです。

配偶者を扶養にできる条件(配偶者控除・特別控除)

配偶者控除の基本要件と書く欄

配偶者の合計所得金額が48万円以下(給与収入のみは概ね年収103万円以下)なら、あなたは配偶者控除の対象として申告できます。申告書では「源泉控除対象配偶者/配偶者控除」欄に配偶者の氏名・生年月日・マイナンバー等を記入します。ここでありがちなミスは、配偶者を「扶養親族」欄に書いてしまうこと。配偶者は扶養親族ではないため、必ず配偶者の専用欄に記入してください。また、あなたの所得水準によって控除額が変動する点にも注意が必要です(高所得帯では控除額が縮小・ゼロになる場合があります)。

配偶者特別控除:働く配偶者の収入が上がっても調整可

配偶者の合計所得金額が48万円を超え133万円以下の範囲なら、配偶者特別控除の対象になり得ます。給与収入のみの目安では、おおむね年収201万6千円程度までが射程です(実際は所得で判定)。この制度により、パート・アルバイトで収入が増えても、いきなり控除がゼロにはならず、段階的に控除額が縮小します。記入欄は配偶者控除と同じブロック内にあり、対象かどうかは会社の年末調整ソフトが自動判定することも多いですが、配偶者の所得見込みを正しく伝えることが最重要。年の途中で見込みが変われば、年末に最新見込みで訂正しましょう。

共働き世帯の提出ルール:「主たる給与支払者」にだけ出す

副業やダブルワークを含め2か所以上から給与を受けている人は、扶養控除等申告書は1社(主たる給与支払者)にのみ提出します。配偶者を誰が控除するかは、世帯の所得状況で有利・不利が分かれるため、一般には所得が多い方(税率の高い方)が控除するのが定石です。ただし、配偶者の収入見込みが変動しやすい場合は、年末の最終見込み時点で最適な方に寄せるのが現実的。誤って両方が控除すると二重適用となり、後日修正が必要になるため、夫婦で誰が書くかを必ず共有しましょう。

子ども・学生の扱い(アルバイトや奨学金がある場合)

高校生・大学生のアルバイト収入と扶養の可否

子どもが16歳以上で、かつ合計所得金額48万円以下(給与のみは概ね年収103万円以下)なら、扶養控除の対象になり得ます。大学生のアルバイトで年末に調整すると103万円を超えやすいので、月ごとに累計をチェックするのがポイント。なお、奨学金は原則として非課税(所得に算入しない)ため、扶養判定には通常影響しません。実務では、年末に子の源泉徴収票の「支払金額(年収)」と「給与所得控除後の金額(所得)」を確認し、48万円を超えていないかで最終判断します。

勤労学生控除と親の扶養控除は両立できる?

勤労学生控除は、学生本人の所得税を軽くする制度で、一定の所得要件を満たせば適用されます。よくある誤解が「勤労学生控除を使うと親の扶養から外れるのでは?」というもの。実際には、親の扶養控除はあくまで「子の合計所得金額」で判定されるため、子の所得が48万円以下であれば、親の扶養控除と勤労学生控除は同時に成立し得ます。つまり、両者は排他的ではありません。大切なのは、学生本人の確定申告(または年末調整)で勤労学生控除の要件を満たしつつ、親側では48万円基準を外さないよう収入を管理することです。

16歳未満の子の書き方と住民税まわりの注意

16歳未満の子は所得税の扶養控除の対象外ですが、申告書の「16歳未満の扶養親族」欄に人数等を記入します。ここを丁寧に書くと、会社の家族手当・自治体の各種照会にスムーズに対応しやすくなります。また、住民税の非課税判定は各自治体で基準が設けられており、世帯構成の把握が重要な場面も。控除がなくても記載する、というルールをチーム全員で共有しておくと、提出漏れや差し戻しを防げます。

親・祖父母を扶養にできる条件(年金・同居の有無)

同居は必須ではない:生計一と仕送りの実務

親・祖父母は同居していなくても、あなたが生活費の多くを負担していれば「生計を一にする」と認められることがあります。地方に住む親へ定期的に仕送りしているケースが典型です。ポイントは、合計所得金額48万円以下(年金受給の場合は後述の年金の「所得」計算で判定)であること、そして継続的な生活費負担の事実を説明できること。振込記録や家計アプリのメモなど、支援の証跡を日頃から残しておくと安心です。申告書では「控除対象扶養親族」欄に記入します。

70歳以上は控除額が上がる:「老人扶養親族」と「同居老親等」

70歳以上の親・祖父母は「老人扶養親族」に該当し、一般の扶養親族より控除額が大きい区分になります。さらに、あなたや配偶者の直系尊属(父母・祖父母)で、かつ同居している場合は「同居老親等」として控除額がもう一段階上がる特例も。いずれにせよ、合計所得金額48万円以下が大前提で、年金の所得計算がカギになります。年齢や続柄・同居の有無は申告書の重要項目なので、続柄・生年月日・住所は住民票どおりに正確に書きましょう。

年金受給者の「所得」判定は公的年金等控除後

親が公的年金を受給している場合、判定は「年金の収入額」ではなく、公的年金等控除を差し引いた後の『所得』で行います。よって、同じ年金収入でも年齢・金額に応じて所得は小さくなることがあります。結果として、年金受給でも48万円以下に収まるケースは珍しくありません。実務では、源泉徴収票(公的年金等の)または年金振込通知書を基に、控除後の「所得」金額を確認しましょう。ここを誤って「収入」で判断すると、扶養にできるのに見逃すミスが発生します。

NG・注意ケースと「迷ったらここを見る」早わかり表

二重扶養は不可:夫婦・兄弟での重複に注意

同一人物を複数の納税者が同時に扶養控除することはできません。夫婦で同じ子を同年に申告、兄弟で同じ親を同年に申告、といったケースは二重適用となり、後日修正と追徴の対象になり得ます。最初に誰が申告するかを家族間で決め、相手の勤務先名・提出有無を共有しておくのが鉄則です。年の途中で就職・退職・転居があり構成が変わった場合も、年末時点の正しい帰属を確認して最終提出に反映させましょう。

生計同一の考え方:別居や単身赴任でも成立し得る

「同居していないから扶養にできない」とは限りません。単身赴任や進学での下宿など、住所が別でも生活費を主として負担していれば「生計を一にする」と判断される余地があります。仕送りの定期性・必要性・金額が説明できると強く、逆に一時的で断続的だと認められにくい傾向。迷ったら、送金履歴・生活費の負担割合・帰省時の負担状況など、具体的な事実関係を書き出して判定しましょう。判断が微妙なら、会社の年末調整担当や税務署へ相談を。

年の途中で条件が変わったときの対応(結婚・就職・退職)

結婚・就職・退職・転居などで家族の所得や同居関係が変わると、年末の判定結果が変わることがあります。基本は年末(12/31)時点の状況で判定されるため、途中の届出は「見込み」ベース、年末調整では最終見込みへ更新するのが実務的です。途中で基準超過が確実になったら、速やかに会社へ申告内容の変更を伝えましょう。年末調整で反映できなかった場合でも、翌年の確定申告で修正が可能です。焦らず、正しい情報にアップデートすることが何より大切です。

■誰をどの欄に? 早わかり表

対象 主な条件の目安 控除の区分 申告書で書く欄
配偶者 合計所得48万円以下(給与のみ年収103万円以下)※48超~133万円以下は特別控除 配偶者控除/配偶者特別控除 配偶者(源泉控除対象配偶者等)欄
子(16歳以上) 合計所得48万円以下(給与のみ年収103万円以下) 扶養控除(特定扶養は19~23歳) 控除対象扶養親族欄
子(16歳未満) 控除なし(家族情報として人数記入) 16歳未満の扶養親族欄
親・祖父母(同居なし可) 合計所得48万円以下(年金は控除後の「所得」で判定) 扶養控除(70歳以上は老人扶養) 控除対象扶養親族欄
同居の70歳以上の親等 直系尊属かつ同居、生計一、所得48万円以下 同居老親等(控除額大) 控除対象扶養親族欄

よくある質問(ミス防止のための実務Tips)

Q1. 「収入」と「所得」を混同していませんか?

「収入」は入ってきたお金の総額、「所得」は必要経費や各種控除を差し引いた残りです。給与だけの学生なら、収入から給与所得控除が引かれます。判定に使うのは合計所得金額なので、年収103万円≒所得48万円という「目安」を忘れずに。事業や不動産、年金などが混在する場合は、収入-必要経費(または公的年金等控除)で所得を算出してから判断しましょう。ここを誤ると、扶養にできるのに外してしまう(またはその逆)というロスが起こります。

Q2. 「同一生計」の証明はどう残す?

別居の親や下宿の子を扶養に入れるなら、継続的な生活費負担の証跡が大切です。具体的には、毎月の仕送り振込履歴、家計アプリのメモ、光熱費や家賃の負担記録、医療費の立替の記録など。まとめて送るより、定期的・計画的に生活費を支える実態がわかる方が有利です。年末になって慌てて集めるより、月次でフォルダ管理すると後がラク。会社から照会があっても、すぐ提出できるようにしておきましょう。

Q3. 途中で基準超過が確実になったら?

子のアルバイト増や配偶者の勤務時間変更で、所得が48万円を超えそうとわかったら、年末調整前に会社へ申告内容の変更を伝えます。年末に最終見込みで確定できれば、そこで反映。間に合わずに年末調整で誤ったまま処理された場合でも、翌年の確定申告で是正が可能です。焦らず、最終的に正しい姿に直すことが重要。世帯全体で見れば、誰が控除するのが有利かも合わせて再点検しましょう。

まとめ:迷ったら「48万円・同一生計・二重防止」の三本柱

誰を扶養にできるかは、①対象者の合計所得金額48万円基準(給与だけなら年収103万円目安)、②生計を一にする実態(同居は必須ではない)、③二重適用の防止という三本柱で整理できます。配偶者は配偶者控除・特別控除として専用欄、子や親は扶養控除として扶養親族欄に記入、16歳未満は控除なしでも人数記入が基本です。

年の途中で状況が変わったら、年末に最新情報へ更新すれば大丈夫。迷ったら「収入でなく所得で判定」「証跡を残す」「家族で誰が申告するかを共有」を意識しましょう。この記事の早わかり表を手元に、スムーズに扶養控除等申告書を仕上げてください。

(注)本記事は一般的な解説です。個別要件は勤務先の案内・国税庁の最新情報をご確認ください。

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