セラミックコーヒーフィルター「セラポッタ」を使い続けていると、ある日からろ過スピードが遅い、味がどこか重たいと感じる瞬間があります。
私もお湯だけの煮沸と丁寧なすすぎを続けましたが、改善は一時的でした。そこで試したのが重曹(炭酸水素ナトリウム)を加えたメンテナンス。
弱アルカリの力で油分や微粉の“膜”をゆるめ、微細孔の奥から剥がすことで、抽出がスムーズに戻りました。
うれしいのは、この方法が公式でも推奨されており、分量の目安(1ℓに大さじ2)ややってはいけないことまで明記されている点です。
この記事では公式根拠のリンクを添えつつ、私の再現手順、頻度設計、失敗しやすいポイント、そして写真2枚(煮沸中1枚/煮沸後に“速くなった”ろ過の様子1枚)でわかりやすく解説します。
結論はシンプル。「重曹で戻し、熱湯で保つ」二段構えが、セラポッタを長く快適に使う近道でした。
セラポッタが遅くなる理由と、重曹の根拠
目詰まりの正体は「油分・微粉・ミネラル」の複合汚れ
セラポッタの多孔質セラミックは目に見えない微細孔で抽出します。使用を重ねるとコーヒーオイル(油分)と微粉が孔に残り、水道水由来のミネラルも加わって複合汚れに。これが湯の通り道をふさぎ、点滴状の抽出や鈍重な味の原因になります。公式も、目詰まりはドリップスピード低下や酸味の強まりとして表れ、お手入れサインと案内しています。
重曹が効く理由:弱アルカリで油分をゆるめ、孔の奥から剥がす
重曹は弱アルカリで油脂やたんぱく汚れに強く、加熱で作用が高まります。煮沸中に重曹を溶かすと、孔の奥で固着した油分がゆるみ、湯路が再び通って抽出が安定。素材への攻撃性も低く、日常メンテに組み込みやすい性質です。これは家事一般の性質ですが、セラポッタでも重曹併用がより効果的と明記されています。
公式推奨の根拠と分量:1ℓに大さじ2、急冷・直火はNG
公式の「使い方/メンテナンス」では、「お手入れの際に重曹を入れるとより効果的」、目安は「水1リットルに大さじ2」。さらに電子レンジ加熱の目安(500W×5分/1000W×2分30秒)、流水での急冷は割れる恐れ、直火での手入れ不可も示されています。まずはこの公式ラインに沿って実践しましょう。
実践レシピ:重曹メンテの手順(写真2枚付き)
準備するものと濃度の目安(安全第一で)
用意するのは重曹(食用グレード推奨)、大きめの鍋、トング、すすぎ用ボウル、乾燥スペース。分量はまず水1ℓ:重曹大さじ1〜2で開始し、改善度を見て調整。濃すぎるとすすぎ残りや匂い残りの原因になるため、最初は控えめが安全です。日常は抽出後の熱湯リンス、詰まりを感じたら重曹煮沸で“戻す”のが基本設計です。
手順:湯通し→重曹入り煮沸10分→熱いうち徹底すすぎ→自然乾燥
工程は①粉かす除去と湯通し→②重曹溶液を弱めの沸騰に保ち約10分煮沸(鍋では口を上向きに)→③やけどに注意して取り出し、熱いうちに徹底すすぎ→④逆さ置きで自然乾燥。なお電子レンジ派は500W×5分/1000W×2分30秒の目安です。
重要な注意点は急冷しないこと。流水での急冷は破損リスクがあるため、自然冷却→自然乾燥を守りましょう。
すすぎと乾燥のコツ:匂いゼロまで、完全乾燥で仕上げ
重曹は落とす力が強い反面、残れば違和感になります。取り出したら内外をしっかりすすぎ、重曹の気配がなくなるまで続けます。最後に熱湯を回しかけ→逆さ置きで一晩乾燥。これで匂い戻りや再付着を防げます。翌日の一杯は、カップを温めつつ普段のレシピでOKです。
効果の見える化:抽出時間・味・“速くなった瞬間”の写真
抽出時間の管理:直前・直後だけでも計測しよう
体感だけに頼ると判断がぶれます。メンテ直前・直後だけでも同じレシピでタイマー計測しましょう。例:15g/240ml/蒸らし30秒で、合計時間をメモ。改善が数字で見えると、次のメンテ時期も決めやすくなります。スマホのメモに「日付・時間・味の一言」を残すだけで十分です。
味の変化:雑味の後退、香りの立ち上がり、冷め際の甘み
重曹メンテ後は、香りの立ち上がりが早まり、雑味の尾が短くなる印象。油分の滞留が抜け、豆由来の甘みと酸の輪郭が素直に届きます。深煎りはボディを保ちながら後口が軽く、浅煎りはニュアンスがきれいに。これは“湯路”が通ることで抽出の再現性が上がった結果でもあります。
“速くなった瞬間”を写真で共有(煮沸後のろ過)
今回の2枚目は煮沸後に抽出が速くなった感動の瞬間を撮影したものです。湯が線で落ちるようになり、粉層もふんわり。点滴状の停滞が解消し、ストレスのないドリップに戻りました。

よくある失敗・NGとトラブル対処(公式準拠)
濃度過多・すすぎ不足・置きっぱなし:匂い残りの主犯
重曹を濃くしすぎたり、熱いうちの徹底すすぎを省くと匂い残りが発生します。対策は、次回を控えめ濃度にし、短時間で区切ってからしっかりすすぐこと。鍋や容器に放置すると再付着しやすいので、工程はテンポよく進めるのがコツです。
急冷・直火・落下衝撃は厳禁:破損リスクを避ける
流水での急冷は割れる恐れがあり、直火でのお手入れは不可です。取り出したら自然冷却→自然乾燥へ。シンクや蛇口にぶつけない、スタンドへ静かに戻すなど、扱いも丁寧に。これらはすべて公式の注意事項として明記されています。
それでも遅い時の切り分け:挽き目・粉量・水質・注湯
改善が乏しい場合は器具外の要因も見直しを。推奨は中粗挽き、お湯90〜95℃、円を描く注湯。挽きが細かすぎる、粉量が多すぎる、硬度が高い水を使う、壁面に当てすぎる注ぎは停滞を招きます。ここは公式の使い方ガイドが参考になります。
予防メンテ設計とQ&A(公式リンク付き)
週次・月次のルーティン:日々は熱湯で“保ち”、重曹で“戻す”
日常は抽出後に裏側から熱湯を回しかけるだけでも効果的。深煎り中心・オイルリッチなら週1〜隔週、浅煎り中心なら月1を目安に重曹でリセット。抽出時間のメモを残せば、最適タイミングが自然に見えてきます。
他の洗浄剤との使い分け:酸素系漂白剤は“最後の切り札”
基本の煮沸/レンジ+重曹で改善しない場合、公式は過炭酸ナトリウム(酸素系漂白剤)での漬け置き→すすぎ→再煮沸を案内しています。混用は避け、別日・十分なすすぎを挟むのが鉄則です。強い処置だからこそ、頻度は抑えめに。
洗剤は基本NG:風味を損ねるリスクがあるため
公式FAQでは「基本は水洗いでOK。洗剤は使わない」と明記。多孔質の奥に洗剤成分や香料が残ると、抽出の味わいを損ねる可能性があるためです。万一使ってしまった場合は、十分な湯通しや煮沸でリセットを。
まとめ
結論として、セラポッタの重曹メンテは、抽出スピードと味の透明感を安全に取り戻す定石です。
しかも公式が推奨し、分量(1ℓに大さじ2)や急冷NG・直火不可まで明確なので、初めてでも再現性高く取り組めます。
日常は熱湯リンスで“保ち”、詰まりを感じたら重曹煮沸で“戻す”。この二段構えに、抽出時間メモを添えれば、最適な頻度が自然に見えてきます。今回は煮沸中の写真と煮沸後に速くなったろ過の写真を添えました。
次の一杯から、スッと落ちる湯路とクリアな後味を、あなたのセラポッタでも再現してみてください。
— 参考リンク(公式) —
・使い方/メンテナンス(重曹の目安・注意事項):https://cerapotta.jp/howtouse-cerapotta.html 。
・How to clean(英語/重曹2 tbsp per 1 Lの表記):https://cerapotta.us/pages/how-to-clean 。
・FAQ(洗剤NGの理由など):https://cerapotta.jp/faq.html 。
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