「72を年利で割ると資産が2倍になる年数がわかる」という有名な「72の法則」。
投資に関心を持つ方なら、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
この法則は、複利で資産を運用した場合に「どれくらいの期間で2倍になるか」をざっくり計算できる便利なルールです。
しかし、実は投資の世界にはこの72の法則以外にも、「お金の増え方」や「リスクとの付き合い方」を直感的に理解できる似たような計算ルールがいくつも存在します。
それらを知っておくことで、日々の投資判断や長期的な資産形成の目安を立てやすくなります。
この記事では、初心者でもすぐに活用できる「72の法則」と並ぶ有名な計算式を5つ厳選して紹介します。
「なるほど」と思えるシンプルな計算式ばかりなので、投資の基礎知識として覚えておくと一生役立ちます。
1. 72の法則とは?投資の基本計算をおさらい
72の法則の基本
72の法則とは、「72 ÷ 年利(%) = 資産が2倍になるまでの年数」という非常にシンプルな計算式です。
たとえば年利6%で運用するなら、72 ÷ 6 = 12年。
つまり、およそ12年で資産が2倍になることを意味します。
複利の効果をざっくり把握するにはこの方法が非常に便利で、投資初心者の多くがまず最初に覚える法則といえます。
なぜ「72」なのか?
72という数字は、自然対数を用いた複利計算を簡略化した結果に由来します。
厳密には「69.3」が理論値ですが、72は割りやすい数字(2・3・4・6・8・9で割り切れる)ため、計算しやすく投資家の間で広まりました。
実用シーン
例えば年利3%の定期預金なら「72 ÷ 3 = 24年」で2倍。
一方で年利7%のインデックス投資なら「72 ÷ 7 ≒ 10年」で2倍。
この比較だけでも、「利回り1%の差」がいかに大きいかが直感的に理解できます。
2. 70の法則:経済成長のスピードを読む
GDPやインフレ率にも使える
「70の法則」は72の法則と非常によく似ており、経済学の世界でよく使われます。
計算式は「70 ÷ 成長率(%) = 経済が2倍になる年数」。
たとえばGDP成長率が2%なら「70 ÷ 2 = 35年」で2倍。
実生活での応用例
インフレ率3%の国では、物価が約23年で2倍になります。
つまり「今日の100円が将来の200円の価値になる」わけです。
投資だけでなく物価上昇や購買力の低下を意識するうえでも役立ちます。
72との違い
72の法則は「投資リターン」に、70の法則は「経済全体の成長」に使うことが多いです。
金融リテラシーを高めたい人は、この2つをセットで覚えるのが定番です。
3. 115の法則:資産が3倍になるまでの期間
3倍を目指す人向けの法則
72の法則が「2倍」なら、「3倍」は?
そのときに使えるのが「115の法則」です。
計算式は「115 ÷ 年利(%) = 3倍になる年数」。
具体例で理解する
年利6%で運用すれば「115 ÷ 6 ≒ 19年」で3倍。
つまり長期的な積立投資をする人にとって、この指標は資産成長の目安になります。
長期投資のモチベーションに
3倍というのは、投資を始めてからの「中間目標」に最適です。
将来の学費・老後資金などを考える際、目標金額を3倍にするつもりで運用期間を逆算するのも効果的です。
4. 114の法則:4%ルールの裏にある考え方
4%ルールとは?
資産運用の世界でよく語られる「4%ルール」とは、
「年間支出を資産の4%以内にすれば、理論的に資産は減らない」という法則です。
114の法則で期間を計算
72の法則が「2倍」、115が「3倍」なら、「114の法則」は資産を4倍にする期間を求める式です。
「114 ÷ 年利(%) = 4倍になる年数」
たとえば年利7%なら「114 ÷ 7 ≒ 16年」で資産が4倍に。
複利効果の大きさを数字で実感できます。
FIRE(早期リタイア)にも応用可能
長期投資でリターンを再投資し続けることで、複利の魔法はより強力になります。
資産を倍増させるだけでなく、「働かなくても生きていける仕組みづくり」にもこの法則は活きてきます。
5. 100の法則:年齢とリスク配分の黄金比
投資リスクを年齢で調整
「100の法則」とは、投資配分を決めるときに使われる目安のひとつです。
計算式は「100 − 年齢 = 株式の割合(%)」。
たとえば30歳なら「100 − 30 = 70」で、ポートフォリオの70%を株式にという考え方です。
なぜこの比率が理想的?
若いほどリスクを取る時間があり、損失を回復できる期間も長いためです。
一方で、年齢を重ねるほど元本保全を優先し、債券や現金比率を高めていく方が安全です。
変形ルール:110や120の法則
近年は寿命の延びやインフレ環境を考慮し、
「110 − 年齢」「120 − 年齢」を採用する投資家も増えています。
時代や個人のリスク許容度に合わせて応用できる柔軟なルールです。
6. ルールを知ることは“数字で未来を読む力”
感覚ではなく数字で判断する
これらの法則は、どれも一見シンプルですが本質は深いです。
投資の世界では「なんとなく儲かりそう」ではなく、数字を使って未来を読む力が求められます。
法則は「正確さ」より「気づき」
もちろん、実際の相場は常に変動するため、これらの計算式はあくまで「目安」です。
大切なのは、数字を通じて複利・成長・リスクの関係を体感することにあります。
72の法則を入り口に世界が広がる
最初は72の法則ひとつでも構いません。
そこから70、115、100と広げていくことで、資産形成の見方がどんどんクリアになります。
まとめ:投資の計算式は“未来の地図”
投資の世界では、複雑な理論よりも「直感的に使えるルール」が力を発揮します。
72の法則を中心に、70・115・114・100といった計算式を知っておけば、長期投資の計画がぐっと立てやすくなります。
特に初心者にとっては、「どのくらいで増えるのか」「どのくらいのリスクを取ればよいのか」が数字で見えるだけで安心感が違います。
今日紹介した5つのルールをメモして、次にポートフォリオを見直すときに活かしてみてください。
投資は「勘」ではなく「数字で考える」ことから始まります。

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