残業代や手当で社会保険料が上がる？避けるための対策とは

「4月〜6月に残業が多かったら、社会保険料が上がるって本当？」

実は、4月〜6月の給与の平均額 が、その年の社会保険料を決める基準になります。

つまり、この時期に残業代や手当が増えると、その後の1年間の社会保険料負担が増える可能性がある のです。

では、なぜこうなるのか？そして、負担を抑える方法はあるのか？

本記事で詳しく解説します。

なぜ4月〜6月の給与が社会保険料に影響するのか？

社会保険料は、標準報酬月額 という金額を基準に計算されます。標準報酬月額は、毎年4月〜6月の給与の平均額をもとに決定され、9月から翌年8月までの1年間 適用されます。

例えば、4月〜6月の給与平均が29万円の場合、標準報酬月額は「28万円以上30万円未満」の等級に当てはまり、28万円 になります。

標準報酬月額を決める4月〜6月の給与には、以下のものが含まれます。

そのため、この期間に一時的に給与が増えると、標準報酬月額も上がり、社会保険料の負担が増加 します。

ある会社員のケースを見てみましょう。

この場合、4月〜6月の平均給与は32.3万円 となり、「32万円以上34万円未満」の等級が適用されます。

もしこの期間の残業がなければ平均は約28万円になり、適用される標準報酬月額の等級が下がるため、年間の社会保険料の負担が大きく変わります。

もし可能であれば、この期間の残業を控えることで、標準報酬月額の上昇を防ぐことができます。もちろん業務の都合もありますが、残業のタイミングを3月や7月にずらせると影響を抑えやすい です。

残業代を減らすことが難しい場合、代わりにボーナス（賞与）として支給する 方法もあります。賞与は別途「賞与支払届」に基づいて保険料が計算されるため、標準報酬月額には影響しません。

一部の企業では、通勤手当の支給方法や福利厚生制度を工夫することで、標準報酬月額への影響を軽減できる場合があります。

企業側と相談できる場合は、事前に確認するとよいでしょう。

企業型DC（確定拠出年金）を導入している会社では、給与の一部を年金積立に回すことで、標準報酬月額を抑えることができます。

たとえば、月額2万円を企業型DCに拠出すれば、給与の支給額を減らせるため、標準報酬月額が下がる可能性があります。

4月〜6月の給与の増減は、その後の1年間の保険料に直結します。意識して調整することで、無駄な負担を抑えることができます。