Nothing透明デザイン進化論:Phone(1)から最新イヤホンまで

暮らし記
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スマートフォンもイヤホンも「スペックは十分」。

そんな成熟市場でNothing Technologyが選んだ武器は、内部構造をあえて露わにする透明デザインでした。

本記事では2021年のEar(1)誕生から2025年の最新プロダクトまで、“見せるハードウェア”が歩んだ進化の軌跡と今後の展望を語ります。

 

Ear(1) ― 透明革命の幕開け

初の市販透明イヤホン

2021年7月に発売されたEar(1)はスケルトンステム&ケースでオーディオ市場に鮮烈デビューしました。

「基板もネジも見えるのに美しい」―この評価がブランドイメージを決定づけます。半透明部品はコストと歩留まりの壁が高く、Nothingは部品配置、配線、接着剤の色まですべてを再設計。

結果、量産イヤホンとしては例のない透明度を実現しました。

透明デザイン3つのルール

シンメトリー:基板やスピーカーを左右対称に配置。
配色の最小化:白・黒・赤のみをポイント使い。
質感の強調:光沢樹脂と艶消し樹脂を混在させ、光の当たり方で立体感を演出。

Ear(1)は耳に収まるサイズでこの3条件を満たし、「透明=安っぽい」という固定観念を覆しました。

Phone(1)&Glyph ― 光と透明の融合

背面ガラスの“魅せ方”

2022年7月登場のPhone(1)は、内部フレームを覆うガラスを曇りガラス風に加工し、部品の形状だけをシルエットとして浮かび上がらせました。

完全スケルトンではなく「奥ゆかしい半透明」を採用した理由は、毎日手に触れるスマホに必要な指紋耐性強度を確保するためです。

Glyphインターフェース

Phone(1)最大の差別化は背面LEDGlyph

50以上のパーツを樹脂に埋め込み、通知や充電状況を光で伝える仕組みです。LEDを覆う樹脂層の厚みを均一0.15mmに保つ加工が難所でしたが、量産技術を内製ラインに落とし込み製品化を成功させました。

「光の動き」が透明デザインの一部となった瞬間です。

 

イヤホン多様化 ― Ear(stick)からEar(2024)へ

Ear(stick):円筒ケースとオープン型の挑戦

2022年10月発表のEar(stick)は口紅のような円筒ケースをくるっと回して開閉する玩具感覚を提案。

エアリーな半透明樹脂でプレスリリースの写真映えを第一に設計されました。

イヤホン本体はオープン型で、透明ステムに赤と白の点で左右を示す意匠を継承しています。

 

Ear(2024)&Ear(a):コストと透明のせめぎ合い

2024年4月のリフレッシュモデルEar(2024)は、透明ボディを維持しつつANC性能を強化。

一方、廉価版Ear(a)は成形色を半透明イエローへ変更。射出成形回数を減らしてコストを抑えながらも、Nothingらしい「内部チラ見せ」を死守しています。

 

Phone(2)と2025年モデル ― 透明の成熟期

Phone(2):透明を“滑らか”に

2023年7月のPhone(2)では背面ガラス倍率を曲面2.5Dに微調整。

角のアールが大きくなり、手触りが滑らかになったことで“基板が手に触れる”ような臨場感が増しました。

内部レイアウトもGlyphに合わせて放射状に再配置され、透明×光の一体感がさらに高まっています。

 

CMF Phone 2 Pro:透明+モジュール

2025年4月発表予定のCMF Phone 2 Proは背面パネルを着脱式とし、マグネット式レンズアタッチメントを装着可能という噂。

透明パネル越しに見えるカメラ配線が“パーツ交換”というギーク体験を予告しています。

透明デザインがインタラクションの段階へ突入する象徴です。

 

透明デザインの価値と未来

 

「所有する喜び」を可視化

スマホが生活インフラ化した今、ユーザーが感じる満足度は性能より情緒価値に傾きつつあります。
透明デザインは内部構造という“機械の心臓”を見せることで、ガジェットを愛でる対象へと昇華しました。

量産技術のハードルは下がるか高コスト・低歩留まりゆえに他社が二の足を踏んできた透明製品。
しかしNothingが技術ノウハウを蓄積したことで、サプライヤー側の加工ラインも標準化が進行。

今後は透明デザインを採用する中小メーカーが増え、“内部見せ”が新たなトレンドになる可能性があります。

 

次なる一手:ARと透明の融合

Nothingは2025年以降、ARグラスやウェアラブルを示唆する求人を出しています。

透明筐体×光インターフェースの延長線として、“見る/見られる”体験そのものを拡張する製品が誕生するかもしれません。

Ear(1)が開いた小窓は、やがて現実世界とデジタルをつなぐ大きな扉になるでしょう。

 

創業からわずか数年で“透明=Nothing”を確立した同社。今後も「ガラス越しに語りかけるプロダクト」はファンの心をつかみ続けるはずです。

あなたのポケットに、次の透明ガジェットが届く日も近いかもしれません。

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