「今年のふるさと納税、あといくらまでOK?」
「年末ギリギリでも間に合う?」
そんな不安を一気に解消できるよう、最短手順と根拠、そして上限を超えたときの損まで、この記事ひとつで確認できます。
忙しい人向けに、結論→やり方→補足の順でサクッとどうぞ。
1. まず結論:最短で「あといくら」を知る3ステップ
- 現在までの寄付額を合計する(自治体からの控除証明やポータルの寄付履歴でOK)。
- 今年の上限をざっくり把握する(下の「速い順の3方法」からひとつ選ぶ)。
- 残り枠 = 上限 − 今年の寄付合計(不安なら1〜2万円の余裕を残す)。
迷ったら、シミュレーターで目安→概算式でダブルチェック→安全マージンを残す、の順が鉄板です。
2. なぜ上限が決まる?税控除の仕組みを30秒で
ふるさと納税の控除は、所得税と住民税から行われます。自己負担は基本2,000円。ただし住民税(所得割)からの控除には「所得割額の20%まで」という上限があるため、寄付しすぎると控除しきれない部分が出て実質負担が増える仕組みです。
概念的には、次のように考えると覚えやすいです。
- 住民税所得割額の20%が、大ざっぱな控除の器の上限
- 寄付額が増えるほど控除も増えるが、器(20%)を超えるとそこでストップ
3. 上限チェックの3つのやり方(速い順)
方法A:ポータルの「上限シミュレーター」を使う(最速)
必要なのは年収・家族構成・住宅ローンの有無など。最短1分で目安の上限が出ます。まずはこれで大枠を把握しましょう。
方法B:源泉徴収票で概算(根拠を持って判断したい人)
源泉徴収票の以下の2つを使います。
- 給与所得控除後の金額
- 所得控除の額の合計額
まず、課税所得の目安を出します。
課税所得(目安) = 「給与所得控除後の金額」 − 「所得控除の額の合計額」
つぎに、住民税所得割額のおおよそを
住民税所得割額(概算) ≒ 課税所得 × 10%
と置き、あなたの所得税率(限界税率)を下表から選びます。
| 課税所得の目安 | 所得税率(限界) |
|---|---|
| 〜195万円 | 5% |
| 195万円超〜330万円 | 10% |
| 330万円超〜695万円 | 20% |
| 695万円超〜900万円 | 23% |
| 900万円超〜1,800万円 | 33% |
| 1,800万円超〜4,000万円 | 40% |
| 4,000万円超 | 45% |
最後に、次の概算式で上限を求めます。
寄付の上限(概算) ≒ 2,000 + [ 住民税所得割額 × 20% ] ÷ [ 90% − 所得税率 ]
計算例(課税所得 400万円・所得税率 20% の人)
住民税所得割額 ≒ 400万円 × 10% = 40万円
上限 ≒ 2,000 + [40万円 × 20%] ÷ [90% − 20%]
= 2,000 + 8万円 ÷ 70%
= 2,000 + 114,285 … 約 116,000円
すでに寄付済が 80,000円なら、残り枠 ≒ 116,000 − 80,000 = 36,000円 という流れです。
方法C:住民税決定通知書で精密に(最も確実)
手元に今年の住民税決定通知書があれば、そこに記載の住民税所得割額をそのまま使えます。方法Bの式に入れれば、より精密な上限が出せます。
4. 年収別のざっくり上限目安表
以下は一般的な会社員・独身/共働き(配偶者控除なし)で、平均的な社会保険料水準を想定したざっくり目安です。住宅ローン控除・iDeCo・医療費控除などがあると上下します。
| 年収の目安 | 上限目安 | 安全マージンを見た実行額 |
|---|---|---|
| 400万円 | 4〜5万円 | 3.5〜4.5万円 |
| 500万円 | 6〜8万円 | 5〜7万円 |
| 600万円 | 8〜10万円 | 7〜9万円 |
| 700万円 | 10〜12万円 | 9〜11万円 |
| 800万円 | 12〜15万円 | 11〜13万円 |
| 900万円 | 15〜17万円 | 13〜15万円 |
| 1,000万円 | 17〜20万円 | 15〜18万円 |
注意:配偶者控除・扶養控除・住宅ローン控除・iDeCo・小規模企業共済・医療費控除・寄付金控除(他)の有無で大きく変動します。不安なら次章の安全マージンを。
5. 年末でも間に合うための期限まとめ
- 寄付の締め切り:その年の扱いにするには、12月31日23:59までに決済が完了していることが原則。
- ワンストップ特例の申請書:翌年1月10日必着が基本。余裕を持ってポストイン。寄付先が6自治体以上になる場合はワンストップ不可で確定申告が必要。
- 確定申告:医療費控除・住宅ローン控除・副業などで申告する人は、寄付金受領証明書を集めて申告。e-Taxなら書類管理が楽。
- 支払い方法:クレカ・各種ペイで即時決済できる自治体がほとんど。銀行振込は締め切りに注意(入金確認が年内にならないと今年扱いにならないことがある)。
6. よくある落とし穴(限度額が下がる典型)
- 住宅ローン控除の初年度:所得税で引き切れない分が住民税に回ると、住民税の“器”を圧迫し、ふるさと納税の控除余地が小さくなることがある。
- 医療費控除・生命保険料控除・iDeCo:所得控除や税額控除の増加で、上限が想定より下がることがある。
- 年末の残業・ボーナス増:課税所得が上振れし、逆に上限が上がるケースも。源泉徴収票が出たら最終調整が安全。
- 共働きの勘違い:寄付した本人の所得に対して控除。夫の所得で上限を見たのに、妻名義で寄付して控除できない…に注意。
- 住民税非課税世帯:そもそも控除する税額が小さい・ないため、実質負担が大きくなりやすい。
- ワンストップ申請の不備:申請書の締切・添付書類・住所変更届の未提出で控除が受けられない事故が毎年発生。
7. 上限オーバー時のリスクと損の計算イメージ
上限を超えた部分は、自己負担2,000円では収まらず、超過分がそのまま自己負担になっていきます。
損(超過負担) ≒ 実際の寄付額 − 「理論上の控除額(上限まで)」 − 2,000円
また、ワンストップ申請の不備や確定申告漏れがあると、本来控除されるはずの全額が自己負担化する最悪パターンも。年末は手続きの抜け漏れに要注意です。
8. 安全マージンの取り方:3パターン
- 保守型:シミュ結果から2万円引きで実行。住宅ローン控除や医療費控除が重い人向け。
- 標準型:シミュ結果から1万円引きで実行。源泉徴収票で課税所得が読める人。
- 攻め型:シミュ+概算式でダブルチェックし、5千円引きまで詰める。上級者向け。
迷ったら、一度に全額を寄付せず、数日に分けて埋めていくのが安心です。
9. 駆け込み前のチェックリスト
- 今年の寄付済合計はいくら?
- 上限の根拠(シミュ/概算式/決定通知書)は確認した?
- 安全マージンは取った?
- 寄付先の数は5自治体以内?(6以上なら確定申告へ)
- 支払い方法は年内に決済完了できる?
- ワンストップ申請書は1/10必着で送れる?同封書類はそろった?
- 住所が今年中に変わった人は寄付先への変更届を忘れていない?
10. まとめと次に読むべき関連記事
ふるさと納税は、住民税所得割額の20%が目安の器で、その器の中に寄付控除をきれいに収めるゲームです。今年の寄付合計と器のサイズ(上限)を素早く把握し、安全マージンを取って年末に埋め切れば、無駄なく最大化できます。
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