住民税は所得税と違い、仕組みが直感に反します。特に退職・転職のタイミングでは、前年の所得で計算されることや、支払い方法が「天引き→自分払い」に切り替わることで、急に高く感じやすいです。
この記事では「住民税はいつから上がるのか?」という疑問に答えつつ、退職・転職後に高く感じる理由を、初心者でも腑に落ちるように整理します。最後に、支払いがきついときの現実的な対処もまとめます。
住民税はいつから上がる?結論は「6月から」
住民税は前年の所得をもとに、6月から新しい額で始まる
住民税の基本はシンプルで、前年(1月〜12月)の所得をもとに、自治体が税額を決めます。
そして、その決まった住民税は多くの場合、6月から新しい額で支払いが始まります。
会社員なら6月の給与から天引き(特別徴収)が切り替わり、個人で払う場合は6月頃に納付書が届いて支払いがスタートします。
つまり「今の収入が減ったのに住民税が高い」と感じるのは、住民税が“今”ではなく“前年”を見ているからです。このズレが、退職・転職後のショックを生みます。
退職直後に「上がった」と感じるのは、見え方が変わるから
住民税そのものが急に上がったというより、「見え方」が変わることで高く感じるケースが多いです。
会社員のときは住民税が毎月の給与から天引きされるので、家計の感覚としては“勝手に引かれている固定費”になりがちです。
ところが退職すると、天引きが止まり、自治体から納付書が届いて自分で払うことになります。ここで初めて「金額を直視」するため、心理的に高く感じやすいのです。
税額が同じでも、毎月数万円を一括で払うような見え方になれば、体感は一気に重くなります。
転職で会社が変わると「天引きの空白」や「まとめ払い」が起きる
転職の場合は、退職と入社のタイミング次第で、住民税の支払いがややこしくなります。
たとえば、前の会社で天引きしていた住民税が途中で止まり、次の会社で天引きが再開するまでに“空白期間”が出ることがあります。
この空白期間の住民税は、自治体から納付書が届いて自分で払う形になり、結果として「急に納付書が来た」「まとめて払う感じになった」と錯覚します。
税額の仕組みよりも、支払いの導線が変わることが「急に高い」の正体になりやすいのです。
退職・転職後に住民税が高く感じる3つの理由
理由1:住民税は「前年の所得」で決まるから
住民税の最大の特徴は、前年の所得で決まることです。
退職後は収入がゼロに近くなったり、失業保険中心になったりしますが、住民税は前年にしっかり働いていた分の所得に対して課税されます。
たとえば、前年に昇給・残業増・賞与増があった場合、退職後の住民税が高くなるのは自然な流れです。
この仕組みを知らないと、「収入がないのに税金が来るのはおかしい」と感じますが、住民税はタイムラグがある税金だと理解すれば納得しやすくなります。
理由2:天引きがなくなり「自分で払う」から高く感じる
会社員のときは住民税が給与から天引きされ、実質的に“見えにくい支出”になっています。
しかし退職すると、自治体から納付書が届き、自分で支払う方式(普通徴収)になりやすいです。
ここで、毎月の給与から分割で引かれていた住民税が、納付書では「年税額」や「期別(分割)でもまとまった金額」として目に入ります。
同じ税額でも、見え方が変わるだけで体感の重さが変わります。退職後に住民税が急に高く感じる人の多くは、この心理的ギャップで驚きます。
理由3:退職月の給与・退職金・賞与などで「最後の年」が高くなる
退職した年は、退職月までの給与に加えて、賞与が出たり、退職金があったりして、所得が変動します。
この“退職の年の所得”が翌年の住民税に影響するため、退職した翌年に住民税が高くなるケースもあります。
また、転職して年収が上がった年は、翌年6月からの住民税が増えやすいです。
つまり、住民税は「今の生活」ではなく、「過去の所得の結果」が後から追いかけてくる税金です。退職・転職は所得が動くイベントなので、住民税も動きやすい、と覚えておくと理解が早いです。
住民税はいつ払う?退職・転職後の支払いパターン
退職した年:会社の天引きが続く場合と、途中で止まる場合がある
退職した年の住民税は、退職時期によって扱いが変わります。
会社員の住民税は通常、前年所得に基づく税額を6月から翌年5月まで、給与天引きで払っています。
そのため、退職がこの期間の途中だと、残り分をどう払うかが問題になります。
会社の最終給与や退職金から、残りの住民税をまとめて天引きする場合もあれば、自治体から納付書が届いて自分で払う場合もあります。
「最後の給与が少なく感じた」のは、住民税がまとめて引かれた可能性もあるので、最終給与明細を一度確認してみると安心です。
転職した年:自治体の納付書でつなぐ期間が出ることがある
転職の場合、住民税は新しい会社が特別徴収を引き継ぐ形になりますが、手続きのタイミング次第で一時的に普通徴収(自分払い)になることがあります。
このとき、自治体から納付書が届き、そこで支払うと「急に住民税が発生した」ように感じます。
ただ、これは“増税”というより“支払いルートの切り替え”です。
次の会社で天引きが始まるタイミングや、納付書が届く期別(何期分か)を確認すると、全体像が整理できます。
翌年以降:6月に金額が切り替わるのが基本
住民税は毎年、前年所得が確定した後に自治体が計算し、6月から新しい額でスタートします。
つまり、退職・転職をした人は、次の6月に金額が変わる可能性が高いです。
「退職したのに、来年6月から住民税が高い/低い」という現象は、このタイムラグが原因です。
退職後の生活設計では、失業保険や次の収入だけでなく、翌年6月からの住民税も見込んでおくと、資金繰りがぐっと安定します。
きついときの対処:払い方と資金繰りのコツ
納付がきついときは「分割」や「猶予」を相談する
退職後は収入が一時的に減るため、住民税の納付が重く感じるのは自然です。
もし支払いが厳しい場合は、放置せずに自治体へ相談するのが基本です。
住民税は延滞金などのリスクもあるため、「払えないから後で」より、「早めに相談して分割などの選択肢を確認する」ほうが安全です。
相談のハードルは高く感じますが、自治体側も退職・失業などの事情は一定数対応しています。気まずさより、家計の防衛を優先しましょう。
退職前にやっておくとラク:最後の給与明細と住民税の残りを確認
退職を決めた段階でできる現実的な対策が、住民税の見込みを把握することです。
具体的には、6月〜翌年5月の天引き額がいくらで、今どこまで払っていて、残りがいくらかを確認します。
最後の給与でまとめて天引きされる可能性があるなら、手取りが想定より減ることもあります。
「退職後に急に高い」と感じる人ほど、実はこの事前確認が抜けています。たった5分でいいので、退職前に一度、給与明細の住民税欄を見ておくと安心です。
Whyの連鎖で整理:高い理由を分解すると不安が消える
住民税が高く感じるときは、理由を順番に分解すると落ち着きます。
・なぜ高い? → 納付書の金額が大きいから
・なぜ大きい? → 前年の所得で計算されているから
・なぜ前年が高い? → 残業・賞与・退職前給与が多かったから
・なぜ急に感じる? → 天引きがなくなり自分払いになったから
このように“Whyの連鎖”で整理すると、「増税された」ではなく「仕組み上こう見える」だけだと理解できます。理解できると、対策(資金繰りや相談)も打ちやすくなります。
住民税は、基本的に前年の所得をもとに計算され、6月から新しい金額で支払いが始まります。
退職・転職後に急に高く感じるのは、住民税が“今の収入”ではなく“前年の所得”を見ていること、そして天引きから自分払いに切り替わって金額を直視することが主な理由です。
転職では天引きの空白が生まれ、納付書での支払いが挟まることで「突然来た」と感じることもあります。支払いがきついときは放置せず自治体へ相談し、分割などの選択肢を確認しましょう。

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