学資・生命保険は親が払って名義は子ども——年末調整の控除は誰?実務で迷わない判断軸

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年末調整の時期になると、「学資保険生命保険名義は子どもだけど、保険料は親が払っている。この場合の保険料控除は誰が受けられるの?」という相談が増えます。

名義(契約者・被保険者・受取人)と、実際にお金を出した支払者が食い違うと判断が難しく、誤ると控除漏れ二重計上につながります。

この記事では、まず最重要の支払者原則証明書の区分という二本柱を整理し、学資保険ならではの扱い、ケース別の具体判断、年途中の切替(按分)までをやさしく解説します。

読み終えれば、あなたの家庭で誰がどの枠で申告すべきかがクリアになります。

判断の土台|支払者原則と「証明書の区分」

まずは支払者原則:「誰のお金が出たか」で決まる

保険料控除は、原則としてその年に保険料を実際に負担した人が受けられます。名義(契約者・被保険者・受取人)よりも先に、資金の出どころを確認します。
親の口座や親のクレジットカードから落ちているなら親が控除候補。子の口座・子の給与天引き・子の本会員カードなら子が控除候補です。

最終判断材料は「保険料控除証明書」

控除の枠は保険料控除証明書区分に従います(一般生命/介護医療/個人年金、さらに新制度・旧制度)。商品名やイメージで決めず、証明書の表記が絶対と覚えておけば迷いません。

学資保険の“枠”は?生命保険は?

学資保険は多くが「一般生命」扱い

学資保険は貯蓄型でも、年金形式でなければ通常は一般生命の枠に入ります。証明書に「一般生命」と記載があれば、その枠で申告します。まれに年金形式の商品は個人年金の可能性もありますが、やはり証明書優先です。

終身・定期などの生命保険は「一般生命」へ

死亡保障中心の終身保険・定期保険は基本的に一般生命です。医療特約が付いていても、控除枠は証明書の区分に従ってください。

ケース別でスッキリ判断

ケースA:名義は子/支払は親(口座・カード)

契約者や被保険者がでも、保険料を親の口座・親カードから払っているなら、原則は親が控除します。年末調整では、親の申告書に「一般生命(学資)」「年間払込額」を転記します。

ケースB:名義は子/支払は子(給与天引き・子口座・子カード)

子の給与天引き子名義口座子の本会員カードから支払いなら子が控除します。証跡は給与明細・通帳・カード明細で十分。証明書の区分と金額を転記すればOKです。

ケースC:名義は子/親口座から引落だが原資は子の仕送り

子→親への仕送りを原資に、親口座から学資保険が引落されるケース。
・仕送り入金(子→親)
・その直後の保険料引落(親口座)
この時系列の整合が示せれば、実質的に子が負担していると説明できます。年末調整で説明しきれない場合は、根拠資料を添えて確定申告で対応すると安全です。

名義の整理術|「名義列」を一列に書き出す

契約者/被保険者/受取人/支払者を可視化

まずメモに契約者・被保険者・受取人・支払者を横一列に並べ、誰がどこにいるかを整理します。
例:
・契約者:子/被保険者:子/受取人:親/支払者:親 → 親控除が自然
・契約者:子/被保険者:子/受取人:親/支払者:子 → 子控除が自然
この「名義列」を作るだけで、誰が申告すべきかが一目で分かります。

年途中で支払方法を変えたら?(按分)

親→子へ切替えた年は“払った人ごと”に計上

年の途中で親口座→子の給与天引きに切り替えた場合は、その年に実際に払った金額を親・子それぞれが計上します(按分)。
手順は、(1)月別で支払者をメモ、(2)支払者ごとの合計を算出、(3)証明書の年間払込額と一致確認。ここまで整えると、提出後の問い合わせにも強くなります。

提出フロー|年末調整と確定申告の使い分け

年末調整での実務ポイント

提出前チェックは次の3点だけでOKです。
・証明書の区分(一般生命)適用制度(新・旧)を確認
年間払込額を正しく転記(複数契約は合算)
支払者(親か子か)を証跡で説明できる状態に
PDF名を「年_氏名_一般生命.pdf」のように統一し、親子で二重提出にならないようにしましょう。

確定申告に回すと安心な場面

仕送り原資年途中の按分など説明が多いケースは、根拠資料(通帳・明細の時系列)を添えて確定申告で申告するほうが確実です。年末調整の締切に間に合わない証明書も、確定申告で救済できます。

よくあるNGと回避策

NG① 同じ証明書を親子で二重計上

二重計上は差し戻しの筆頭原因です。事前に「誰がどの証明書を出すか」を家族で決め、クラウドに置いたPDFへ使用者名を付けて管理しましょう。

NG② 区分を誤る(一般生命↔個人年金)

学資保険を個人年金に入れてしまうミスに注意。証明書の区分に従うのが唯一の正解です。更新・転換で制度(新旧)が変わることもあるので、最新年分の証明書を使用しましょう。

NG③ 支払者原則を無視して「名義」で判断

名義だけでは結論は出ません。必ず誰の資金が出たかを証跡で確認。通帳・カード・給与明細を時系列で並べると、説明の強度が一気に上がります。

まとめ

学資保険・生命保険で「名義は子ども、支払は親」のとき、年末調整の控除は支払者原則が最優先です。親口座・親カードなら親が、子口座・子の給与天引き・子の本会員カードなら子が控除候補。
枠は保険料控除証明書の区分に従い、学資保険は多くが一般生命です。年途中の切替は按分し、仕送り原資のように説明が複雑な場合は確定申告で根拠資料を添えて正確に処理しましょう。
今年は「証明書×支払者×時系列証跡」の三点セットで、控除漏れゼロ・二重計上ゼロを実現してください。

※本記事は一般的な解説です。実務の取り扱いは勤務先の指示・各保険会社の証明書表記・最新の税法をご確認ください。

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