「なぜか皆がそうしている」「人によって言うことが違う」——それが暗黙のルールです。
属人化や手戻りの温床になり、オンボーディング速度や品質の再現性を下げます。
本記事ではNotebookLMを活用し、暗黙ルールを発見→言語化→合意→運用まで進める具体手順を、5つのステップで解説します。
素材の集め方、命名・タグ、同義語辞書の作り方、ノート設計、質問テンプレ、承認ワークフロー、更新責任者の定義までを一気通貫で整理。
読み終えれば、今日から「聞かないと分からない」状態を脱し、引用付きの社内標準として共有できるようになります。
Step1：暗黙ルールの発見と整理
兆候をつかむ：矛盾・例外・口頭指示の痕跡
暗黙ルールは、①同じ質問が繰り返される、②文書と運用が食い違う、③承認者が人によって違う、などの痕跡で見つかります。Slackやメールの「質問ログ」、議事録の決定事項と実務の差分、申請書の差し戻し理由を洗い出し、箇条書きでメモ。語尾の「たぶん」「いつもどおり」も要注意ワードです。まずは“気配”を広く拾い、後工程で優先度を付けます。
ミニインタビュー：現場の言い回しをそのまま採取
当事者3〜5人に5分のショートインタビューを実施し、「普段どうしているか」を実況してもらいます。重要なのは言い回し（俗称・略称・禁句）をそのまま採取すること。これが後の同義語辞書の素材になります。「正式にはXだが、現場ではYと言う」などの揺れを早期に把握し、後で統一しましょう。
優先順位付け：頻度×影響×是正容易性
収集した候補に、①頻度（質問回数）、②影響（手戻り・リスク）、③是正容易性（明文化のしやすさ）の3指標でスコアを付けます。上位5～10件から着手すると、成果が早く見え、巻き込みやすくなります。以降のステップは、この上位群を対象に進めます。
Step2：素材整備とメタ情報設計
一次情報を集める：根拠と例外の原本
該当する手順書、規程、過去の承認ログ、FAQ、議事録を1フォルダに集約。重複・旧版は/archiveへ退避し、現行は/mainに統一します。各文書の冒頭へ要約ブロック（目的／対象／更新日／責任者）を追記し、例外運用がある場合は「例外条件／承認者／期限」を明示。こうして根拠の参照点を整えます。
命名・タグ・同義語辞書：揺れを吸収する
ファイル名はYYYYMMDD_題名_v番号_担当に統一。タグは部署｜プロセス｜ステータス（例：総務｜入社手続き｜承認済み）の三層固定にします。インタビューで集めた俗称・略称は同義語辞書に登録し、正式名へマッピング。NotebookLMの検索は語が命、揺れを先に潰すと後の質問が安定します。
テンプレ用意：表紙ノートと判断基準テンプレ
スライドやPDFには「表紙ノート」を作り、要約ブロック＋「判断基準」「例外の扱い」「連絡先」を明記。判断に迷う要素は、チェックボックス付きのテンプレ（例：「条件Aを満たす／満たさない」「承認者X/Y」）をDocsで用意し、関連文書にリンクします。これが後の可視化の骨になります。
Step3：NotebookLMへ取り込み・ノート設計
ノート構造：ルール別／プロセス別の二層
ノートは「ルール別（例：入社・購買・広報）」「プロセス別（申請→承認→保管）」の二層で構成し、各セクションの先頭にリンク集（原本フォルダ／辞書／テンプレ／KPIダッシュボード）を配置。質問導線をまとめることで、迷子を防ぎます。まずは上位5〜10件の暗黙ルールから着手しましょう。
ソース追加と同期：未同期ゼロを週間ルールに
整えたDocs/PDF/Slides/字幕をAdd sourcesで追加し、直後にクリックして同期。週1回の「未同期ゼロ化」を定例化し、最終同期時刻をノート先頭に記録します。巨大PDFは章分割、表は説明キャプションを追記。これで引用精度が安定します。
権限設計：RBACと機密区分でねじれ防止
保存先を「公開／社内／機密」で分け、個人ではなくロール（RBAC）に権限付与。機密はリンク共有禁止＋閲覧期限。ノート共有はDriveのフォルダ権限と一致させ、台帳で例外付与を管理します。リンクが開けない問題の多くは、ここで解消します。
Step4：質問テンプレと抽出設計
三点指定テンプレ：結論→根拠→例外
質問は「目的・条件・出力形式」を明示し、「結論→根拠の引用→例外」の順で回答させます。例：「広報レビューの要否を判断。引用リンクを2つ、例外条件があれば併記。200字」。こうすると、判断と根拠が一度で揃い、運用に即移せます。
よくある曖昧さの解消：境界条件を先に聞く
暗黙ルールの多くは「ここまではOK／NG」の境界の不在が原因。質問に「金額閾値」「対象範囲」「担当ロール」を入れて抽出させ、判断基準をドキュメント側に追記→再同期します。以後、同様の曖昧さは起きにくくなります。
フロー化・可視化：手順化と責任の明記
抽出したルールは「1→2→3」の手順に落とし、誰が・いつまでに・どこで、を明記。必要に応じてフローチャートを添付し、ノート内リンクでまとめます。判断に迷うポイントはQ&A化して、再利用性を高めましょう。
Step5：合意・公開・改善のループ
承認フロー：最小関係者で素早く合意
草案→関係者レビュー→承認→公開の流れをテンプレ化し、承認者・期限・公開先を固定。Slackで「更新サマリ＋引用リンク」を通知し、周知の手間を減らします。合意形成を軽量化するのが継続のコツです。
公開・教育：周知テンプレと定着施策
「週次KPIカード」とセットで、更新・廃止・例外追加を周知。新人向けには「暗黙ルールFAQ」を用意し、NotebookLMのノートから自己解決できる構造に。チャットでの質問導線もノートへ寄せます。
KPIとレビュー：問い合わせの“減少”を測る
指標は「DM質問数」「差し戻し率」「検索平均時間」。移動平均でトレンドを見て、閾値超えで是正タスクを起票。月次レビューで辞書・テンプレ・権限の是正を回すと、暗黙ルールは再発しにくい標準へと変わります。
まとめ（300〜400字）
NotebookLMを軸にした可視化は、①痕跡から候補を拾い、②一次情報を整え、③ノート設計と権限で基盤を固め、④質問テンプレで結論→根拠→例外を引き出し、⑤合意とKPIで運用に落とす——の5ステップで完了します。
ポイントは、語の揺れを同義語辞書で吸収し、要約ブロックとクリックして同期で引用の質を上げること。
今日から上位5件だけでも回し始めれば、「聞かないと分からない」領域は着実に縮み、属人化のリスクは目に見えて下がります。
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