社内勉強会のたびに、スライド作成と配布用の資料づくりでぐったりしていませんか。スライドはスライドで構成を考え、別途テキスト中心の資料も作る…となると、内容は同じなのに作業は二重三重になってしまいます。
準備に疲れてしまい、「勉強会を続けるモチベーションが保てない」という悩みもよく聞きます。
そんなときに頼りになるのが、GoogleのAIノートツールNotebookLMです。勉強会用のノートを1つ作り、そこに資料やメモをまとめておくだけで、「スライド構成」「スライド本文のたたき台」「配布資料用の文章」を一気に生み出してくれます。うまく設計すれば、1つのノートからスライドと配布資料を同時作成することも十分可能です。
この記事では、NotebookLMを使って社内勉強会のスライドと配布資料を効率よく作るための具体的な手順を、「準備 → 構成作成 → 本文作成 → 振り返り」の流れでやさしく解説します。すでに「NotebookLMでスライド作成」や「NotebookLMで議事録」を試したことがある方はもちろん、これから社内勉強会を始めたい方にも使える内容です。
読み終わるころには、「勉強会の準備は、まずNotebookLMでノートを作るところから始めよう」と自然に思えるはずです。スライド作りに追われるのではなく、「何を伝えるか」に時間をかけたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
NotebookLMで社内勉強会資料を作るメリット
スライド作成の時間を半減できる理由
社内勉強会の準備で一番時間がかかるのは、ゼロからスライド作成をする工程です。資料を読み込んで要点を抜き出し、流れを考え、1枚ずつスライドを作っていく…。この作業を毎回やっていると、勉強会を増やしたくても気力が続きません。
NotebookLMを使うと、この「要点整理」と「構成づくり」の大部分をAIに任せることができます。勉強会で使いたい資料や自分のメモをノートにまとめておき、「初心者向けに10枚のスライド構成を作って」「各スライドのタイトルと箇条書き案を出して」とプロンプトを投げれば、骨組みが一気に出てきます。
人間はその構成を見ながら、不要なスライドを削ったり、順番を入れ替えたりするだけでよくなります。つまり、「ゼロから考える時間」がほぼ消えるイメージです。結果として、スライド作成にかかる時間が体感で半分程度に減るという声も多く、勉強会の開催頻度を上げたいチームほど効果を実感しやすくなります。
NotebookLMと従来ワークフローの違い
従来のワークフローでは、「資料を読む→自分で要約→スライド構成を考える→スライド作成→配布資料を別途作る」と、工程がバラバラになりがちでした。しかも、それぞれの段階で同じ情報を何度も読み返すため、時間も集中力も大量に消費します。
一方、NotebookLMを中心に据えたワークフローでは、「資料をノートに集約→要点整理と構成をAIに任せる→生成された骨組みを人間が編集→スライドと配布資料を同じノートから派生させる」という流れになります。同じ情報を何度も読み直すのではなく、1つのノートに集めた情報を何度も“変換する”イメージです。
これにより、「情報の読み込み」は1回で済み、その後はNotebookLMに対して「スライド用」「配布資料用」「復習用」など、用途別の出力を依頼していくだけで済みます。同じ素材から複数のアウトプットを作るという、勉強会運営にとって理想的なスタイルを実現しやすくなるのです。
社内共有・ナレッジ化が一気に進む
NotebookLMで勉強会を運営するメリットは、準備時間が短くなるだけではありません。勉強会のノートに資料・スライド構成・配布資料・Q&A・振り返りをまとめておくことで、それ自体が社内ナレッジの塊になっていきます。
後から新しく入ってきたメンバーがノートを開けば、「どんな背景でこの勉強会が開かれたのか」「どんな資料を使い、どんな質問が出たのか」がひと目で分かります。同じテーマで勉強会を再開催するときも、このノートを元にスライド作成や資料作成を再利用すれば、ほとんど追加作業なしで準備が完了します。
つまり、NotebookLMで勉強会資料を作ることは、「一回きりのイベント」で終わらせず、「会社の財産として残る学び」に変えることでもあります。そうした意味でも、社内勉強会とNotebookLMの相性は非常に良いと言えます。
勉強会用ノートの事前準備と設計
テーマ設定とゴールの書き出し方
まず最初のステップは、「この勉強会は何のためにやるのか」をNotebookLMに伝えることです。新規ノートを作成したら、冒頭にテーマとゴールを書き出しておきましょう。例えば、「テーマ:NotebookLMとスライド作成の基本」「ゴール:参加者が自分の案件でNotebookLMを使ってスライド構成を作れるようになる」といった感じです。
この一文があるだけで、NotebookLMは「どこまで詳しく説明すべきか」「何を最終アウトプットとすべきか」を理解しやすくなります。また、自分自身も勉強会の準備中に迷いそうになったとき、「そもそものゴールは何だっけ?」と立ち返る指針になります。
さらに余裕があれば、「この勉強会の範囲外にすること」も書いておくとよいでしょう。例えば、「API連携などの高度な使い方は今回は扱わない」「NotebookLM以外のツール比較は次回以降に回す」といった線引きです。これにより、スライド作成時に話題が広がりすぎるのを防ぎ、勉強会をコンパクトにまとめやすくなります。
参加者像とレベル感をNotebookLMに伝える
勉強会の資料づくりで重要なのが、「誰に向けて話すのか」という視点です。NotebookLMを使うときも、ノートのどこかに参加者像とレベル感を書いておくと、プロンプトに対する返答の質がぐっと上がります。
例えば、「参加者:営業担当10名。AIツールはChatGPTを少し触ったことがある程度。NotebookLMは初耳。」と書いておけば、「専門用語をかみ砕いて説明して」「既存の仕事にどう活かせるかを重視して」といった指示を出しやすくなります。NotebookLMも、「このノートの対象はAIが得意なエンジニアではない」と理解して構成を提案してくれます。
逆に、参加者が技術寄りであれば、「既にスライド作成はこなれているが、NotebookLMとの連携は初めて」といった情報を入れておきましょう。同じNotebookLMとスライド作成がテーマでも、参加者によって資料の深さや事例の選び方は大きく変わります。この前提をNotebookLMと共有しておくことが、勉強会の成功率を高める近道です。
資料・過去議事録・メモを一つのノートに集約
ノートの骨組みが決まったら、次は素材集めです。勉強会で使いたい資料を、可能な限り1つのノートに集約しましょう。具体的には、公式ドキュメントの抜粋、社内で使っているNotebookLMマニュアル、過去の勉強会の議事録、あなた自身のメモや失敗談などです。
PDFやスライド資料はそのままアップロードできますし、テキストはノート本文として貼り付ければOKです。ポイントは、「とりあえず関係しそうなものを全部入れておく」ことです。そのうえで、「このノートの内容だけを使って勉強会資料を作る」というスタンスでNotebookLMに指示を出していきます。
素材が一か所に集まっていれば、「あの資料どこだっけ?」と探す時間が減り、構成やドラフト作成に集中できます。同時に、後からノートを開いた人も、「この勉強会に関係する情報はここを見れば一通り分かる」という状態になり、ナレッジの再利用効率が高まります。
NotebookLMでスライド構成を自動生成する手順
ベースとなるアウトラインプロンプト
素材が揃ったら、いよいよNotebookLMにスライド構成を考えてもらいます。最初に使いやすいのは、「型」を指定したアウトラインプロンプトです。例えば次のように依頼してみましょう。
「このノート内の情報をもとに、『NotebookLMとスライド作成の基本』という社内勉強会のスライド構成を作ってください。導入・基本機能・実践例・注意点・まとめの5章構成で、全体を10〜12枚程度にし、各スライドのタイトルと箇条書きの要点を3〜5個ずつ出してください。」
このように事前に大枠の章立てと枚数を指定しておくと、NotebookLMはそれに合わせたアウトラインを提案してくれます。気に入らないスライドがあれば、「この部分はいらないので削ってください」「ここは2枚に分けてください」といった形で、何度でも微調整を依頼できます。
最初のうちは、「完璧な構成を一回で出してもらおう」と考えず、「叩き台をどんどん出してもらい、自分で選ぶ」くらいの感覚で使うのがおすすめです。
時間別・対象別に構成を調整するコツ
社内勉強会の持ち時間や対象によって、スライドに求められる密度は大きく変わります。NotebookLMに構成を考えてもらう際は、時間と対象をプロンプトに含めることを意識しましょう。
例えば、「30分の勉強会で、NotebookLMを全く触ったことがない人向けです。スライドは8〜10枚に収まるよう、初心者が迷子にならない構成にしてください」と伝えると、NotebookLMは自然と「詰め込みすぎない構成」を提案してくれます。一方、「60分で実務担当者向けに深掘りしたい」と伝えれば、事例やデモの比重を高めた構成を出してくれます。
こうした条件をあらかじめ組み込んでおくことで、「時間が足りなくて後半を飛ばすことになった」といったトラブルを防ぎやすくなります。NotebookLMは指示した条件に素直に従ってくれるので、遠慮せずに具体的な条件を盛り込んでいきましょう。
スライド作成とハンドアウト両対応の構成にする
スライドと配布資料を同時に作る前提で構成を考えるときは、1スライド=1メッセージを意識したアウトラインにするのがコツです。NotebookLMへのプロンプトに、「各スライドのメインメッセージを1つだけに絞り、その補足情報を箇条書きにしてください」と追加してみてください。
こうすることで、スライドは「大きな文字と一言メッセージ」、配布資料は「そのスライドの補足説明」という役割分担がしやすくなります。NotebookLMに対して、「あとで配布資料用の詳しい解説文も作りたいので、補足情報はなるべく具体的に書いてください」と伝えておくのもおすすめです。
構成の段階から「スライドとハンドアウトの両方に流用する」ことを意識すると、後の作業がぐっと楽になります。NotebookLMを使えば、この設計もプロンプト1つで反映させられるので、ぜひ最初から組み込んでおきましょう。
スライド本文と配布資料を同時に仕上げる
1枚ずつのスライド本文ドラフトの作り方
アウトラインが決まったら、次は各スライドの本文ドラフトです。ここでは、NotebookLMに対して「スライドに載せるテキストは最小限に」「話す内容は別途メモにする」という方針を伝えながらプロンプトを使っていきます。
例えば、「スライド1〜3について、それぞれ『タイトル』『スライドに載せる短い箇条書き』『話すときに補足するメモ』をセットで作ってください」と依頼します。NotebookLMは1スライドずつ、「画面に表示するテキスト」と「発表者用メモ」を分けて出してくれます。
この方式を続けていけば、スライドに貼り付ける文字はそのまま使えますし、補足メモは発表者ノートとして活用できます。自分の経験談を加えたい部分には、「ここに自分の失敗談を足したいので、メモ欄に話の流れだけ書いてください」といった指示を足していくと、より“あなたらしい”勉強会資料になっていきます。
ハンドアウト用の文章化プロンプト
スライドの骨組みと発表者メモができたら、次は配布資料(ハンドアウト)です。ここでもゼロから書き直すのではなく、NotebookLMに「スライド構成から文章化してもらう」スタイルを取ると効率的です。
たとえば、「この勉強会のスライド構成と発表者メモをもとに、参加者向けの配布資料を作ってください。各スライドにつき、見出し+300〜400字程度の解説文にまとめてください。後から読み返しても学びが復習できるようにしてください。」とプロンプトを投げます。
NotebookLMは、スライドの順番に沿って解説文を生成してくれるので、そのままWordやGoogleドキュメントにコピーすれば配布資料が完成します。気になる部分だけ自分の言葉に書き換えたり、自社の具体的な事例を追記したりすれば、オリジナル性も十分確保できます。
自分の言葉を足して「現場感」を出す
AIが作った配布資料は、どうしても「きれいにまとまりすぎている」印象になりがちです。そこで最後に重要になるのが、あなた自身の現場感のある一言を足していくことです。例えば、「実際にはここが一番つまずきやすい」「うちの部署ではこのステップだけ先にやっている」といった具体的なコメントです。
NotebookLMに「このハンドアウトの各セクションに、現場での注意点や小さなコツを書き足すスペースを作ってください」と頼めば、そのスペース分も考慮した構成案を出してくれます。そこに手書きでメモを書き込んで配るのも良いですし、あらかじめあなたの経験談をテキストとして入れておくのも良いでしょう。
こうした「生々しい一言」が入るだけで、勉強会の内容が一気に自分ごととして伝わるようになります。NotebookLMに作業の8割を任せつつ、最後の2割で自分の色をしっかり乗せる。このバランスが、社内勉強会の満足度を高めるポイントです。
開催後の振り返りと次回勉強会への活用
Q&Aとフィードバックをノートに追記する
勉強会が終わったら、その場で出た質問や感想もNotebookLMのノートに追記しておきましょう。チャットでやり取りした内容や、口頭で出た質問を簡単にメモしておくだけでも構いません。「質問一覧」「参加者のひと言感想」など、見出しを分けて整理しておくとなお良いです。
こうしてQ&Aをノートに蓄積しておけば、次回同じテーマで勉強会をする際に、「前回よく聞かれたのはこのポイントだから、今回は最初から強調して説明しよう」といった工夫がしやすくなります。また、新しく参加する人にとっても、「過去にどんな疑問が出たのか」が事前に分かるため、勉強会の理解度が上がります。
NotebookLMに「このQ&Aを読みやすく整理して」「よくある質問トップ5を抜き出して」と依頼すれば、そのまま次回のスライドや配布資料に転用できる形に整えてくれます。
NotebookLMに振り返りレポートを作らせる
勉強会を続けていくうえで大切なのが、「やりっぱなしにしない」ことです。NotebookLMのノートに、開催後のメモとして「良かった点」「改善したい点」「次回のアイデア」などを書き出しておき、そこから振り返りレポートを作ってもらいましょう。
具体的には、「このノート内のQ&Aとメモをもとに、今回の勉強会の振り返りレポートを800字程度で作成してください。良かった点・課題・次回に向けた提案の3つの見出しに分けてください。」というプロンプトが使えます。このレポートを上司やチームに共有しておけば、「勉強会がどのように改善されているか」を説明しやすくなります。
また、次回の勉強会準備をするときにこのレポートを読み返せば、「何から改善すべきか」がすぐに思い出せます。NotebookLMを単なるスライド作成ツールではなく、「学びのサイクルを回す相棒」として使うイメージです。
スライド再利用とシリーズ化のアイデア
1回の勉強会で作ったスライドや配布資料は、そのままにしておくのはもったいないです。同じノート内でNotebookLMに「この勉強会を3回シリーズに再構成するとしたら、どのように分割すればよいか」「入門編・応用編・実践編の3部構成でスライド構成を再提案して」といったプロンプトを投げてみましょう。
NotebookLMは既存のアウトラインや資料を読み直し、「この部分は入門編向き」「ここは応用編で詳しく扱うべき」といった分割案を提示してくれます。それをもとにスライドを再利用すれば、少ない準備でシリーズ勉強会を展開することができます。
こうして1つのノートと資料から、単発の勉強会だけでなく、何度も使い回せるコンテンツ群を作っていくことができれば、「勉強会=大変な準備が必要」というイメージも大きく変わっていきます。
まとめ
社内勉強会の準備は、本来「何を伝えるか」「どんな行動につなげたいか」を考える時間にこそ価値があります。しかし現実には、多くの時間がスライド作成や配布資料づくりといった「形を整える作業」に取られてしまいがちです。そこでNotebookLMをうまく活用すると、勉強会用ノートに資料とメモを集約し、プロンプト次第でスライド構成・本文ドラフト・ハンドアウトを一気に生み出すことができます。
ポイントは、ノートの冒頭でテーマとゴール、参加者像を明確にし、1回の勉強会で使う情報をすべてそのノートに集めること。そして、構成づくりや文章化といった「下ごしらえ」はNotebookLMに任せ、自分は現場の経験談や具体的な注意点を足すことで“血の通った資料”に仕上げていくことです。開催後も、Q&Aや振り返りをノートに追記し、次回以降の勉強会やシリーズ化に活かせば、1つのノートがそのまま社内ナレッジの母艦になっていきます。
「勉強会をやりたいけれど準備が大変」と悩んでいるなら、まずは小さなテーマで1つ、NotebookLMの勉強会用ノートを作ってみてください。そこから始めることで、あなたの会社の学びのサイクルは、きっと今よりも軽やかに、そして継続しやすい形へと変わっていきます。

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