転職したあと、「保険料控除の証明書って、前の会社と今の会社どっちに出せばいいの?」「年末調整に間に合わなかったけど、確定申告でどうすればいい?」とモヤモヤしていませんか。
生命保険や個人年金、地震保険などの控除は金額もそこそこ大きいので、出し方を間違えると本来受けられるはずの節税を取り逃がしてしまう可能性もあります。
とくに「転職 保険料控除 出し方」と検索している方は、前職・現職が絡んでややこしく感じているはずです。
ですが、基本の考え方さえ押さえてしまえば、ルールは意外とシンプル。転職で年末調整ができなかったとしても、確定申告でしっかり取り戻すことができます。
この記事では、転職した年の保険料控除の出し方・提出先を、パターン別に整理しながらわかりやすく解説します。
最後まで読めば、「自分はどの会社に何を出すべきか」「年末調整に間に合わなかったときはどう動けばいいか」がスッキリ分かり、税金の不安をかなり減らせるはずです。
転職と保険料控除の基本ルールをまず整理しよう
保険料控除とは?対象になる主な保険の種類
保険料控除とは、1年間に支払った一定の保険料について、所得から差し引いてもらえる仕組みのことです。
ざっくり言えば、「保険をちゃんとかけている人には、そのぶん税金を少し安くしますよ」という制度ですね。
代表的なものは、次の3つです。
- 生命保険料控除(死亡保険・医療保険・個人年金など)
- 地震保険料控除
- 社会保険料控除(国民年金・国民健康保険など)
生命保険・地震保険については、秋ごろに保険会社から「控除証明書」が郵送されてきます。
この紙をなくさずに保管して、年末調整や確定申告のときに提出・入力することで、税金が軽くなる仕組みです。
転職した年も、この「保険料控除が使える」というルール自体はまったく同じです。ややこしくなるのは、単純に「どこに出すか」が増えるから、というだけなのです。
年末調整と確定申告での扱いの違い
保険料控除は、年末調整でも確定申告でも使えますが、手続きの流れが少し違います。
年末調整では、会社が配る「保険料控除申告書」に必要事項を書き込み、控除証明書を添付して会社に提出します。
一方で確定申告では、国税庁の作成コーナーや紙の申告書に、支払った保険料と証明書の内容を自分で入力・転記します。
どちらもゴールは同じで、「支払った保険料を税金計算に反映してもらう」ことに変わりはありません。
転職した年にポイントになるのは、年末調整でやり切れなかった分を、確定申告でフォローできるという点です。
「年末調整に出し忘れたから終わった…」ではなく、「確定申告でまだ間に合う」と覚えておきましょう。
転職すると保険料控除がややこしく感じる理由
転職前後で保険料控除が急に難しく感じるのは、次のような要素が一気に増えるからです。
- 前職と現職、2つ以上の会社が登場する
- どの期間の給与をどの会社が把握しているかが違う
- 年末調整をどの会社が担当するのか、パターンが増える
特に悩みやすいのが、「控除証明書を前の会社に出していいのか?」「今の会社に全部出していいのか?」という提出先の問題です。
ここをきちんと整理しないと、「同じ控除証明書を二重に使ってしまう」「そもそもどこにも出せず、控除を受け損ねる」といったミスにつながりかねません。
ただし、ルールの根本は決して複雑ではありません。次の章からは、よくある転職パターン別に、保険料控除の出し方を整理していきます。
転職パターン別・保険料控除の出し方
年内に転職して今の会社で年末調整する場合
もっとも多いのが、「同じ年のあいだに転職して、年末時点では現職の会社に在籍している」というケースです。
この場合、年末調整を行うのは年末時点で在籍している現職の会社になります。
保険料控除の出し方としては、次のようになります。
- 保険会社から届いた控除証明書をすべて現職の会社に提出する
- 前職で年末調整を済ませていない場合、前職の源泉徴収票も現職に提出する
ポイントは、「その年1年間の給与と控除を、原則として1社にまとめる」という考え方です。
前職で年末調整をされていないなら、前職分も含めて現職の会社に任せるのが基本になります。
ただし、転職時期や会社の締切の関係で「前職の源泉徴収票が間に合わない」「現職では前年分の調整ができない」と言われることも。
その場合は、後述するように自分で確定申告をする流れになります。
退職して再就職が年内にない場合(無職期間あり)
次に多いのが、「年の途中で退職し、その年のうちに再就職していない」ケースです。
この場合、年末時点でどの会社にも在籍していないため、そもそも年末調整をしてくれる会社がありません。
このケースでは、保険料控除の出し方はとてもシンプルです。
- 保険会社から届いた控除証明書を自分で保管する
- 翌年の確定申告で、前職の源泉徴収票+控除証明書をもとに申告する
つまり、「どの会社に出すか」を悩む必要はなく、すべて自分の確定申告にまとめて反映させることになります。
退職後に送られてくる前職の源泉徴収票と控除証明書を、ひとつのファイルに入れておけば、申告もスムーズです。
「会社に出し忘れたらどうしよう」と不安になるかもしれませんが、このパターンは最初から会社に出す相手がいないだけ。
確定申告さえすれば、保険料控除のメリットはきちんと受けられます。
ダブルワーク・副業ありの場合の注意点
最近増えているのが、「転職というより、ダブルワーク・副業をしている」ケースです。
たとえば、平日は会社員として働きつつ、土日に別のアルバイトをしている、フリーランスとして仕事を請ける、などですね。
この場合、保険料控除の出し方は基本的にメインの勤務先を基準に考えます。
年末調整をするのは、通常「主たる給与」を支払っている会社1社だけだからです。
保険料控除の証明書も、そのメインの会社にすべて提出するのが原則です。
副業先の会社に保険料控除の証明書を出すと、年末調整が二重になってしまい、税金計算が狂う原因になります。
副業分の収入が一定額を超える場合は、年末調整とは別に確定申告が必要になることも多いので、「会社にはどこまで任せて、どこからは自分でやるのか」を意識しておくと安心です。
「前職・現職どちらに提出?」の判断基準
原則は「年末時点で在籍する会社」にまとめて提出
保険料控除の出し方で迷ったときの大原則は、「年末時点で在籍している会社にまとめて出す」です。
その年の1月〜12月に支払った保険料を、年末に在籍している会社で精算してもらうイメージですね。
具体的には、次のように整理できます。
- 年末に在籍している会社が1社 → その会社に控除証明書を全部出す
- 年末にどの会社にも所属していない → 確定申告で自分がまとめて申告する
前職で年末調整をしてもらっていなければ、控除証明書は前職に出す必要はありません。
むしろ、前職と現職の両方に同じ証明書を出してしまうと、二重で控除されてしまうリスクがあります。
「最後に在籍している会社に一括で渡す」が基本、と覚えておくと分かりやすいです。
前職に提出してはいけないケースと例外
転職前に保険料控除の案内が回ってきて、「とりあえず前の会社に全部出してしまった」というパターンもあります。
しかし、多くの場合、前職に保険料控除の書類を出すのはおすすめできません。
理由は、
- 前職の年末調整では、その会社で支払った給与分しか精算されない
- 転職先での給与と合わせた「1年トータルの税金調整」ができない
例外的に、年の途中で転職しても、前職でその年の年末調整まで完了してしまうケースもないとは言えませんが、かなりレアです。
基本的には、「年末に在籍していない会社で年末調整はしない」と考えたほうが安全です。
すでに前職に出してしまった場合でも、源泉徴収票の内容を確認し、必要であれば確定申告で調整することは可能です。
不安なときは、前職・現職両方の源泉徴収票を手元にそろえたうえで、税務署や専門家に相談してみるとよいでしょう。
現職へ出せなかった控除は確定申告で取り戻す
「転職してバタバタしていたら、現職の年末調整の締切に間に合わなかった…」ということもありますよね。
控除証明書を出しそびれた場合、その年の年末調整では保険料控除が反映されません。
ですが、ここで落ち込む必要はありません。
確定申告で保険料控除を申請し直すことで、払い過ぎた税金を後から取り戻すことができます。
流れとしては、
- 現職での年末調整は「控除なし」でいったん完了
- 翌年の確定申告で、控除証明書の内容を入力・添付
- 年末調整の結果よりも税金が減り、差額が還付される
つまり、年末調整を逃しても「ゲームオーバー」ではないということです。
控除証明書さえ保管しておけば、確定申告という第2ラウンドでしっかり挽回できます。
実際の書き方・出し方ステップ(年末調整編)
保険料控除申告書の書き方のポイント
転職後、現職で年末調整をしてもらう場合、多くの会社では「保険料控除申告書」という用紙が配られます。
ここに生命保険・個人年金・地震保険などの情報を記入していきます。
書き方の基本は次の通りです。
- 保険会社名・契約者名・被保険者名を控除証明書どおりに転記
- 新旧区分(新生命保険・旧生命保険など)があれば、証明書を見てチェック
- 年間払込保険料の金額を、そのまま記入(途中解約などがあれば要確認)
難しく感じるポイントはほぼなく、「証明書を見ながら、同じ内容を書き写す」イメージでOKです。
迷った場合は、空欄にせず、メモ書きでもいいので疑問点をそえて総務担当に相談すると安心です。
控除証明書のまとめ方・よくあるミス
保険料控除では、控除証明書そのものを会社に提出する必要があります。
複数の保険に加入していると、証明書の枚数もかなりのボリュームになりますよね。
よくあるミスとしては、
- 証明書の「コピー」だけ提出して、原本を会社に出していない
- 古い年分の証明書を混ぜて提出してしまう
- 家族の保険の証明書と、自分の分を整理しないまま出してしまう
これを防ぐには、提出前に次のような手順で整理するのがおすすめです。
- その年の分だけをテーブルに並べて仕分ける
- 自分名義のもの/配偶者や子ども名義でも、自分が契約者のものを分ける
- 保険料控除申告書に記載した順に、クリップで留めて提出する
こうしておくと、会社側のチェックもスムーズになり、問い合わせや差し戻しのリスクも減らせます。
提出期限の目安と、遅れそうなときの対処
年末調整の書類には、会社ごとに提出期限が決められています。
多くの場合、11月〜12月上旬が締切の目安になっていることが多いです。
転職したばかりだと、社内メールやポータルのお知らせを見落としがちなので要注意です。
「年末調整の書類配布」のお知らせを見つけたら、すぐにスケジュール帳やスマホのカレンダーに締切を登録しておきましょう。
もし締切に間に合わなさそうな場合は、早めに総務・人事に相談するのがおすすめです。
多少遅れても受け付けてもらえる余地があるのか、それとも「完全にアウトなので確定申告してください」なのか、会社によって運用が違うからです。
結果として確定申告になったとしても、「いつの時点で、何ができて、何ができなかったか」を把握しておけば、あとからの対応もしやすくなります。
確定申告で保険料控除を申請する流れ
e-Taxを使った入力の基本ステップ
年末調整で保険料控除を出せなかった場合や、自分でまとめて調整したい場合は、確定申告で保険料控除を入力します。
最近は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」やe-Taxを使えば、画面の案内に沿って進めるだけで完了できます。
流れのイメージは次の通りです。
- 給与所得の源泉徴収票の内容を画面どおりに入力
- 「所得控除」のページで生命保険料・地震保険料などの控除欄を開く
- 控除証明書を見ながら、保険会社名・新旧区分・支払保険料を入力
- 自動計算された控除額を確認し、そのまま申告書を作成・送信
紙の申告書よりも、画面のほうが「どこに何を書くか」が分かりやすく表示されるので、転職直後の方にもおすすめです。
源泉徴収票と控除証明書を手元に置いて、「写経するイメージ」で入力していきましょう。
紙の申告書で出す場合に気を付けたいこと
パソコンやスマホの操作が不安な場合は、従来どおり紙の確定申告書を作成して提出することもできます。
税務署の窓口で相談しながら書くこともできるので、「一人でやるのは心細い」という方にはむしろ安心かもしれません。
紙で出すときの注意点は、
- 申告書の「保険料控除」の欄を見落とさないこと
- 控除証明書の原本またはコピーを、指示どおり添付すること
- 提出前に、源泉徴収票の添付も忘れていないかチェックすること
とくに添付書類のチェック漏れは、差し戻しや追加の問い合わせにつながりがちです。
提出前に一度深呼吸して、「源泉徴収票」「控除証明書」「本人確認書類」などを一覧で確認しておきましょう。
医療費控除・ふるさと納税との合わせ技で節税
確定申告をするなら、保険料控除だけでなく、医療費控除やふるさと納税(寄附金控除)なども一緒に申請できます。
とくに転職の年は、引っ越しや環境の変化で医療費が増えがちなこともあり、見直しのチャンスです。
例えば、
- 1年間の医療費の合計が大きかった → 医療費控除の対象かも
- ふるさと納税をワンストップ特例ではなく普通に行った → 確定申告で寄附金控除を申請
- 社会保険料(国民年金・国民健康保険など)を自分で払った期間がある → 社会保険料控除も忘れずに
こうした控除を合わせて申請すると、「思った以上に還付金が戻ってきた」というケースも少なくありません。
転職をきっかけに、保険料控除だけでなく家計全体の税金の流れを見直してみるのもおすすめです。
まとめ
転職した年の「保険料控除の出し方」は、前職・現職・無職期間・副業などが絡んで、どうしてもややこしく感じてしまいます。
しかし、基本のルールは「年末に在籍している会社にまとめて出す。出せなかった分は確定申告で取り戻す」というシンプルなものです。
年内に転職して現職で年末調整する場合は、控除証明書をすべて現職に提出し、前職の源泉徴収票も忘れずに。
年末にどの会社にも所属していない場合は、源泉徴収票と控除証明書をそろえたうえで、翌年の確定申告でまとめて申告します。
大事なのは、控除証明書をなくさずに保管し、年末調整・確定申告のどちらで使うかを整理しておくことです。
この記事を参考に、「転職 保険料控除 出し方」のモヤモヤを解消しつつ、しっかり節税のメリットを受け取っていきましょう。

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